キャラ紹介(かな?)



ウルティマオンラインに於けるキャラクターメイキングとその後の成長の道程  

 

皆さん初めまして、私の名は JOKER だ、 Wakoku のムーングローに生まれ、
ブリタニアの各地を転々としている住所不定の流れ者だ。
( JOKER の生い立ちと現在について詳しくは後ほど紹介しよう)
これからしばらくの間、ウルティマオンラインに於けるキャラクターにまつわる、
さまざまな問題を(私と兄弟を例に)皆さんと一緒に考えていこうと思う。
さて、私が考えるに、キャラの成長には二つのパターンがあると考えられる。

まず一つ目は、
a.さまざまな事を経験しながら総合的に訓練する方法

二つ目には、
b.集中的に特定のスキルを鍛える方法

の、二通りがあると考えられる。
初心者の初めてのキャラクタ作りには a の方法がお勧めだ、
この方法では、ブリタニアの各地を旅し、様々な人々と出会い、
キャラクタのみならず、プレイヤーのスキルも高くなるだろう。
おそらくは、スキルが GM に達する前に、
ステータスが上限に達することだろう・・・
私 JOKER は、このパターンでここまで成長してきた、
二つ目の b の方法は、ブリタニアにて多少なりとも経験をつんだなら、
大変有効な方法だと思う。
必要とされるスキルのみを、効率的・集中的に鍛え、
目的のとおりのキャラクタに育てて逝く・・・じゃなくて・・・
育てていくのである。

それでは、実例をあげてみてみよう。

 

JOKER
私である、
いや、堅苦しい言い方はやめて、いつもどうりの言い方で話させてもらおう。
今まで秘密にしてきたが、あっしはムーングローの裕福な家庭に生まれた・・・
幼くして我が家は不幸に見舞われ、その後一家は離散した・・・
そして、(総てのキャラクタがそうであるように)ほどほどの年齢で冒険に旅立つことになる、
ブリタニアの地に降り立ち、夢と希望に満ち溢れて旅だったあっしは、
しかしまた、それまでの記憶をほとんど失っていた・・・
それは、モンデインの呪いのせいかもしれないが、
そんな状況になんの疑問も持たずに、ブリタニアの日々の暮らしを生きていたのだ。
放浪の生活を長いこと続け(この辺のお話しはうお日記始動編を参照)、
日々の生活を、なんとか逝きぬいていた、じゃなくて生きていた。


解説
うお日記始動編を読んだ方なら、なんとなく理解できると思うが、
この世界で出来ることは大雑把に二つに別けられる、
それは、
a1 高い技量(スキル)が無くとも出来ること
a2 最高の技量(スキル)が無いと出来ないこと
例えば、
必需品とも言える馬を、飼い慣らして乗りたいと思えば、
効率良く数日練習すればなんとかなるものだ。
(逆に練習の効率が悪いと始末におえなくなるが)
ほとんどのスキルは、頑張れば短時間の練習で、実用化できる難易度になっている、
(マゲでも最低限必要なリコール等は比較的容易に習得できる)
しかし、
ドラゴンを操ろうと思うとき、必要とされるスキルは想像を絶するものが有る、
(マゲでもマークやゲートは難易度が高い)
そればかりか、
たとえ最高のスキルを備えていたとしても、
サポートしてくれる仲間が居なければ、困難な目的は達せないだろう。

はじめてこの地に降り立った JOKER に求められたのは、
1人で総てを体験することであった。
それは、キャラクタばかりではなく、
プレイヤーも一緒に成長するということだった。
スキル上昇を効率良く行わず、あえていばらの道を歩み、
(つうか、鍛え方を知らなかっただけだが・・・)
自給自足・生産から消費までを1人でこなしていたのだ。
もっとも、当時は1シェードに一つしかキャラクタを作らないつもりだったから、
こうするより方法が無かったのだが・・・
やがてこの誓いは破られ、セカンドキャラが登場することとなる。


(うお日記始動編のさまざまな出来事があった後)
やがてあっしは、ペスパーの地に落ち着き建築関係の職につき、
重大な決意のもと、戦いを離れて、
妻と子供二人のなんの変わり映えのしない、生活を送る事となる。
そんなある日のこと、
野暮用でベスパーの宿屋に泊まりほろ酔い気分でペットにもぐりこんだ時、
ドアをノックする音・・・
こんな夜更けに不思議に思い、恐る恐るドアを開けて見るが・・・誰も居ない。
ドアの外には不信な油紙に包まれた荷物があった。
差出人の名は無く、受取人はあっしであった・・・
何より驚いたのは・・・届け先が・・・ムーングローの・・・
子供の頃に住んでいた住所だった・・・
この住所とあっしの繋がりを知っていて、
いまだに生きているのは、この世にあっしだけのはずだ、
もしや・・・やつらにあっしの正体がばれたのか・・・そんなはずはない。
あっしの家族なら知っていても不思議は無いが、
よもやこの世の人ではあるまい・・・
あっしは、荷物を部屋に引きずり込むと、何かにとり付かれた様に梱包を解いた。
中から出てきたのは・・・
不細工な弓と、ボーンアーマーだった・・・
弓とボーンアーマーの組み合わせ、長いこと忘れていた何かが・・・何かが・・・
忘れていた・・・忘れなくては生きてはこれなかった・・・何かが・・・
まさか、あれを思い出せと言うのか。
体の芯から震えが湧き出してきて、握り締めた油紙がカサカサと鳴った、
そのとき、
コトンと何かが包みから落ちた、リコールのルーンだっ。
この場所へ飛べというのか・・・罠かもしれないが・・・
ご丁寧にリコールスクロールまで有る、もうどうせ後戻りは出来ないな。
あっしはボーンアーマーを身に着けると、リコールの魔法を唱えた。
昔は瞬間移動とは名ばかりで、昼寝が出来るほど時間がかかったものだが、
ちかごろは気持ちの準備も整わないうちに目的地に着いちまう・・・
・・・真っ暗で何も見えないが、森の中らしい、
物音一つせず、なんの気配も無い・・・危険な場所ではないらしい。
行き先の知れないルーンで飛ぶと、いきなりモンスのど真ん中だったりして、
えらい目にあったりすることも有るのだが・・・
空を見上げれば月が見えるから、
目が慣れてくれば明かりが無くともなんとかなるだろう・・・
手探りで二三歩あるくと、何か硬いものに躓いた。
じっと目を凝らしてみると、どうやら墓石のようだ。
さらに目が慣れてくると墓石の文字が読めた・・・
「ポチの墓」
あっしはその場に座り込んで思わず笑ってしまった。
ポチの墓が可笑しいのではない、
謎が解けたのだ・・・このルーンを送った人物と言いたいことが。
この墓はあっしがたてた物だ、
あっしの身代わりとなって死んだポチ・・・その他もろもろのペットたちの為に、
彼らの骨さえ拾えなかった罪滅ぼしのためにここに建立したのだ。
(この辺のお話しはうお日記始動編を参照)
もう一つ、大切な意味がこの墓にはある。
過去との決裂だ。
総ての過去を忘れ、まったくの別人として生きる為の記念碑だったのだ。
何故こんな墓石が必要なのか、
それは、あっしが子供だった頃まで話しを遡らなければならない。

その日は、我が家に新しい子供が生まれたお祝いの日だった。
沢山のお客さんが来て、僕の新しい兄弟を祝ってくれた。
お客さんが帰った後、なかなか泣き止まない赤ん坊を、
おとうさんとおかあさんが下の部屋であやしているような声がして、
妹と一緒に様子を見に行こういうことになった。
さいわい、二人の弟はもうぐっすり寝こんでた。
階段の上から下の様子をうかがっていると・・・
赤ん坊の泣声の合間に話声が聞こえてきた。
「もうすぐモンデインが殺されるらしいそうだ」
「まぁ、でもソーサリアは大丈夫なの」
「宝珠はきっと大丈夫さ」
「これで世界はやっと悪の手から解放されるのね」
「それよりもこの子のことが心配だ、アバターだのエクソダスだの言われて」
「ただの噂よ、でもあまり話しが大きくなりすぎると・・・」
モンデインが死ぬ,とうとうこの日が来たのか、
ブリタニアを宝珠に閉じ込め、悪の限りを尽くしてきたあいつが、
この日を大人も子供も総ての人々が待ち望んでいたのだ。
僕は嬉しくなって妹の手を握り階段を駆け下りようとした、
その時、
突然入り口のドアが蹴破られる音がして、
大勢の鎧のぶつかる音や、足音が聞こえた、
「なんだ君たちは」
おとうさんの問いかけに答える声は無く、
かわりに大勢が一斉に剣を抜く音が聞こえた、
僕はあまりの恐ろしさに妹とその場にへたり込んでしまった。
そして、ものすごい量のマナが集中する独特の感じがして、
お母さんの声が頭の中から聞こえてきた・・・
「逃げて、出来るだけ遠くへ逃げて」
間髪をあけずに物凄い爆発が起き、
爆風で僕と妹は廊下の端まで吹き飛ばされてしまった。
お母さんが攻撃魔法を使っている・・・
お父さんが人を攻撃している・・・
階下のことは見えはしないが、そこでなにが起っているのかはハッキリ解かった。
他人を癒すことはあっても、決して人を危めたことの無い両親が・・・
侵入者達を襤褸切れの様に吹き飛ばしていた。
それでも、やつらは次々と現れ突入を繰り返した。
僕はどうしたら良いのか解からずに恐る恐る下を見ると、
階段は粉々に砕けて、もう下には降りられないが、
誰も上がってこれなくなっていた・・・
その時、またお母さんの声が頭の中で聞こえた、
「ゲートを出すわよ、みんな集まって」
僕はすすり泣きを続ける妹の手を引いて寝室へと戻ると、しっかりと鍵をかけた、
そして、二人の弟を僕と妹の背中にローブでしっかりとくくりつけた。
その間にも、爆発音や弓を射る音、鎧や剣のぶつかり合う音、
そしてこの世のもととは思えないような掛け声が聞こえつづけた。
僕たち四人は部屋の隅に固まって、母さんの出すゲートを待ちつづけた。
そして、母さんの声が聞こえた・・・
「ごめんなさい、もうゲートは出せないは、あなたたちだけでも・・・」
声はだんだん小さくなっていき、最後のほうは聞き取れなかった。
と、突然体が宙に浮き真っ白い光に包まれると、
僕達の体と心は裏庭にあった、テレポートだっ。
何故ゲートじゃないんだっ、マナが足りないのだろうかっ。
妹達は一斉に泣き出した・・・ここには居られない・・・
このままじゃ、見つかってしまう。
僕は妹の手を引いて、町のほうへと一気に駆け出した。
「おっお家に帰るぅ」
「とうさんとかあさんは後からゲートで来るから、きっと来るから」
僕は妹達に必死に言い聞かせたが、
本当は自分自身に言っていたのかもしれない・・・
「お家が・・・お家が燃えてるぅ」
「後ろを見るなっ、前だけを見て走るんだっ」
僕は振りかえられなかった、
振りかえって燃えている家を見れば、もう二度と走れないことが解かっていたから。
妹の息が切れて走れなくなると、妹と弟を抱きかかえて走った。
やがて僕も息が切れて、歩くしかなくなり、
ついに僕も動けなくなった。
僕たちは真っ暗な森の中で大きな木の洞の中に隠れると、
寒さに震えながら、抱き合ってじっとしているしかなかった。
そして、いつのまにか僕たちは深い眠りに落ちた。


大昔、ウィスプの言葉を理解できるのは一人しか居なかった。
この男はウィスプを騙して、アポカリプスの呪文を聞き出す。
男はその呪文を使って、しばらくの間、
ソーサリア(ブリタニア)から総ての生き物を消した。
この邪悪な魔法使いはやがて死んだが・・・

モンデインは父親を殺して不滅の宝珠を手に入れた。
さらにソーサリアをその中に封じこめた。
やがてモンデインは殺され、ソーサリアは悪の手から解放されたが、
不滅の宝珠からは解放されなかった。
そればかりか宝珠は粉々に砕かれ千のシェードに別れてしまった。

アバターが誰なのかは、誰も知らない。
だが彼は危機が迫ると現れ、ブリタニアを何度も救ってくれた。
彼は誰も居ないシェードに住んでいるという。
彼を呼び出す手順は複雑だがそれ以上の価値があるという。

エクソダスは復讐を誓う。
彼はモンデインとその愛人のミナクスの間に生まれた。
決して年をとらず、死ぬことも無い不滅の存在だという、
彼は復讐のために必ず帰ってくる。


恐ろしい夢を見ていたような気がする。
あまりの寒さに目が覚めた。
目をこすり外を見るとまだ暗かったが東の空はこれから明るくなるところだった。
体中の痛みが・・・総てが夢だったらという僕の希望を打ち砕いた。
さらに悪いことに、遠くに松明が見える、追っ手だろうか、
かすかに鎧のぶつかる音も聞こえる。
僕は妹を無理やり起すと、強引に手を引いて歩きだした。
安全な町の中へ・・・しかし・・・
町の様子が見える場所まで来ると、
僕の希望は絶望へと変わってしまった。
町の中には見たことも無い戦士やモンスターたちが居た。
周りはすっかり明るくなっていて、もう身を隠す場所も無かった・・・
離れ島のムーングローでは何所に隠れていてもいつかは見つかってしまう。
僕たちは港へ行き、これから船に積み込まれるコンテナの中にもぐりこんだ。
港で行動するのは、これまでの出来事中で一番簡単なことだった。
港は僕の遊び場だったし、ムーングローと書いてないコンテナは、
これからどこかへ運び出されるコンテナだからだ。
やがてコンテナは船に積み込まれ、僕たちは自由になった。
とわ言うものの、これからどうするあてもなかった。
妹達は泣き疲れて眠っているし、
僕の足は裸足で傷だらけだった。
涙が次から次えとあふれてきて・・・
目の前に青いゲートが見えたような気がして、
そのたびに涙を拭いて目をこらしてみるけど・・・
何度繰り返してみても、お母さんのゲートは現れなかった。
「もう、誕生日もクリスマスにもプレゼントはいりませんから、
どうか、お母さんのゲートを此処に出して下さい。」
神様に何度お願いしても、その願いは叶えられなかった。
何かしていないと涙が止まらないから、
船の積荷の中からバックパックを見つけ出し、
その中に家からもってきたローブのボケットの中に入っていた小銭を入れ、
それからロウソクとダガーを1本づつ入れ、
兄弟それぞれの名前を書いたノートを入れた。
そのバックパックを四人それぞれの体にしっかりとくくりつけ、
僕も眠ろうと横になった・・・その時だった。
ドッカーン
突然大きな大砲の音がした、
慌てて飛び起き、窓から外を見ると、
前を進んでいる船が砲弾の直撃を受けて沈むところだった。
僕は一瞬で悟った、ムーングローを出港した船を沈めているのだ。
なんて酷い事をするんだっ。
僕は寝ぼけ眼の妹と弟達を、食料の入っているコンテナに押しこむと、
自分もコンテナに入ろうとした・・・
その時だった、
船の揺れではない何かが・・・大地が海が空気が大きく傾き、
世界がばらばらに砕け散っていくのを感じた・・・
もうどうしたら良いのか解からなかった、
僕にできることは総てやり尽くしたし、
もうどうでも良かった、もうどうなっても。
そして何も解からなくなった。

こうして、あっしの兄弟たちはこうして離れ離れになってしまったのです。
あっしには万に一つの奇跡が起こり、
こうして今も生きてはいるが、他の兄弟たちは・・・
それでもあっしは、こうして生きてはいるものの、
追っ手の恐怖は一時も消えなかったんです。
奴らが誰なのか、なんの目的であっしの家族を狙ったのか、
その総てが謎のままなのだ。
もちろん、兄弟を探したり、謎を探ったりはしてみたが、
それは自分を危険にさらす事と同意だった。
新しい家庭を持ったあっしは、家族を危険にさらさない為に、
過去を忘れ、切り捨て、墓石をたてて、新しい人生を歩み始めたのだ。
そうなんだ、これは本当は(過去の)あっしの墓標なんだ。
あっしは墓石の裏に回り、そこに刻んだはずの文字を確かめてみた。
そこにはこう書きこんだはずだ。

JOKER
Mine
hi-lite
echo
baby

もうおわかりだろう、
あっしたち兄弟(と、まだ名前のなかった赤ん坊)の名前だ。
そして、JOKER Mine の名前の部分はつい最近削り取られている、
これで解かった、すべてが Mine のしわざだ、
弓とボーンアーマーをとどけたのも、
ここへあっしをふたたび呼び寄せたのも Mine だ。
もういちど戦えと・・・家族を探せと・・・
その証拠にまだ赤ん坊で名前の無かった baby の下に、
「後ろを見るな、前だけを見て走れ」と付け足してある、
あっしがまだ幼かった Mine に言った言葉だ。
家族を危険さらすかもしれない恐怖よりも、
妹が生きていた喜びが勝った。
もう後戻りはしない、いや出来ない。
この日以来、昼は普通の生活をおくり、
夜は戦士として暗躍することとなる。
あっしは自分自身をこう呼ぶことにした、
「11時過ぎの道化師」
こうしてあっしの新しい冒険は始まった。
ところで、ここからどうやってベスパーに帰ろう、とほほ・・・


ところで、みなさんはログアウトしている間のキャラって何してると思いますか?
うお日記始動編では、ログアウト中は眠っていることになってましたが,
このお話では、普通に働きに出て、家族サービスをおこなっているんですね。


JOKER の子供時代の話しはともかくとして、
うお日記始動編が丁度この頃の出来事だ。
この世界でどう行動するか、
どんなキャラに育てていくのか、
そのすべてが暗中模索の状態だった。
ログインするたびに新しい友達ができ、
そして、その友はログアウトするまでの友だった。
ネットゲームはある意味、総力戦だ。
ゲーム以外にも様々なスキルが要求される。
ゲームをインストールして、
ルールを覚えればそれで良しではない。
快適で効果的なプレイのためには、
さまざまな技量と度量と才覚が必要とされる。
ここでは、それについて細かく説明しないが、
それを身につける最良の方法はギルドに入ることだ。
JOKER は、ギルドに入ることにしたのだ。
そして、純粋な戦士を目指すことを誓ったのだ。
もう JOKER は、木こりや大工をしている場合ではなくなったのだ。
そして、生産キャラとしての Mine の登場である。
このお話に何度か登場している、
弓とボーンアーマーの組み合わせは、当時はベストだったが、
その後、ボーンアーマーにもDEXのペナルティが付くようになって、
アーチャーの鎧選びはいちだんと難しくなっていく。
自力である程度のもの生産できないと何かと不便だ。
さらに、アイテムに高級品が登場するようになると、
生産系スキルもとりあえず作れる位じゃ物足りなくなってくる。
さらに生産系キャラが必要になってくる・・・
こうして、1シェードにワンキャラという誓いは、
1シェードにワンギルドに変わることとなる。
もっともこの誓いもいずれ破られるのだが。

あたいの名は Mine
オークに育てれられた娘・・・
あたいの過去を語るとき、
話はあの船が難破したときまで話を遡らなきゃならないわ。
あの後、どれくらいの時が流れたのかは知らないけれど、
あたいはユーの外れの海岸に流れ着き、
オークたちに拾われて、オークの子として育てられたの。
オークたちは恐ろしいモンスターだけれど、
その恐ろしさを知るにはあたいは幼すぎたのね。
オークの長は、あたいを災いの種だといって、
殺してしまうつもりだったようだけど、
子供を喪ってしまった女オークがあたいの母代わりになって、
あたいはオークの村で育てられることになったの。
オークの長は、そのうちにあたいの有効性に気がついたのね、
人間の情報を得る手段として・・・
あたいはオークの村で育てられながら、
ときおり人間の町に送り込まれ、
人間たちの情報を収集させられたのよ。
初めのうちは町を見て歩くのが精一杯だったけど、
そのうち図書館通いをするようになって・・・
最後にはトリンシックのパラディン図書館にまで出入りするようになったわ。
やがてオークたちのあたいを見る目が変わってきたの、
オークの戦士たちは優秀だったけれど、
猪のように突進するだけで、巧妙な人間の戦士達には、
まるで歯が立たなかった・・・
それがあたいの教える人間の戦術を知ってからは、
互いに連携し合い、予想以上の成果をあげるようになってきたのよ。
それまでは人間の子だと白い目で見られていたけど、
オークたちはあたいに情報収集の中心的役割を与えてくれたわ。
ブリタニア中から集まってくる情報を、
分析して調査するのがあたいの仕事になったの。
あたいはそのうちに重大なことに気がついたの・・・
あたいもとに集まってくる膨大な情報、これは使えるって。
もうみんな気がついたわね、そう兄弟たちを探すのよ。
なにしろオークときたら、
ブリタニアの(人の住んでいない所なら)そこらじゅうにいるんだから。
そしたら、あたいがびっくりする位簡単に、怪しい人物が出てきたの。
そいつは兄貴と同じ名前で、そこいらじゅうのオークキャンプを襲撃してたの。
こいつが兄貴だわ、そう直感したの。

====== 中略 ======

ブリタニアが平和な世界と危険な世界の二つに分かれる日までは、
家を持つことは至難の技だった。
その時代に、家に変わって安全にアイテムの受け渡しに使われたのが、
船だったのだ。
長い間この船は、彼らの隠れ家であり、
移動手段であり、お互いの無事を確かめあえる唯一の場所となった。
やがて彼らにも家を建てられるチャンスが巡って来て、
この船はまったく別の使われ方をするようになるのだが、
それはまだまだ先の話である。


 echo
僕は兄弟の中では、一番幸せだったのかもしれない・・・
(そもそもの生い立ちが不幸ということはあるが)
ニュジェルンの大富豪の老夫婦に拾われて、育てられることになって、
子供のなかった老夫婦の養子となったのは自然の成り行きだったろう。
あの日船でムーングローを脱出した四人の中では、僕は最年少だったから、
正直な話し、あの日のことはほとんど覚えていなかった。
でも、時折意味不明の怖い夢を見たんだ。
僕は誰かの背中に縛り付けられてて、何かに追われて逃げているんだ。
真っ赤な火がぼうぼうと燃えていて、
みんな泣いていて、このまま一生逃げつづけるみたいで、
あまりに恐ろしくて目が覚めるんだ。
その夢の意味は、ある日突然解けた・・・

ニュジェルンに悪い流行病が広がった時、
もともと体が丈夫でなかった僕は何日も死の淵をさまよったんだ。
じいちゃんとばぁちゃんの献身的な介護でなんとか助かったんだけど、
その時の無理が祟ったんだろうね、二人ともあっけなく死んじゃった・・・
僕は一人ぼっちになった悲しさから、毎日泣いてくらしてたんだ。
じいちゃんとばぁちゃんの形見の品を眺めて楽しかった日々を思い出してた。
それで、絶対開けては駄目だと言われてたコンテナを開けたんだ。
何か二人を思い出せる懐かしい品物が入っているかと思ったんだ。
でも中に入っていたのは、ぼろぼろのバックと、古いローブだった。
さすがに鈍い僕でも気が付いた・・・
これがきっとあの恐ろしい夢の正体なんだと。
「坊ちゃん、とうとうその箱を開けてしまったのですね」
声の主は執事のマルボロだった。
「先代から、絶対に秘密にしろと言われていたのですが・・・」
マルボロはぽつりぽつりと話しをはじめた。

「先代から坊ちゃんの素姓を調べろと言われたときには、
こんなに大それた話しになるとは思ってもみませんでした。
ええ、そうです、単に難破事故でもあったんだろうと・・・
初めは先代は自分にもしものことがあった時のことを考えて、
その時の為に坊ちゃんの本当の家族を探されたのでしょう。
しかし、調査を進めれば進めるほど、謎は深まり、
我が家のお抱えのエージェントでは手におえなくなり・・・
八方手を尽くして難儀して、
結局大筋の真相が判明したのは、先代が亡くなる直前のことでした。
先代が真相を秘密にしようとしたのは、
初めは坊ちゃんが本当の家族の元に帰ってしまうのを心配してのことでしたが、
新しい事実が判明するごとに、坊ちゃんの身をあんじてに変わっていったのです。
このバックとローブの出所が解かったのもつい最近のことです。
私は先代の仰せのとおりに、秘密を墓場まで持っていくつもりでした。
しかし、
坊ちゃんの兄弟が、坊ちゃんを必要としていること、
影の組織がこの調査に気づいたような気配があること、
そして何よりも・・・」

マルボロは言いにくそうに言葉の端を濁して、さらに話しを続けた。

「そのコンテナは、私がニュジェルンの海岸で坊ちゃんを見つけたときに、
入っていたものです。
そのバックとローブもその時の物です。
そして、坊ちゃんの兄弟たちは皆生きておられます。
お兄様とおねえ様は、苦労の末に坊ちゃんを探しておられます。
坊ちゃんも兄弟たちと行動を共にされるのがよろしいかと思います。
本来ならば、坊ちゃんを危険な目に会わせる訳にはいかないのですが、
影の組織は私共が考えている以上に強大です。
ここに居ても、お兄様たちと居ても危険に変りはないでしょう。
むしろ、お兄様たちと居たほうが安全かもしれません。
坊ちゃんには、いずれはこの屋敷を処分して、
どこぞへ身を隠して頂かねばなりません。
私が調査していることが、影の組織に知られた恐れがあります。
坊ちゃんは正式にはこの家の人間ではありませんから、
私共との繋がりを知られる可能性は低いのですが・・・
このままでは、いずれ明らかになってしまうでしょう。
それから、明細な調査報告はこの本に記しておきました。
この本は、坊ちゃんと同じ血が流れる者にしか読めないように、
特別な魔法がかけられております。
その時が来ましたら、この本をお兄様にお渡し下さい。
この本には3番目の兄弟 hi-lite さんの居場所も記してあります。
そして・・・
私は自害いたします・・・」

「何故、何故おまえが死なねばならないんだ?」

マルボロは、子供をあやすような優しい目をして、
しばらくの間、じっと僕を見つめていたが・・・

「私はこの秘密を知っている唯一の他人です。
私が生きている限り、秘密が組織に伝わる危険は消えません。
これからのご兄弟の活動を、より安全におこなっていただく為にも、
私は長生きするわけにはいかないのです。
私の手は坊ちゃんの為なら、揺りかごを揺らす手にも、
畑を耕す農夫の手にも、危険が迫れば血に濡れた戦士の手にでも、
そして、自らの息の根を止める暗殺者の手にでも、
なんにでもなれるのです。
今日の今日まで、いかなるご命令にも従ってまいりましたが。
しかし、今度ばかりは、
坊ちゃんが「死ぬな」と命令されても、
それには従うわけにはいきません・・・」

その時だった、
突然に警報のベルが鳴り出した。
平和なリゾート地ニュジェルンにはあまりにも不釣合いな出来事だった。
窓から外を見ると、重武装の一団が門を破って庭に侵入してくるところだった。

「こんなにも早くここがつきとめられるとは・・・」

マルボロは、僕の顔をじっと見つめると、
僕にローブを着せ、バックとその本を渡した。
そして、ゲートの魔法を唱えると・・・

「さあお別れです」
「いやだ、絶対にいやだ」
「このゲートは坊ちゃんのおかあさんのものです」

マルボロの最後の言葉の意味は解からなかったが、
なにか特別な意味のある呪文のような気がして、
なんだか体の自由が利かなくなり、
すいこまれるように自分からゲートへ踏み込んだ。

一人だけになったマルボロは、
部屋の隅に置かれた机の引出しの中から、
紫色のポーションを取り出すと、
それを一気に飲み干した。
「これで良かったんだ、これで、
やっと肩の荷が下りた、思えば長い道のりだった
ムーングローのあの日の出来事以来、
ずっとこの兄弟たちを遠くから見ていた、
総てはあの日から始ったんだな・・・
最後の兄弟の消息が解からなかった事だけが、
心残りだな・・・」
 1 2 3 大爆発が総ての痕跡を吹き飛ばしてしまった。
兄弟たちが生きていることも、
本に書かれている調査報告も、
そして、マルボロ自身の秘密も。

ゲートを出た僕は、まるで悪い夢でも見ているようだった。
すぐにでもニュジェルンに戻ろうと、
ゲートの魔法を唱えようとしたときに、
目の前の船のうえに、包帯を巻いてる戦士の姿が見えた。
エナジーボルトに撃たれた様に、体を電撃が駆け抜けた。
あれが兄さんだ・・・きっとそうだ。
体中が傷だらけで、今にも死にそうに見えた。
ヒールの魔法を掛け、水辺に近づいて行くと・・・
兄さんは後ろを向いたまま静かに話し始めた。

「 echo だな、それ以上近づくな、
俺達は一緒にはなれないんだ、
人に見られて足が付いたらそれまでだ、
そのまま他人の振りをして聞くんだ。
おまえがこれからどうしようとおまえの自由だ、
だが、俺と Mine は、兄弟全員の無事がわかるまで、
戦いを止めない・・・」

「兄さん、hi-lite を・・・3番目の兄弟を助けに行かなきゃならない。」

「居場所を知っているのか?」

「この本の中に書いてあるはずだよ兄さん」

「そうか、その本を置いて行け、戦う気があるならこの場所にまた来い」

兄さんは僕の予想に反して驚いた様子もなく、
淡々と話すだけ話し、僕が本を船に投げ入れると、
僕の足元に船の鍵を投げてよこした、

「これからどうするかをまず考えろ、もう子供じゃないんだから。
それから、戦う気があるなら、このルーンの場所に飛んで、
墓石の自分の名前を消しておけ。」

船は静かに岸を離れていった。
そこには、感動の対面もあつい抱擁も無かったが、
それは兄弟が置かれている切羽詰った状況をそのまま示していた。
これからどうしたら良いのか、
あまりにも沢山の出来事が一変に襲い掛かってきて、
もうどうしたら良いのか解からなかった・・・
ただ、この日から僕は戦士になった。


つづく











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