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UO 聖なる旅の始まりに
「この戦いは聖戦である」
そう信じてウルティマオンライン(以下UO)を、プレイし始めた俺だが、
苦しめられている農民の為に、悪の限りを尽くすモンスターを、
ばったばったとなぎ倒したり。
悪人の悪巧みにはまって、囚われた姫を救い出し王子の椅子を手に入れ・・・
なんてことはまったく無くて、
平和に暮らしている農民から、(空腹に耐え兼ねて)家畜や作物を奪い、
必死に救助を求めている人がいても、見て見ぬふりをして、
(だって下手に手を出すと俺の方にこそ救助が必要になるんだもん)
戦うことより逃げ回る毎日である。
いや、逃げ回っているならまだましかもしれない、
逃げるどころか、逃げなくてはならないような状況にさえならない、
今の俺は戦いの有りそうな場所を避けて、
より安全な場所で暮らすことを、第一に生きている。
戦う事だけがゲームではないのだ。
もっとも UO では、戦いと関係ない所で生活している人々も多い。
釣りをして魚を捕り、
その魚を他の PC (PCとはプレイヤーキャラクター)に、
売って生計を立てている PC も居る、
魚を売っても幾らの儲けにもならないが、
商売をしていることによって仲間が出来て、
自分で作れないものは仲間が作ってくれたり、
危険な場所へは、戦士が護衛で付いて来てくれたり、
商売に役立つ色々な情報を手に入れたり・・・
戦うことを全く意識しない PC も、生存可能な世界なのだ。
もちろん、沢山のお金が必要な買い物(家や船)は、
仲間たちで共同で、購入したり、
初心者戦士が寄ってたかって強力な相手に立ち向かったり、
そうした者達の(UOの中で正式に認められた)集いとして、
"ギルド"と言う組織もある。
そのへんが一人でやっているゲームとの、決定的な違いである。
仲間をまったく持たないプレイヤーは、
おそらく居ないだろう。
俺にしたって、若干の仲間が居る、
あまり一緒に行動したりはしないが・・・
いまは一緒に居ないが、いつかは、
ギルドでも立ち上げて、みんなで行動する日が来るかもしれない。
もちろん、人間が操作している PC ばかりで UO が成立っている訳ではない、
NPC とよばれる、サーバーが操作しているプレイヤーも居る、
モンスターもサーバーが動かしているのだが・・・。
ゲームシステムそのものには、取りたてて目新しい部分は無いが、
犯罪者の観念が導入されているのは特徴的かもしれない。
人間が操作している PC どうしが、プレイしている環境では、
人間社会のルールが色濃く現れざるおえないのだろう。
悪いことをした PC は、誰が見ても犯罪者となる、
実現の社会の様に裁判所が犯罪者を決めるのではなく、
ルールを破ったものは、確実に犯罪者とされる、
犯罪者は死ぬまで確実に犯罪者である、
それを偽る事はゲームシステムが認めていない。
現実の社会より UO の世界は、公平で間違いが無いかもしれない。
何をやるのも自由だと言うと、かえって複雑で面倒だと思うかもしれない、
しかし、自分に必要の無い事は知る必要も無いのだ、
ステータス(体力、知力、機敏)と、スキル(特殊技能)と、
その PC が生きて行く為に必要なアイテム・・・
それだけ解れば充分だ。
あと必要なことは、旅を始めること、何もしない人は、
この世界には、必要無い。
さあ、旅に出よう、
目的は解らないが、
旅に出ることそのものが、
旅の目的なのかも知れないから。
98 11 08 Moonglow Joker
やあ、元気かい。
俺のムーングローでの、第一日目は、大変な日だったよ。
(ムーングロー:魔法使いの島 比較的平和な街)
まあ、なんにも解らずにうろうろしているんだから、
どうしようもないけどね。
旅の始まりは、何はなくてもお金だよね、
それで早速得意の大工か弓職人で、お金を稼ごうと思ったのだが、
肝心の木が無いのだよ。いや、雑貨屋に行けば売ってはいるし、
買えば良いのだが、それでは元手が掛かるので、赤字になってしまう、
もちろん森に行けば木は生えているのだが、
それは自分で切ってくるしかない・・・
しかしだ、肝心の木こりの斧がないのだよ。
生まれたときに選んだスキルで、初期装備が決まるのだが、
大工、弓職人、洋裁を選んだので、斧は持っていないのだ。
仕方なく斧を大枚はたいて買うことにした。
この斧が良く解らんのだが(魔法がかけられているらしい)、
その話はまた別の機会にするとして・・・
森へ行って木を切っても、上手くいかんのだ、
細かい細工は、得意でも、こうゆう大雑把なもんは好かん。
ふて腐れて、町をぶらつき・・・犬に喧嘩を売ると・・・
あっさりと死んじまった・・・こんなもんだろうか。
そうだ、その後復活して、METALさんという人と話しをしたっけ。
彼も初心者のようで、死者のローブをまとっていた。
死ぬと全ての装備は死体に残り、
魂だけになってしまうのだが、
その時に自動的に支給されるのが、
死者のローブだ、これを着ていると、
少なくとも一度は死んだことの証だから、
戦いを経験しているという、証でもある、
ただ貧乏でこれを着ている人も居るが・・・
あっ、俺もそうだっけ。
その後洋裁で、一儲けしようと思っても、
布地の仕入れ値が結構高いし、
初心者が作るものなど高が知れたもんだ、
シャツやマントでは高く売れないんだよね。
ドレスなどは俺の技量では作れないのだろうか?
しかたが無いので、またまた斧を担いで森に行き、
失敗を繰り返しながら木に斧を入れる、
何とか丸太を手に入れて、丸太から弓を作り
弓を雑貨屋に売って少しばかりの金を手に入れた。
木を切ってきてそれを加工して製品を売れば、
仕入れの金が必要無いから、失敗ばかりでも黒字になる。
その金を元手に、大工の店で板を買って、椅子を作ったが、
これまた赤字である、とほほ。
金で材料を仕入れて製品を作っていては赤字になってしまう、
やっぱり、木こりの腕を上げないと駄目みたいだ。
何としてでも元手無しで、木材を手に入れないと、
赤字続きで破産してしまう・・・
それにしても解らないことだらけだ、
店には板を売っているが、
どうやって板を作ったら良いのかが解らない、
もしかすると・・・丸太でなんでも作れるのかもしれない・・・
明日は木こりに徹底的に挑戦だ、
丸太を大量に手に入れてそれで色々実験してみよう。
まずは宿屋に戻って一眠りしようか?
そうそう、ゲームを終了する時には、宿屋か酒場でなくては駄目なんだそうだ、
それ以外の場所でログアウトすると、
回線は切れても PC は、その場にしばらくの間残っている、
泥棒に何かを盗まれても、され放題になってしまうのだ。
これは、戦闘中に負けそうになってログアウトする人が居ると不公平だから、
このようなシステムになっているのだそうだ。
宿屋ならばログアウトすると直ぐに姿が消えるのだそうだ・・・
ほんとかどうかは、仲間同士ででも試してみないと解らないが・・・
でもって、安宿のベットに潜り込んで、眠ろうとするが眠れない、
体中が痛い・・・慣れない事を随分やったからだろうか、
明日は今日より大変だ、少しでも寝ておかないと・・・
Zzzzz
98 11 09 Moonglow Joker
目が覚めると犬が側にいる・・・誰かのペットのようだ。
ログアウトしてもペットはその場に残るようだ、
ペットを残してログアウトしてはぐれてしまわないのだろうか?
とてもペットが大人しく待っているとは思えないのだが・・・
宿屋を出て、街からあまり遠くに行かないようにと、
森の中を歩きまわって、何とか木を切る・・・
弓を作って売るがあまり同じ物ばかりだと商品がだぷついて安くなりそうだから、
木工品も作る、なんだ板じゃなくて丸太でも出来るんだ。
全ての木工品が丸太から作れるなら、
値段の高い板をわざわざ買う必要は無いな、
必ず板から作らないといけないのかと思っていた・・・
衝動買いでLute(楽器)を買う、
楽器がどんな事に役立つのか解らないが、
売っているという事は何かの役にたつのだろう。
それにしても店では、なんだか良く解らない物を売っている、
俺の理解を超えているものや、
理解できても、ゲーム盤などは何故 UO に必要なのだろう、
ゲームの中でゲームをするのだろうか・・・
商品を物色するのにも飽きて通りに出るともう日が暮れている、
ああ、俺は一人ぼっちなんだなぁ、
なんだか寂しくなって街灯の下で、楽器を弾く・・・
ますます寂しくなってきた、
ときおり忙しそうに人が通りをかけて行く、
みんな忙しそうに何かをやっている、
何をやっているのかはまるで解らないが・・・
俺はいったい何をやっているのだろう・・・
今日は、色々と元手無しで作ったからなんとか黒字になりそうだ。
帰ろう、もう寝ようと思って宿屋に向かう途中、
銀行の屋上にコンドルがとまっているのを見つけた。
屋上に居る動物はどうやって捕まえたら良いのだろう・・・
あの鳥は狩れないが、ふとアイディアが浮かんだ。
そうだ、明日のために弓を作っておこう、
弓が有れば狩りの実験が出来る、
狩りが出来れば生活は随分楽になるだろう。
宿屋の北側の森で弓を作っていると、夜が明けてきた。
カラスである、カラスが目の前を、通り過ぎて行く、
弓はあるが矢が無い・・・
カラスをしとめれば羽で矢が作れるかもしれない、
ナイフでカラスが仕留められるだろうか、
どうも無理みたいだ。
幸いここから雑貨屋は近いから、一本だけ矢を買ってくる、
戻ってみると、カラスはまだそこに居る、
慎重に狙いを定めて、矢を射るが・・・当たった・・・しかし、
仕留めるには至らなかった、瀕死のようだがまだ生きている、
身動きのとれないカラスに、ナイフでとどめをさそうとするが、
あと少しのところで逃げられてしまう。
しかし、これはいい経験だった、もう少し森の深いところなら、
木こりと狩りの両方が同時に出来るかもしれない。
今日は、得るもの(お金と経験)の大きい一日だった。
宿に戻る途中、町の出口付近で、立ち止まっている人が居る、
NPC(ノンプレイヤーキャラクター(サーバーが動かしている人))ではないようだ、
PC ならなぜこんな所に居るのだろうか?
もしかして、こんな所で眠りこけているのだろうか?
ここはガード圏外である、
街の衛兵ガードが居るところで人に攻撃を仕掛けると、
一発でガードに征伐されてしまう、
しかし、街の外ではそういった制限は無い、
"PK"(プレイヤーキラー 殺人のこと)心の中の悪がささやきかける、
もちろん、おきていれば反撃されるだろう、
戦いとは無縁の俺には、逃げることも難しいだろう、
試しに声を掛けてみる、
「こんにちは」
「konbanwa」
おおっ、おきているじゃないか。
攻撃を仕掛けないで良かった。
やっぱり、悪いことはしないほうがいいのだっ。
適当に世間話をして、宿屋に戻って眠りにつく、
うとうとしながら、Luteをつま弾く、
よその部屋からは、ハープの音が聞こえる。
それにしても楽器を演奏すると何のメリットが有るのだろうか?
良く解らないまま弾いているのだが、
楽器を鳴らしている人が結構居るから何か意味が有るのだろう。
やっぱり、今日も得るものの多かった一日だっ。
98 11 11 Moonglow Joker
今日も目覚めはさわやかだ、
それにしても宿屋の中に、人様のペットがうようよ居る、
あっ、熊まで居る。
それから、すっかり俺の仕事場と決め込んだ森に行き、
がんがん木を切って、弓を作って売るが・・・売れない。
同じ物を大量に作って売ると、物がだぶついて売れなくなるそうだ、
皆が同じ物を大量に作って売れば不良在庫を抱える事になるのだ。
それに、思うように木が切れない、切り尽くされているのだろうか?
それと、今日はなんとしてでも、羽を手に入れて、
木こり・弓作成・狩りの、サイクルを確立しなければ。
森の中をうろうろ歩いていると、強力な弓を発見した、
これは大変なめっけもんである、
自分ではまだ作ることが出来ないヘビークロスボーだ、
弓作りのスキルのレベルによって、作れる弓が決められているのだ。
雑貨屋で矢を買って、
銀行に貴重品を預けて、動物園のあたりまで、狩りに出かけることにした。
ムーングローの街の南には墓地と動物園が有るのだ、
町の出口あたりで、バックを二個ひろう、ついでに、乳鉢(?)もひろう。
ムーンゲートの手前あたりで、鶏の死骸を見つけた、
既に解体されているようで、何も残っていないが、
(もっとも動物の解体もへったくれも解らないのだが・・・)
これは幸先いい予感だ、この辺には鶏が居るのかもしれない、今日は大漁かも・・・
ついに鶏発見、自慢のクロスボーが唸り、見事に仕留めた。
早速ナイフで、解体してみるが、何も得られない。
どうしてなんだろう、解体のスキルがたりんのだろうか?
何処を探してもそんなスキルは見当たらないのだが・・・
仕方なくうろうろ歩き回るが、ペットの猫しか居ない。
ひつじの泣き声が聞こえたが・・・見つからない。
悪いこととは知りながら、猫を殺す・・・
人様のペットを傷つけるのは、
その人を傷付けるのと同じ扱いを受ける、
カルマが下がるのだ、もちろん飼い主が居れば、
俺は犯罪者として攻撃の対象にされてしまう。
猫の死体にナイフを使ってみたが、
何も得られない、どうしてなんだろう。
やけくそで、死骸をクリックしてみると、ななっんと、
棺桶の中に肉が、そうかこうゆうことだったのか。
人間が死んだときも、動物が死んだときも同じシステムだったのか。
解体すれば自動的にバックパックの中に獲物が入るわけではなくて、
解体した死体をダブルクリックして棺桶を開き、
その中のアイテムを自分で移動しなくては手に入らないのだ。
さっきの鶏の死骸を探すが、もう見つからない。ぐすん。
そんなとき、突然現れたのが、熊である、熊。
どう考えても勝ち目はないが、もう町に戻るつもりだったし、
いざとなったら、なんとか逃げ切れるだろうと、攻撃してみる。
手持ちの矢を全部撃ち込んでも死なない。
命からがら、動物園に逃げ込む。
あぁあっ、無け無しの矢を全部使っちゃった、
もうしょうがないから、帰ろうとしていると、
うろうろしている女性がいる、
「街はどっちでしょうか?」
「私もちょうど戻るところです、一緒に行きましょう。」
YukiかYumiさんだったか、そんな名前の人だった。
どうやらムーンゲートを使ってこの島に来たようだが、
街の方角を間違えて、街と反対方向の動物園に来てしまったようだ。
ムーンゲートとは、各地にあるテレポーターのような物らしい、
名前の通り月の満ち欠けが深く関係している物のようだが・・・
ムーングローのムーンゲートは、動物園と街の間に有るのだ。
街まで色々な話をしながら、二人で歩く・・・
楽しいなぁやっぱりオンラインゲームは良いや。
途中の分かれ道で、俺は右にその人は左に・・・また遭えるかな。
もっとも、ここで右に行ったことが俺の不運の始まりだったのだが。
真っ直ぐ街に帰らずに、ちょっとだけ木を切っておこうと思って、
森の中をふらふらと歩いていると、
NPC が一人、大した武器も持たずに佇んでいる。
どうせ物乞いでペット殺しの俺だ、ためらうことはない、
こんな小娘一人赤子の手を捻るより・・・と、弓を引く
うわっ、いてぇ・・・ちくしょう、魔法使いかっ。
攻撃魔法の連打を浴びる・・・凄い・・・
ステータスを一時的に下げる魔法まで有るのか、
まったく動けなくなってしまった、
逃げるまもなく・・・幽霊になる。
治療所に行こうとしても、街のゲートを開けられないし・・・
(後で知ったが幽霊はゲートを通り抜けられる)
そうだ、ここへ来る途中で見た NPC は、きっとヒーラーだっ、
治療所ばかりでなく、ヒーラーも蘇生をしてくれる、
森の中をさ迷い歩くことしばらく、
やっとの思いでヒーラーを見つけて復活する。
馬鹿なことをしてしまった、後悔しきりだ。
教訓、強そうな奴は、やっぱり強い。
弱そうに見えても、結構強い。
自信は有っても自分は弱い。
98 11 12 Moonglow Joker
今日は真面目に木こりをした。
南側の農家の方を重点的に歩き回ったのだが、
けっこう色々な動物に出会う、初めて船も見た、
船はなんとも所有欲をくすぐる物だ、
いつの日にか俺も船を持ちたい、
全ての島ににムーンゲートが有るわけではないので、
船が無いと行けない島も有るのだ。
森の中で重装備の戦士と出会う、直線的に俺の方にやって来るので、
PK かと思ったが、何事もなくそのまま通り過ぎた、
何の気無しに戦士の行った方に歩いて行くと、
鹿の死体があった、どうやら腕試しに鹿をたおして、
皮と肉を取らずに行ったらしい、有り難く皮を頂くとしよう。
しばらく歩いて、農家の周りに居た動物を手なずけようとしたが、
上手く行かない、俺が犯罪者だからだろうか?
昨日の NPC への攻撃を思い出す、
犯罪者や殺人者には、つらい生活が待っているという、
店の店員の対応が悪くなったり、
銀行が利用停止になったり・・・俺はそこまで悪ではないが・・・
革製品の作成も上手くゆかない、何度やっても失敗ばかりだ・・・
鳥の狩りには、やっと成功した、なんとかいくらかの矢を作れた、
矢が有ると格段に狩りの能率が上がる、
逃げ回りながら攻撃できるので怪我も少なくてすむし・・・
あまり得るものは無かったが、
何とか自給自足の生活が出来るようになったと思う。
しかし、危険を冒さなければ、得るものは少ない、
ムーングローは、魔法の島だから魔法を習うにはむいているが、
戦闘系のスキルを上昇させるにはあまり向かないのかもしれない、
それに、職人のスキルを上げるにはここに居ては駄目だろう。
ムーングローには、職人関係の店が無いのだ。
明日は、新天地目指して旅立とう。
宿屋で眠りにつきながら、行き先を考えるのも楽しいものだ。
98 11 13 Moonglow → Minoc Joker
いよいよ住み慣れた故郷ムーングローを、旅立つ決心を固めた。
まずは旅の準備であるが、その前に大学を見学していこう、
ムーングロー生まれでありながら、まだ大学を見たことが無かったのだ。
街の出口を出て少し歩くと、ヘビが道をにょろにょろと歩いている。
かまわなければ何にもしないだろうと、歩いていくと、
突然噛み付いてきた、装備は貧弱でもヘビに負けるわけにはいかない。
大学は特に何の変哲も無いところだったので、木こりをしながら街にもどった。
銀行に貴重品を預けて、いよいよ旅の始まりだ。
おっと、装備を整えるのを忘れていた、
しかし、欲しかったレザーアーマーを作るには、まだ力不足だし、
鎖帷子を買うには懐が寂しい・・・このままでいいか。
UO での防御システムは複雑だ、
体の各部分にそれ用の防具が有り、
攻撃が当った判定も体の各部分それぞれに有る、
高価な防具を付けていても、何も付けていない部位に攻撃が当れば、
ダメージをストレートに受けてしまうのだ、
中途半端な装備は体を重くするだけで効果が薄いのだ。
とりあえず、キャンプ用品だけもってムーンゲートに飛び込む。
ムーンゲート周辺の地図を頼りに、何とか目的地(らしき場所)に着く。
とりあえず感を頼りにミノックに向かう。
本当にこっちでいいのだろうか。
それにしても重装備のPCが多い、こんな所で追いはぎに遭っては
ひとたまりも無いだろう、町を目指して急ぎ歩く。
なんとかミノックにつづく道を見つけてとぼとぼと歩く、
やっぱり知らない土地は不安である、初めてムーングローの、
街から外へ出たときのことを思い出したが、
あの時はまだ恐いもの知らずだったし、
何より此所は、ならくれものの集まる鉱山都市だ、
何が有ってもおかしくない。
おそるおそる歩いていると、前から誰か来る、
鎧を着ていないようだから、
それほど強い人ではないようだ、道でも聞いてみるか?
えっ、近かずいてくるその姿をよく見てみると・・・
人間じゃ無い・・・
Ogre・・・なんてこった、こんな所でモンスターに出会うなんて、
早速一撃食らうが、軽装備は伊達じゃない、
ダメージはまともに食らったが、
体が軽い分だけ逃げ足も速い、
距離をとって弓で応戦する。
がっ、いくら撃ち込んでも死なない、
かなり体力の有るモンスターだ、
というより、俺の攻撃力が低いのか・・・
長旅の始まりで矢を使いきりたくはないので、
なんとか回り込んで一目散に街の方へ逃げる、
街まで行けば何とかなるだろう、
後ろを振り返りながら逃げていると、何かに躓いた・・・
何だこれは・・・死体だ・・・PCの・・・PKにやられたようだ。
なんでこんな所に死体が転がっているんだ、
PKらしき者達が死体を漁っている。
こりゃモンスターより恐い・・・振り返らずに逃げる、ひたすら逃げる。
町の中に入って一安心する、まったくえらい目に遭った、
こうして地に足が付いているのが夢のようだ、
もしかすると夢じゃないだろうか?
おっと、うろうろしている場合じゃない。
商売商売、木こりをしながら、細工屋を探して、
インゴットと細工道具を買う、
スコップを作りたいのだが上手くいかない。
スコップが出来れば鉱山で鉱石を掘って、
自分で道具を作れるようになるのだ、
細工師にスキルを習おうとしても、教えてくれない、
まぁいいや、手持ちの丸太で練習してから、また挑戦しよう。
インゴットから金属製の道具を作れて、
丸太からは木製の道具が作れるのだ。
それにしてもこの町は、裸で走りまわっている人が多い。
きっと鉱山で働いている人なのだろう、彼らは多くの鉱石を運ぶために、
少しでも体を軽くしているのだろう、きっと。
一日目にしてこの街が気に入った。
リスクは多そうだが、森も近いしスキルもあげらそうだ。
宿屋を探して今夜の寝床を確保しようと思ったが、
いくら探しても宿屋が見つからない、
そうか、ミノックには宿屋が無いのか、
仕方が無いので酒場で夜を明かすとしよう。
この街で装備を整え、金とインゴットを貯めて、故郷に帰ろう。
そして、故郷で魔法を覚えて、本当の旅に出よう。
その日が俺の本当の旅の始まりだ。
98 11 15 Minoc → Cove Joker
まったく大変な一日だったよ。
予定通りにMinocから北の方向に向かって、
木こりをしながら歩いていたんだが、
オオカミを調教しようとして、しっくはっくしているうちに熊に出会い、
あるぅひぃ森の中ぁ熊さんにぃでぇあぁたぁ・・・
じゃなくて、毛皮欲しさに弓をひいたのが運の尽き、
見事に返り討ちにあってしまったのだ。
そろそろ熊くらいは倒せると思ったのだが・・・
瀕死の状態で、なんとか反撃しながら街の方向へ逃げていると、
熊を引き連れた熊使いに出会った、
彼がなんとか助けてくれるだろうと思ったのもつかの間、
あやまって熊使いのペットの熊を攻撃してしまったのだ。
一頭だけでも手を持て余しているのに、
二頭を同時に相手にしなくては・・・とほほ・・・
しかもそのうちの一頭は熊使いのペットだから、
うかつに手を出せば、熊使いからも攻撃されかねない。
さらに運の悪いことにもうすぐGuards圏内だ、
ペットに攻撃を仕掛けるのは犯罪行為だ、
それが故意か過失かに関わらず犯罪だ、
熊使いにガードでも呼ばれようものなら、瞬殺されてしまう、
しかもこの熊使いは、外人?らしく言葉が通じない・・・
なんとか英語で謝って、さっさと逃げてしまった。
(後で調べてみるとスペルミスの連続だった)
貴重な矢を随分無駄にしてしまったが、
これもいい経験だと思ってよしとしよう。
またさっきの熊使いと顔を会わせるとばつが悪いので、今度は南に向かう、
街からあまり離れないようにしながら、木こりをしていると、
オオカミと出会う、こりゃ手なずけられれば、いい番犬になると、
さっそく調教を始めるが、うまくゆかない。
おまけに雪まで降ってきた。
寒い・・・季節が解らないが冬なのだろうか?
ムーングローでは雪など見た事が無かったのだが・・・
そんなこんなしているうちに、
見慣れないかっこうの人がちかずいてくる、
見れば見るほど、トカゲである。
これが噂に聞くリザードマンか、あっけにとられているうちに、一発食らう、
一撃で瀕死の状態だ、こりゃたまらんと逃げ出したものの、
街とは反対方向にしか逃げられない、こいつは結構足が速い、
うまく回り込めずに、直線的に逃げるしかない、
逃げて逃げて逃げまくり気が付くと、
ミノックとコーブの中間の山のあたりまで来ていた、
いくらか家が建っていたので、誰か助けてくれるだろうと思ったが、
ほとんど人が居ない、居ても鉱山で忙しく働いている人たちばかりだ。
うろうろしているうちに、リザードマンに追いつかれてしまった、
なんてしつこい奴なんだ、こうなりゃとことん逃げるだけだ。
山を回り込むように逃げていると、森の中に羊が居るのが見えた、
これをペットに出来れば糸が作れる、
リザードマンの姿も見えないので、
何とか調教しようとするが、上手くいかない、
すると今度は見たことも無いモンスターが、
こちらに向かってくるではないか、
今日はなんでこんなにモンスターに出会うのか?。
そればかりかなんとか振り切ったと思ったリザードマンも、
すぐ後ろに迫ってきている、
二匹のモンスター相手では逃げるのもままならない、
もう羊どころではない、一目散に逃げ出した、
と、何かに躓いた、ヘビークロスボーだ、
転んでも唯では起きないとはこのことだ。
なんとか二つ落ちていたうちの一つを引っ掴んで、
後ろを振り返らずにひたすら逃げる。
逃げに逃げまくって、とうとう山を一回りしてしまった。
しばらく立ち止まって体力の回復を待ちながら、装備を点検する。
矢の残りが心細くなってきている、
もっとも俺の弓の腕では小鳥位しか相手に出来ないが、
流石にリザードマンも諦めたようだ、
辺りを見回しても何処にも姿が見えない。
こんなにモンスターに出会うことは、
そうそう無いだろうから、矢でも作りながら街に帰ろう。
とぼとぼと歩き始めたとき、さっき見た羊のことを思い出した、
モンスターは俺が引き寄せたので、あの辺には居ないだろうから、
羊の調教にはうってつけかもしれない、きっとそうに違いない。
さっそく羊の居たあたりに行ってみるが、もうそこには居ない、
もう少し森の奥かも知れないと思い、森の奥を目を細めて見ていると、
何か巨大な生き物がこちらに向かって突進してくるではないか、
あれは何かで読んだことがある、頭が二つある化け物だっ、
とてつもない体力と攻撃力の固まりのような奴だ、
まともに戦って勝ち目はないし、戦う気も無い、
さっさと森の中に逃げ込むと、どうやらこいつは足が遅そうだ、
何とか逃げ切れるだろう、おっと空のフラスコをみつけた、
おやおや、あそこに落ちているのはOrc Helmではないか、
ちょうどいいや、頭をガードする防具が欲しかったところだ、
さてと、これ以上深追いしないで街に戻るとしよう。
あれっ、なんか居るなぁ、なんだありゃ、スケルトンかぁ、
かまわず逃げよう、おっといけない二つ頭の化け物にも、
また見つかってしまった、まぁなんとか逃げ切れるだろう、
森の中をひた走る、走って走って走りまくっていると、
羊を見つけた、リザートマンに追われていた時に見たのとは違う羊のようだ、
日ごろの行いが良いと、こうゆうラッキーに出会うもんだ。
さっそく調教しようとすると、今度は巨大なクモが出現、
・・・やっぱり日ごろの行いは良くないようだな。
今度ばかりは羊を諦めきれない、満身創痍ではあるが、ここが踏ん張りどころだ、
距離を保ちながら、クモに矢を放つ、弓使いの理想的な戦い方だ。
しかし、もう矢の残りが少ない・・・
矢が無くては弓はただの重しにしかならない、
万事休す、このまま座して死を待つのか・・・
ところが通り掛かりの、白馬に乗った戦士が、クモを倒してくれた、
ありがたいことだ、
話をしてみると、
どうやらその戦士も昔ここでひどい目に遭ったことがあるらしい、
名前を聞く間も無く彼は、何処かに走り去っていった、
クモの死体を調べてみると、クモの糸が残っていた、
これは後々魔法の勉強で使えそうだ、有り難く頂いておこう、
ちょっとだけ羊を探してみようと、戦士が走り去った方向に歩き出した。
戦士の通った後を辿っていけば、モンスターは居ないだろうと考えたのだ、
狙いは大当たりで、さっき散々苦しめられた、二つ頭のモンスターが死んでいる。
死体を探ってみると、俺の矢がまだ刺さっていた、
この矢は貴重だ、これで鳥が捕まえられれば、また矢を作れる。
あたりの安全を確かめて丸太に腰を下ろした、
今日は疲れた、随分な距離を歩いている、
地図を見てみると、
ミノックに帰るよりもコーブに行った方が、
近いくらいの場所に居るようだ。
ミノックに帰るのは諦めて、コーブに今夜の宿を取ろう。
木こりをしながら、コーブに向かう。
はじめて見るコーブは、頑丈そうな塀に囲まれた小さな村であった、
そういえば近くにモンスターがよく出るような話を聞いたことがある。
ゲートをくぐろうとすると、何やら戦士が話し掛けてくる、
英語だからなんだか分からんが、
どうやら俺にモンスター退治の手伝いをして欲しいらしい、
とてもじゃないが、足手まといになるだけだから、
「NO」と、そっけなく答えて村の中に入る。
宿屋を探すが、見つからない、そうかコーブには宿屋は無いのか、
とりあえず雑貨屋で矢を買っておく、今夜は野宿になるだろうから、
現金を盗人に取られるくらいなら、
今のうちに使ってしまった方が諦めが付く、
寝床を探してうろうろと歩く、それにしても犬や猫の多い村だ、
試しに犬を調教してみると、すっかり懐いてきた、腹がへっているのか、
ゆうことを聞いてくれないが・・・
そうだ、バックパックの中から生肉を取り出して与えてみる、
この肉はムーングローでの戦闘で得たものだ、
ここまで持ってきたかいがあった、
肉の効果があったのか調教に成功した、
この犬の名前をPotiと名ずけて、野宿の友としよう。
見晴らしの良い、村の入り口付近の塀の上に陣取って野宿をすることにした、
残念ながら、キャンプセットは銀行に預けてあるから、
安全なログアウトは出来ない・・・
危険は承知の上だが、ここなら近くに衛兵もいるから大丈夫だろう。
それにぽちも居ることだしな、
ぽち、俺の寝ている間はこのパックを見張っているんだぞ。
ぽちの頭を撫でているうちに、疲れが体の心から湧き出してくるような気がする、
そして、俺は深い眠りに沈んでいった。
98 11 16 Cove → Minoc Joker
あまりの寒さで目が覚めた。
なんでこんな所で寝ているのか、なかなか思い出せなかったが、
ポチが擦り寄ってきて、やっと思い出した、
疲れ果ててコーブの入り口のゲートの上で寝てしまったのだ。
荷物を確認してみると、何も無くなっていない、
ポチが守ってくれたのだろうか、
なんて頼もしいやつなんだ。
ポチには生肉を与え俺は朝食を我慢する、残念ながら肉を焼く薪がない、
動物は生肉を食べられるが、人間様は焼いた肉しか食えないのだ。
すきっ腹を紛らわす為に、
村の中の様子を見て歩く、やはり動物の多い村だ。
建物の屋上の衛兵の周りに鳥がたくさん居るが、
衛兵に当りそうで矢を討てない、残念。
衛兵に攻撃しようものなら問答無用で殺されてしまうのだ・・・
村の出口付近で、鳥を見つけた、残り少ない矢で、やっとの思いで仕留める。
これでなんとか矢が作れそうだ、ほっと胸をなで下ろす。
コーブを出て木こりをしながら矢を作る、目指すはミノックである。
昨日モンスターに散々出会った辺りを迂回しようとも思ったが、
ムーンゲートにあまり近ずくとPKに遭いそうなうえに、遠回りだから、
深入りしないように慎重に進む、ほかのPCが結構歩いている。安全の証拠だ。
このまま行けばなんとかなりそうな辺りまで来たとき、
とうとうモンスターに出会ってしまった。
Orcだっ、それも重装備の戦士タイプのやつだ、
昨日の二の舞いになるのはごめんだから、
さっさと逃げる、しかし、森の中で木に引っ掛かってしまい、
身動きがとれなくなった、
理由は解らないが体がまったく動かなくなってしまったのだ。
気が付くと灰色の世界だった、死んでしまったのだな。
幽霊になって何も出来なくなっても目は見え耳は聞こえる・・・
ポチのなきごえが聞こえる、
ポチがオークに攻撃しようとしているだ、
止めろポチ、お前のかなう相手じゃない、
ポチ、俺は死んだんだ、逃げろポチ、
霊となった俺の声はポチには届かず、
ポチは必死に俺の死体とアイテムを守ろうとしている。
止めろポチ、お前まで死んでしまう・・・
ポチの断末魔の叫びが聞こえ、俺の目からは涙がこぼれた。
幽霊となった俺の手は、まだ温もりの残るポチの死骸を抱き上げることも出来ない、
ポチすまない、お前の死は決して無駄にはしない。
おまえ達犬族が、主人に忠実なことが良く解った、
それ以上に、
モンスターがペットよりも主人を最初に標的にすることも解った、
これでペットを使った戦闘のやり方の感じは掴めた・・・
お前は身を持って様々なことを教えてくれた、
お前が生まれ変わってもう一度俺に出会うことが有ったなら、
その時には、俺はお前にとって守りがいのある主人になっている事を約束する。
ヒーラーを探し、オークの攻撃をよけながら、なんとか復活し、
(じつはその間に何度も死んだ)
自分の装備品を拾い、ポチの遺骸に手をあわせた。
ポチの遺骨をひろう余裕は無かった、
オークの攻撃を避けながらアイテムをかき集めなくてはならない、
いくつかのアイテムも無くなっていた。
街までの道のりは長く辛かった、銀行にアイテムを幾つか預け、
酒場でワインを飲む、日本酒が欲しいところだが・・・
この酒場にはワインとシャンパンしか無い様だ・・・
ポチの事を思い出し、自分の不甲斐なさを思い出して、
長テーブルにつっぶしていつのまにか酔いつぶれていた。
98 11 17 Minoc Joker
昨日の酒がまだ残っているようだ・・・
二日酔いのふらふらする体を、だましだまし酒場を出る。
とりあえず町中の手ごろな木を切る。
おっと同業者さんだ、景気はどうだか聞いてみよう、
なになに街の中じゃ良い木が残ってないってか、
しかしなぁ街の外は危険だし、
製品を売りに戻ってくるのもたいへんだしなぁ、
みんな苦労しているんだなぁ。あっ名前聞くの忘れた。
俺は危険を承知で街の外で木こりをするのだが・・・
あまり街から離れないようにと、気にはしているのだが、
知らず知らずのうちに森の奥へと入っていってしまうのだなぁ。
そんな身のほど知らずな木こりの側にやってきたのはウマに乗った戦士だった、
何やってんだろうと不思議に思っていると、
突然バックパックの中の金貨が消えた、こりゃすりだぁ。
カード圏外だし、反撃するにもそいつの技量が解らない、
どう対応しようかと考え込んでいると、今度は矢が消えた、
一度ならずも二度もすられてしまった・・・
矢が無くては戦えない・・・これで反撃する手だても消えた。
こうなったら泣き落とししかないだろう、
せめて矢だけでも返して欲しいと泣いて頼むが、
「これはもう俺のもんだ」と薄笑いをうかべている。
まったくその通りだ、こんな広い所で、しかもすぐ側でじっとしている人が居ても、
逃げ出さない俺の方がどうかしている。
そもそも、金貨を取られたときすぐに間合いを取るべきだった、
弓使いの最低限のセオリーさえ出来ていなかったのだ。
盗んだのはそいつだが、悪いのは俺の方かもしれない、
矢を取られたのは痛いが、ゴールドは殆ど銀行に預けてあるので僅かだ、
授業料としては、むしろ安いとも考えられる。
やつは返して欲しければ、力ずくで盗れと言うが、
矢が無ければまともな戦いは出来ない、
下手に手を出せば、返り討ちに遭って身包み剥がれてしまいかねない。
いや、まてよ、なぜこいつは襲ってこないのだろう、
そこまで悪い奴では、無いのかもしれない、意味の無い殺しはしないのかもしれない。
冷静に分析してみよう
1、なぜ俺をターゲットに選んだのか?
そこにPCが居たから、と、言ってしまえばそれまでだが、
もしかすると、森の中で眠りこけているか、動けなくなっていると、
思ったのかもしれない、俺も動かない人を見ればそうだったように、
おいしい話が目の前に転がっていれば、
誘惑に勝つのは難しい、しかし、こいつは盗みのスキルがかなり高そうだ、
単なる偶然にしては、出来すぎている、
やはりこの手の盗みの常習犯だろう。
2、なぜ盗みをはたらいたのか?
これは簡単である、俺が逃げなかったからだ、
逃げ出せば盗むことは出来なかったはずだ。
盗みは犯罪であるが、それで生計をたてているPCも居るのである。
深読みすれば、盗みをはたらいて相手を怒れせ、先に手を出させて、
被害者としてPKして身包み剥ぐ考えだったのかもしれない。
先に手を出したほうが犯罪者になるのだ・・・
もっともそれ以前に盗みをしているから、
非情に面倒な話になってしまうのだが・・・
3、なぜ金と矢を盗ったのか?
俺の持ち物に金目の物が無いと思ったのだろう、
斧は安物に見えただろうし、職人道具は売れないと思ったのかもしれない、
はじめは金だけとって逃げるつもりだったのかもしれない、
問題は次に盗んだのが矢だったということだ、
俺が反撃出来なくするために、矢を盗んだのだとその時思ったが、
そこまで冷静な盗人がいるだろうか、俺がよっぽど弱そうに見えたならともかく、
弓が俺の主力武器だとゆうことは、奴には解らなかったはずだ、
だとすると現金の次に価値が有りそうだったのが矢だったのではないか、
もっとも盗みのスキルを使って、ランダムに盗んだとしたなら単なる偶然だが。
これからは面倒でも矢は二つに分けて持つようにしよう。
少なくとも矢をいっぺんに全部盗まれることはなくなるだろう。
4、奴はなぜ盗みがばれた後直ぐに逃げ出さなかったのか?
まず逃げる必要が無かったということ、
俺の仲間が近くに居るとは考えられなかったし、
俺が怒って先に手を出せば、奴は正当防衛で俺を倒せるのだ。
奴は骨の鎧を身に着けていた、店では売っていない珍品だ、
盗んだとも考えられるが、そうだとしても骨の鎧を持っているほどのPCから、
盗みが出来るほどのキャラクターだ、
相当の実力は有るのだろう。
5、結局なんだったのだろう?
悪く考えれば、盗人に物を取られた挙げ句に笑われた。
良く考えれば、物を取られはしたが、世間の厳しさを教えられた。
問題なのは奴の意図だ、純粋に盗みが目的だったのか、
盗るものは問題ではなく、からかうのが目的だったのか、
此所は危ないよと教えてくれる反面教師だったのか、
その幾つかが組み合わさっていたのか、
途中で気が変わって、結局こうゆう結果になったのか。
俺は歩き出していた、奴の名前なんかもうどうでもよかった、
手持ちの残りの羽で、矢を作らなくてはならない。
羽の残りは・・・二枚か・・・とほほ、
しかたなく歩いていると何やら黒い影が横切った、
コンドルだ、今の俺に仕留められるだろうか、
仕留められるどころか、こっちがやられかねないでかさだ、
慎重に狙いを定め、一本目の矢を放つ、命中だ、
二本目で止めの一撃・・・のはずが、死なない、
結構体力がありそうだ、止めを刺そうとちかずきながら、
ナイフか斧のどちらを使うか悩んだほどだ。
ナイフで滅多打ちにして何とかしとめたが、
本当ならこいつは羽にしないで、ペットにしたかった、
こいつなら狩人の友にはぴったりだったろう。
木を切り矢を作りながら、街に戻る足取りは重かった。
酒場のドアも重かった。
今日は戦いは僅かで体は無傷だったが、心はずたずただった、
もっとも、これこそが俺の望んでいたオンラインの世界なんだが・・・
街中の宿屋と酒場の治安が良いのがせめてもの救いだ、
ワインの酔いがまわってきて、ほろ酔い気分になってきたころ、
すぐ側で悲鳴があがって、スリか何かがガードに成敗されたようだ、
どさりと音を立てて犯罪者の死体が俺の隣にひっくり返った、
やはり此所も安心は出来ない、しかし、俺から金を盗んだスリも、
きっとこの死体のように無残な姿を何度もさらしたことだろう、
悔しい気持ち半分、可哀相な気持ちも半分だ、
盗人や人殺しに安住の地は無い。
それにしても、何よりも自分の力の無さが情けない。
今日も酔いつぶれそうだ。
98 11 20 Minoc Joker
相手が悪かったな泥棒さんよ、
いきなり俺の隣の椅子に座り、
酒場で人様の懐を探るもんじゃねぇよ、
逆に身包み脱いで置いていってもらおうか、
って、何にも持ってねぇじゃねぇか、ちぇ、盗人の方が一枚上手か。
俺はミノックの酒場で、これから何処へ遊びに出かけようかと思案中だったのだ、
そろそろと近寄ってくる奴が居たんでこいつは怪しいと思っていたら、
案の定、泥棒だったと言う訳だ・・・
俺はマクロでガードを呼んで、
泥棒を成敗してもらったのだが、
泥棒の持ち物を剥ぎ取ろうと思ったら、
泥棒は何にも持っていなかったということの次第だ。
命の危険が伴う盗人は、
いつ死んでもいいように貴重品は持ち歩かないのが決まりのようだ。
俺も命の危険がある場所に行く時には参考にさせてもらおう。
ここでうろうろしていても何も変わらないので、
行き付けの大工の店に立ち寄ることにしよう、
店のドアを開けて中に入るのと、
何処かで見かけたような男が居る・・・
おっとなんだい、また会ったじゃねぇか、
こいつはさっきの盗人じゃねぇか・・・、
盗人が大工の店に何の用が有るんだ、おや、意味も無い会話をしてるじゃねぇか、
なるほどそうやって獲物を待つわけだな、上手い手を考えるもんだ、
おや、もしかすると犯罪者は店員に相手にされないのかな、
だとすると、どっかで一仕事してきたのかい、
盗んだ物をこの店で売りさばこうって魂胆かい。
どっちにしても、いい勉強させてもらったぜ、それも授業料ただでね。
あんたの名前は忘れないでおくよ、この次ぎ会うときが楽しみだからね。
おっと、こんなことをしている場合じゃないな、今日はスキルを上げるんだ。
まずはガードに教えを請う、
ガードなら戦闘系のスキルがかなり高そうだ、
なになに忙しくて教えてくれない、そんな殺生なぁ、
しょうがない、戦士のギルドにでも行ってみるか、
戦士のギルドなら一端のファイターが揃っているだろう、
なになに、76Gも取るのか、しょうがないなぁ、素直に払おう。
接近戦をするつもりはないが、Tactics(戦術)を教えてもらった、
戦術は全ての戦闘能力に関わっている、例えば剣のスキルが高ければ、
剣の威力は強くなるが、戦術的にはTacticsによって効果が変わってくる、
いずれは、弓の訓練所にいずれは行こうと思っているが、
訓練で弓の能力が上がっても、戦術まで上がるとは限らないから、
上げられるうちに上げておきたいスキルだ。
その後銀行に行ったり不要品を売ったりして、身を軽くする。
今日はとりあえずまじめに木こりをしよう、
前回で懲りたから、ガード圏内で木こりをする、
ただし西側の海の側だ、前に一度鳥の狩りに成功したあたりだ、
鳥を捕まえて羽を手に入れて、
矢を作らないことには弓使いの商売上がったりだ。
木こりの同業者さんも結構がんばっている、
おや、ペットになっていない犬が居る、この街にはペットを預かってくれる、
馬小屋が有るからペットを持っても安心だ、ここらで一匹ペットを飼うか。
懲りずにpotiとなずける、肉をあげると大喜びする、かわいい奴だ。
ポチをかまいながら、木こりをしていると、
夢にまで見た鳥が飛んできた、戦術を上げた効果が出てくれるといいが、
斧をバックパックに突っ込み、愛用のクロスボーを装備する、
慎重に狙いをさだめるが、動きが速い、一発目は外れた、
二発目が命中、どんなもんだ、一切れの肉と羽を手に入れた。
羽が手に入って気分が良いので、ポチにご褒美の肉をあげようとおもったが、
ポチの姿が見えない、かなり遠くで犬の鳴き声が聞こえる、
鳥を追うのに夢中で逸れてしまったのだ、
散々探し回り、大声でポチの名を呼ぶが見つからない、
苦し紛れに近くに居た同業者さんに聞いてみる、
親切に教えてくれた、ありがたい、良い人も居るもんだ、
やっとの思いでポチと出会い、思いっきり抱きしめた。
そのあとで今日作った物を店に売る。
またポチと逸れるのも嫌だから、ものは試しに馬小屋にポチを預けてみるか、
馬小屋の管理人に、お願いしてみるが、もういっぱいで預かれないと言う、
しかたなく酒場でポチと、抱き合って夜を明かすことにした、
俺が眠ったら、ポチ、俺の荷物を見ててくれよ。
あのな、今朝もここで盗人がなっ・・・
Zzzzzzz
98 11 23 Minoc Joker
おっといけねぇ、また飲みすぎちまった。
俺の場合、嫌なことが有っても、良いことが有っても、何にも無くても、
次の日は二日酔いと相場が決まっているのだが・・・
ふらつく頭をなだめながらバックパックを見てみると、
現金が無くなっている、そういえばなんか夢を見ていたような気がする、
ポチが居なくなって・・・散々探して・・・そこら中歩き回って・・・・・
そうだ、思い出した、銀行に総て預けたんだ。
ほっとしたのもつかの間、ポチがまた居ないのに気が付いた、
あれは夢じゃなかったのか、いったいポチは何処へ行ったのだろう、
悩んでいてもしょうがない、
物陰などに居ても名前が表示される便利なマクロを組んで、
ポチを探すことにした、
さっそくマクロを実行してみると・・・
いたいた、こんな飲み屋の壁際にはまり込んでいた、
しかし、これじゃ餌もやれんなぁ、
しょうがない、これからは君の思うような人生を生きたまえ。
ペットは可愛くて頼りになる反面、行動の重荷にもなる、
初代のポチが懐かしい、が、感傷に浸っている暇はない、
商売をしなくては、
いつも通りに木こりをしたのだが、今日はやたらとペットに出会う日らしい、
オオカミを二匹と犬を二匹ペットにしてしまった、とほほ、
手持ちの肉は餌であげてしまった、さらにとほほ、
犬のうち一匹は言うことを良く聞かんので、野生にもどした、
三匹の"pa"pe"po"を引き連れて、酒場へ戻ってきた、
今日も色々な人に出会ったなぁ、
三匹の頭を撫でながら思もいだす。
Noriさんは、昔付き合っていた人に似ていたし、(おいおい)
なんだか俺と同じ様な格好の人がミノックに増えたしなぁ、
死者のローブに大工の前掛け・・・
べつに俺の真似をしている訳ではないのだろうが・・・
おや、肉が欲しいのか三匹のペット達?
もう一切れも残って無いんだよ、
金はそこそこ有るから、今度は肉屋でカルビの脂ののった一番良いとこを、
ご馳走するからな、大人しく待ってろよ。
そんなことをペット達に話し掛けているうちに、
ワインの酔いがまわってきていたが、
俺は次の旅の事を考えていた、
ムーングローに帰るには未だ早い、
インゴッドも貯えたいし、戦いのスキルも上げたい、
やはり弓の訓練所の有る街に行こう、
そのうえで、資産を十分ためて、ムーングローに帰ろう、
故郷に錦を飾って、立派な魔法使いに成るのだ。
地図を広げてどの街が俺の希望を適えてくれるのか考えてみる、
どうやらYewには弓の訓練所もあり、
動物も多そうだ・・・
さて、Yewには、どいつを連れて行こうかな・・・
夢と眠りの中で、三匹がじゃれあっていた。
98 11 25 Minoc → Yew → Minoc Joker
そそくさと旅の支度を整える、
いよいよ、Minocを出て、長旅の始まりである。
ペット達は腹が空いているのか、
俺の命令に知らん振りをしているが・・・
いいさ、一人で行くもん、君たちは君たちの人生を生きたまえ。
それにしてもどうゆうルートで行こうか、
Yewは遠い、途中で砂漠や深い森や山を越えなくてはならない、
地図を見てみると、どうやらムーンゲートを使って行けそうだ、
ペットを連れてムーンゲートを潜るとどうなるのか実験したかったが、
それは向こうでペットを見つけて、帰りにやってみるとして、
今日は一人でムーンゲートの方へ歩き出した。
Minocの町の中は人がいっぱいだ、銀行の近くはとくに人が多い。
銀行に貴重品を預けて、生活道具を身に付けて、
キャンプ用品をどうしようか迷ったが、
ムーンゲートで一気に旅をするのだから、
野宿はしないだろうから、要らないだろうと、
思い切って持っていかないことにする、
この事が後に大変なことになるのだが・・・
ムーンゲート周辺の地図を手に、一思いに飛び込む、
見慣れたムーングローのムーンゲートも通過して、
目指すユーへ向かう。
ユーの周辺の森は今まで見た森と随分違っていた、
流石は木こりの村が出来るほどの森だ、
家よりも大きい様な木が立ち並び、昼間でも暗い、
最初に見つけた建物は、僧院だった、
巨大な建造物で何をやっているのか解らないが、
人が沢山居た。
こんな所で時間を無駄にしてはいられないので、
僧院見物は、そこそこに切り上げ、
村の中心付近を目指すことにした、
しかし、これだけ木が多いと木こりの血が騒いでしょうがない、
折角だから木こりをしながら歩くことにした、
ここは動物も多い、早速鶏を狩って矢を作る、
村の中に入ってからは、ここに来るまでの間に作った小物を売ろうと、
雑貨屋を探したのだが、何処にも見つからない、
それどころか、宿屋さえも見つからない、
どうやらそうとう田舎らしい、
宿屋が無くては野宿しなくてはならない・・・
キャンプ用品を持ってこなかったのが悔やまれる。
仕方が無いので大工の店で売れるものを売って、
今日の目的の弓の訓練所に向かった、
それにしても人の少ない所だ、
訓練所にも人が殆ど居ない、訓練用の的も空いていた、
早速訓練しようとするが、どうも上手くゆかない、
もしかするとこれは初心者用なのだろうか?、
俺の弓のスキルはもう30以上だ、
ということは、俺は実戦で鍛えるしかないのか、
とほほ、こんな所まで来て、目的を果たせずに帰るしかないとは、
とぼとぼと、帰りの道を歩き出したが、
折角だから粉引き所を見ていこう、どうせ通り道だし、
粉引き所の屋根の上に沢山の鳥が居る、
弓で狙ってみたのだが、流石に遠い、当らん。
しかし、鹿の死体を見つけた、ラッキー。
俺にとっては貴重な、皮と生肉を手に入れた、
きっとこの鹿を倒した人には、価値の無いものだったので、
ここに残して行ったのだろうなぁ。
訓練所を出てからずっと、
キャンプ用品を持ってこなかったので、
意地でも日帰りで帰らなくてはいけない事を後悔していたが、
本当は帰らずにここで遊んでいたいのだが・・・
鹿の皮で荷物が一杯になってしまったので、
もう帰るしかなくなってしまった。
本当ならユーで一泊して小物を沢山作ってから、
ミノックに帰るのも良かったのだが・・・
何が災いするか、何が吉となるか、
先が読めないのが人生である。
ムーンゲートの手前で、やぎを二頭ペットにする、
羊だったらウールが取れるのだが・・・
ちょっと発想を変えてみる、何か忘れていることが有ったような・・・
そうだこれでムーゲートでのペットの振る舞いの実験が出来る。
やぎを引き連れてムーンゲートを潜ると、
やぎは一頭になっていた、なるほど、忠誠心が関係している様にも思える、
とにかく、何らかの理由でペットがついて来れないことも有るようだ。
このやぎをどうしようかと考え込んだ、
このまま連れて歩くわけにもいかない、
殺してしまうには、情が移ってしまている、
野生に戻してあげよう、さあ、
誰かお前を必要としている飼い主と出会うんだよ、
みんな俺みたいに良い人ばっかりじゃないから、
殺されそうになったら逃げるんだよ。
少し歩いて振返ると、やぎはまだ俺を見ていた、
たった一日だけのペットだったが、
別れは辛い、しかし、泣いている暇はない、
酒場に残してきたオオカミ達が心配だ、
きっと腹を空かしていることだろう、
何処かにふらふらと行ってしまうかもしれないし、
腕試しに殺されてしまうかもしれない。
酒場のドアを開けると、懐かしい顔がこちらを向いた、
おいおいそんなにじゃれるなよ、
俺は今日の獲りたての生肉をこいつらに与え、
残り少なくなってきたワインを飲みながら、
今日一日の出来事を話して聞かせた、
もっとも意味は通じて無いだろうが・・・
もっと肉がもらえるのかと思ったのか、
じっとして話を聞いている。
それにしても、なんかおまえら数が減ってないか?
ひぃふぅ・・・酔ったのかなぁ、
いくら数えても昨日より減っているような・・・
まあいいや、それも人生だ。
98 11 27 Minoc Joker
目が覚めると何か変なことに気が付く、
ペット達が居ないのだ、
とうとう一匹も居なくなってしまった。
なんてこった、探しに行きたいが、
今日は鉱山に行くつもりだったから、諦めて一人で酒場を出た。
ペットの扱いはやはり難しい。
鉱山にいきなり行っても上手くゆかないだろうから、
手始めに鉱山のギルドでスキルを上げてもらう、
おっといけない、金が無かった・・・
木こりして小物を作って金を工面する、
100G以上の金が工面できた、随分と腕を上げたもんだ、
我ながら感心する、このくらい魔法と戦闘系のスキルも高ければ・・・
愚痴は言うまい、早速工夫のスキルを上げてもらった、
なにぃ、有り金全部たいてしまった、とほほ、こんなに金が掛かるとは、
嘆いていてもしょうがない、後は自分の努力でスキルを上げよう、
スコップを担いで鉱山に向かう。
鉱山は今日も人でいっぱいだ、常連さんにこの辺の様子を聞くと、
PK が出没しているらしい、気をつけなくては・・・
そんな話をしているうちに、外人のスリが出てきた、
たまったもんじゃないから、逃げ出す・・・
細工道具を盗まれてしまった・・・とほほ
とぼとぼと歩いていると、おや、俺が盗まれたもんが落ちている、
あんまり下らない物を盗んだのでスリも呆れて捨てたのだろう、ラッキー。
しばらくやってみたが、どうも鉄鉱石は掘れるが、その精製が上手く行かない、
今日はこのくらいにして終わろうと思ったのだが、
なんか物足りない・・・まだなんか出来そうな気がする、
たいがいこうやって何か無計画にやると大失敗するのだが、
今日もやってしまった、
町からちょっと離れた辺りで、木こりをしているとなにやら外人が話し掛けてくる、
他にも同業者が居たので安心しきっていた。
この外人はしきりに弓使いかと聞いてくる、
何を言いたいのか英語で良く解らんので、黙っていると、
死んでもらうと言ってきた(何故かこの英語は解る)
黙って殺されてはたまらんので、反撃する。
相手は軽装備のうえに威力も弱そうな弓を持っているだけだ、
慎重に戦えば俺の方が断然有利なはずだ、
最初の反撃は失敗した、弓に斧を持ちかえるのが遅かったのだ、
弓で反撃しようと間合いを取ったのが仇になった、
次の攻撃に手間取っているうちに、奴の矢がぷすぷすと刺さる、
こんなへなちょこ矢で、俺を倒そうって言うのか、
俺は薄笑いを浮かべたが、その笑いは直ぐに凍り付いた、
足が動かなくなっているのだ、
魔法か?
いや違う、荷物が重すぎるのだ、なにしろ60本も丸太を持っている、
もしかすると、あいつの矢には毒が塗ってあったのかも?
とにかく異常なほどに体力を消耗していた、
慌てて丸太を捨てたが、そのあいだにも矢が飛んできていた。
やっとの思いで丸太を捨てたとき、もはや瀕死の状態だった、
有効な反撃が出来ないまま、俺は灰色の世界へと沈んでいった。
気が付くと治療所のベットの上だった。
もう俺の死体のある場所へは戻れないだろうなぁ、
あまりに遠すぎるし、アイテムは奴に取られてしまったろう、
とうとう貴重なアイテムを失ってしまった、
拾い物のクロスボーも、魔法が掛かっていたらしい斧も、
総てが俺の手から離れてしまった。
生まれて始めて買ったアイテムだった、斧の魔法の謎は永遠の謎となった。
しかし、アイテムは金で買えるが、悔しいのは自分より弱そうな相手に負けたことだ、
しかも、弓使いにだ。
だめもとで、俺が殺された辺りを捜してみるが、何も見つからない、
鶏が居たので、ナイフで戦ってやっとの思いで仕留めた、
なんだか悲しくなってきた、鶏に苦戦するとは・・・
もうろくなことが無いので、帰ろうと町への道をとぼとぼ歩いていると、
鹿と戦っている人が居る、
護衛の NPC を雇っているようだが、苦戦しているようだ、
ナイフで加勢して、二人掛りで鹿をなんとか仕留めた、
まったくの素人どうしの、戦いかただった、
おたがいに苦笑いして、別れた・・・彼はこの先大丈夫だろろうか?
人の心配をしている場合じゃ無い、
これからいったいどうやって生きていったら良いのか・・・
鹿から肉と皮を取り、酒場へ戻る、
疲れた、本当に疲れた、もう嫌だこんな生活。
98 12 02 Minoc → Vesper cJoker
いったい何日ぐらい経ったのだろう?
森の中で外人PKと戦い、死んでからというもの、
ミノックの酒場で飲んだ暮れる毎日が続いている。
もう商売をする気も、冒険をする気も失せていた・・・
いっそ一思いに死んでしまおうと、何度も考えていた・・・
ふらふらと酒場を出て、浜辺を歩く・・・
何かが落ちている、空の瓶だ・・・こんなもの・・・
拾い上げて海に投げ捨てようとした時、
何かがひらめいた、
この瓶の中に、もしも体力回復の薬が入っていたなら・・・
あの森の中で死んだ時に、もし回復の秘薬を持っていたら・・・
俺の中で何かが変わった、
今までの考えを、まったく変えて、
攻撃中心から守り中心に変えてみては・・・
そうだ、相手を倒すことより、自分が生き残ることを優先にしてみる、
重装備に身を包み、魔法で結界を張り巡らし、
ドーピングで体力も知力も上げ、
失った体力は薬で直ぐに回復する・・・
それこそが危険地帯で生き残れる唯一の方法ではないのか?
思い出すまでもなく、他の PC 達は、そうしているように見える。
魔法を学べないミノックに居ては駄目だ、
ムーングローに帰ろう、
まてよ、ベスパーでも良い、ベスパーに寄ってからでも、遅くない。
銀行に残っている金の残高を考えていた、
魔法を学にはまだまだ足りそうもないが、
斧と職人道具を買えば、なんとか生活していけるだろう・・・
最低限の道具さえあれば商売は出来るはずだ。
思い立ったが吉日で、俺はベスパーに向かって走り出していた。
ミノックとベスパーは隣同士の町だ。
長い森を抜けたどり着いたベスパーの街は、俺の今まで見た中では一番の都会だった、
この水上都市で、どれだけの事が出来るか解らないが、
やれるだけのことはやってみるつもりだ、
斧と職人道具を買い、木こりに精を出す、
プレートを拾う、悪いことばかりじゃない、
(後にこれはプレートではなくただのシャツだと解った)
欲を出して染色道具も買ったが、染色の設備が見つからない・・・
まあいい、これは後のお楽しみだ。
魔法の店も見つけた、ここには俺のやりたいことがたくさん有る、
何としてでも、強くなってやる。
夢と希望に胸を膨らませながら、宿屋に向かう途中に乞食に出会う、
なんだか昨日までの俺の姿を見るようで、悲しくなった。
少しばかりの金を恵んでやると、
お礼にとバックをくれた、ありがたい、人助けはするもんだ。
宿屋で姿を隠す訓練をする、こんな事が出来たのかと、
自分でも驚く・・・なぜもっと早く覚えなかったんだろう・・・
スキルは奥が深い・・・
変な外人が寄ってきたが、相手にしないで姿を隠して眠りにつく、
もっと早く姿を隠せるようになっていれば・・・もっと安全に生きられたのに、
悔しい思い出が今日も俺を悲しくさせる・・・
涙で枕を濡らしながら深い眠りに落ちていった。
98 12 03 Vesper Joker
まずはじっくりと魔法の解説書を読む。
ふむふむ、成る程・・・
魔法を唱えるには、様々な薬草が必要なのか。
当然魔法のスペルを知っていなくてはいけないし、
両手も空いてないといけない。
でもって、薬草を買出しに出かけることにする。
魔法の店をうろついていると、魔法のマスターが居た、
こりゃ魔法を習わなくちゃ。
なになに300Gもとるの?
そんなに持ち合わせは無いよ・・・
とにかく有り金全部はたいて教えてもらうことにした。
これじゃ薬草も買えないので、買い物は一時中断して商売に精を出すことにした。
小物を売り歩いていると、乞食が寄ってきた、
施しをする余裕は無いのだが、
これも何かの縁だと、わずかばかりの金を恵んでやる、
なになに、ミノックの何処かに何か有るのか?
なにやら面白そうなうわさを教えてくれた。
うーん今はそんなことにかまってられない、後で調べよう。
僅かばかりの金では有るが、なんとかいくらかの薬草が買えた、
簡単そうな魔法もいくつか覚えた。
さっそく魔法を試してみよう。
ありゃ硫黄が無い・・・こりゃ買い忘れたな、
慌てて店に飛び込んだが、何処も在庫切れ・・・
成る程、重要度の高い薬草などは、不足気味なのか。
銀行から金をおろして、様々な薬草を買い占める、
おっと硫黄も見つけた。
すったもんだしながら、何とか魔法の実行に成功する。
めでたしめでたし・・・
しかし、これじゃ金がいくら有っても足りん。
しばらくは魔法の勉強をしながら商売に精を出すか。
宿屋に向かう道すがら、楽器をつま弾く、
楽器の演奏は心を強くしてくれる、
楽器を演奏する理由が解った、
魔法使いは心が強くなくてはいけないのだが、
楽器の演奏がそれに最適なのだ、
これからは、心と体の両方を鍛えていかなくては。
98 12 04 Vesper Joker
働かないと魔法の勉強どころか生活も成り立たん。
それにしても腹がへった・・・
随分前に釣り人から買った魚の切り身が有ったのを思い出した。
あれを食べちゃおう、商売用の丸太で薪を作り、
火をおこす、その火で魚を炙って焼く。
うーん旨そうな焼き魚だ、しかし、量が足りないなぁ、
今度銀行に行ったら貸し金庫に預けてあるペット用の生肉も、
焼いて食うか。
そう言えば、ベスパーに来てから動物を見かけない、
都会は俺のような貧乏人には、暮らしずらい所なのだな。
まあいいさ、貧乏暮らしもさまになってきた、
いろいろと拾い物をするし、やはり貧乏と苦労は若いうちにしておくもんだ。
それにしても腹がへった。
98 12 07 Vesper Joker
腹がへっては戦が出来ぬ。
幸いにも鳥を捕まえるのことができたので、
焼いて食べた、旨かった、これからは定期的に食事をとることにしよう。
魔法の店に出向いたが、めぼしいスクロールは売っていない・・・
なんかベスパーは俺には向いてないのかなぁ。
毎日が物足りなく感じる、
しかし、この街を出るにしても未だ遣り残した事が有った、
訓練所に立ち寄るのを忘れていた、
訓練所は混んでいたが、何とか順番待ちをして、
ダミー人形を叩く、なかなか大変だ。
もう少し訓練をしてから、何処かよその街に移動するとしようか。
98 12 09 Vesper Joker
魔法の店が空いている時間帯に立ち寄ってみる。
やっぱりたいしたスクロールは売っていない・・・
こりゃ訓練を早めに切り上げて、よその街に移動したほうが良いようだ。
98 12 10 Vesper → Moonglow Joker
魔法の強化のために何か対策を練らねばならない・・・
ベスパーの魔法の店では欲しいスクロールがみつからないのだ、
ここは思い切ってムーングローに戻ることにしよう。
どうしても諦めきれない訓練所に立ち寄ってみる、
やはり混んでいる、まあいい、実戦で鍛えよう。
銀行に貴重品を預け、一路ムーンゲートを目指す。
なかなかムーンゲートが見つからない、
そう言えば、前回ムーンゲートを潜ったのは、一ヶ月も前のことだ・・・
うろうろしているうちに鷹を見つけた、
銀行に預けてしまって満足な武器も無いが、
ナイフを手に襲い掛かる・・・
勝てない・・・距離を取って、体力の回復を待って、
再び襲い掛かるが、獲物の体力も回復している・・・
こんな事をしていては、いずれ死んでしまう・・・
しかたなくミノックの銀行に斧を取に行く、
そう、もうミノックの側まで来ていたのだ、
銀行の周りは人でいっぱいだった、
同じ色のローブを着た人たちが・・・きな臭い話しをしてる、
ありゃきっと詐欺の集団だな、なにやら相談をしている・・・
そういえば、ベスパーの銀行の周りでも、
スクロールを売っていたがあれは本物だったのだろうか?
モンスターは怖いが、詐欺はもっと怖い・・・
斧を手に鷹のいた辺りに戻ると、鷹の姿はもう無い、
代りにオオカミを見つけたのでさっそくペットにする、
そんなこんなでうろうろしていると、
さっきの鷹が、のこのこ現れた、
オオカミに鷹を襲わせながら、俺は斧で切りかかる、
もう一息というところで、見たことも無いモンスターが背後から現れた、
こりゃ絶体絶命のピンチだ、
半分逃げ腰になっていると、オオカミが勇敢にもモンスターに向かって行くではないか、
ペットのオオカミはモンスターの一撃で襤褸切れのように吹っ飛んだ、
ありがたい、モンスターの攻撃はオオカミに向けられた、
死ぬなよ・・・もし新死んでも、お前の死は決して無駄にはしない・・・
俺は振り返る余裕も無く、森の中へと逃げ込んだ、
逃げてばかりの人生だが、卑怯者と笑いたい奴は笑えばいいんだ、
この世界では、生き残った者が勝者だ。
逃げ回りながらもしっかりと回りは見ている、
途中にブタと牛が居た、これはしっかりと覚えておこう。
しばらく逃げ回ってからモンスターの現れた辺りを捜してみる、
未だモンスターが居るかもしれない、慎重に歩く、
おっ、有った、これは鷹の死骸だ、俺がさっきしとめたやつだ、
これが欲しかったばっかりに、大変な目に遭ってしまった、
記憶を頼りに辺りを見まわすと・・・
こっ、これは、さっきのオオカミの死骸だ、ちくしょうやっぱり逃げられなかったのか、
しかし、お前が命懸けで戦ってくれたおかげで、
俺の命が助かり、こうして鳥の羽が手に入ったんだ・・・
涙は心の汗だ、流れるに任せながら、この羽で矢を作る。
早速矢と弓を作りながら、さっきのブタと牛を探して仕留める。
武器さえあれば、動物相手の戦いくらい屁のかっぱだ。
勢いに乗って更に鳥を仕留める、
今日の狩りは大漁だ、この羽で矢を大量に作って護身用にしよう、
木を切っていると、鹿と出会った、生きている鹿を見るのは久しぶりだ、
俺のクロスボーが唸りをたてて矢を放つ、
鹿は逃げる間も無く、肉片と皮へと姿を変えた。
それにしても大量の皮が手に入った、
とてもこれを持ってムーングローまでは行けない・・・
またまたミノックの銀行に駆け戻り、裁縫道具を持って皮のところまで戻る。
せっかく手に入れた皮だ、このまま捨てて行くのは惜しい、
この皮で、グローブを作る、もう少しスキルが上がれば、
もっと色々な防具が作れるようになるだろう。
このあと、またまたモンスターに遭遇したり、
熊と格闘したりしながら、ムーンゲートを潜り、
ついに生まれ故郷のムーングローへ帰りつく。
故郷に錦を飾るとは言い難いが、
ここを旅立った時から比べれば、
随分と成長したもんだ。
さあ、胸を張ってムーングローのゲートをくぐろう、
俺は逃げ帰って来たのでは無い、
新たなる旅の準備のために、ここへ帰ってきたのだ。
俺を守って、楯になって、死んでいった者達の為にも、
胸を張ってゲートをくぐろう。
98 12 11 Moonglow Joker
ああっ、良く寝た。
やっぱり高級旅館(?)は、いいなぁ、
おっと、説明しなくては何のことか分からんな、
ムーングローには二つの宿屋が有る、
一つは俺の出発点となった、The Scholar's Inn だ、
ここはちょっと規模が小さ目で、なんとなく俺のお気に入りだ、
もう一つは夕べ泊まった、Moonglow Student Hostel だ、
こちらは規模も大きく、店の前には掲示板まで有る、
久々の故郷だから良い宿屋に泊まったと言うわけだ。
宿屋を出て胸を張って歩く、
当然目指すのは、魔法の店だが・・・良く考えてみれば金が無い、
銀行預金を減らしたくは無いので、ちょっと商売してからにするか、
木こりをしながら銀行にむかう、装備も点検しなくてはならない、
銀行まで歩く道すがらどんどん木を切る、弓まで作る・・・
俺も随分成長したもんだ、これなら億万長者も・・・夢か・・・
おっと木を切りすぎたか、重くてたまらん、少し売りに行かないと・・・
銀行の貸し金庫で装備を整え、小物を売りに雑貨屋に行こうかと思っていると、
何やら裸の男が近ずいて来る、
ミノックならともかく、こんな所で裸の奴は、どうせろくな者じゃない、
盗人か何かに違いない、くわばらくわばら、さっさと用を足して行こう。
おや、ガードのマクロを教えてくれだと?
なるほど俺のプロフィールを見たんだな、
俺はプロフィールに泥棒除けのアイディアを載せているのだ。
ああ良いよ、金が掛かるわけじゃない、
そんな事ならいくらでも教えてやるよ、
詳しく話しを聞くと、まだこの世界に来て二三日だと言う、
そりゃぁ大変だ、これから難儀するぞ、
折角だから店での売り買いの仕方を教えてやろう、
このさいだ、クロスボーと仕上げ鉋をくれてやろう、
結局うまく売れなかったようだが、
なんとか感じはつかんだようだ。
なになに、知り合いのHP(ホームページ)を教えてくれるって、
そいつはありがたい、旅の情報は多いほどいい。
渡したクロスボーを返そうとしている、
謙虚な人だ、それはもう君の物だ、
君のこれからの旅のたしにしてくれ、
その代わりに、もしもう一度二人が出会うことが有ったなら、
決して敵としでなく、友達として再会しよう、
お互いに今よりもっと強くなって・・・
宿屋に向かう道すがら、俺は今までよりもっと胸を張っていた、
この世界で生きて行ける、これならやれる。
懐かしい古巣の宿屋の戸を、勢い良く開け、
宿屋の主人に挨拶を簡単にすませ、部屋のベッドに身を滑り込ませる、
今夜見る夢は、さっき教えられたHPの夢だろうか?
98 12 12 Moonglow Joker
胸を張って歩いてばかりではなく、
うつむいて歩いていたらば、なんとフラスコを拾った、
結構フラスコが溜まってきたなぁ、十個たまったら科学者に挑戦だ。
魔法の店に向かって歩きながら木こりをする。
懐具合がかなり寂しいが、何とかなるだろう・・・
島の北の外れに有る魔法屋で買い物をする、
第三サークルのスペルが結構有る、
やはりムーングローの魔法屋はレベルが高い。
金の手持ちの関係で、欲しいスペルの総ては買えなかったが、
試してみたかった幾つかのスペルを手に入れた、
銀行に預けてある薬草を取り出し、テレポートを試してみる、
何度やっても失敗だ・・・とほほ・・・
こりゃ薬代が大変だ。
98 12 13 Moonglow Joker
銀行の側でも結構拾い物をする、
何気なく銀行の屋上を見上げていると、骨の鎧が落ちている、
これはラッキーだ、
銀行に預けてある薬草を取り出し、テレポートの魔法を唱える、
失敗を繰り返してばかりで、薬草の残りが心配だ、
屋上に上がれたものの、降りる分の薬草が無くなったりしては・・・
魔法の失敗を繰り返しているうちに、
他の人に拾われてしまった・・・悔しい・・・
そのうちどどんと、薬を買いだめしよう、
その為にも金を稼がなきゃ。
今日は大学の方に木こりに出かけるとしよう、
昔からみると随分と楽に金が稼げるようになった、
木工の失敗が少なくなったし、そもそも木の切り出しが旨くなった。
探知のスキルを使いながら慎重に移動する、
鳥や動物を狩って、戦闘系のスキルも上げながら、
装備も整えようとゆう魂胆である。
そうこうするうちに、ブタと牛を見つけた、
早速出来立てのクロスボーを試してみる、
最近は鳥の狩りに失敗しなくなったので、
出し惜しみせず、矢をどんどん放つ、
狩りには成功したものの、皮が重くて歩けなくなってしまった。
ソーイングキットは銀行に預けたままだ、
しかたなく銀行まで皮をドリブルしながら歩く、遠い。
やっとの思いで運んできた皮で、
欲しい装備を作るが失敗ばかりだ、
もう少し簡単なものから作り始めないと駄目なのだろうか?
98 12 14 Moonglow Joker
本当は魔法の店にスペルを買いに行きたいのだが、
魔法の勉強がまだまだである。
もう少しどんな魔法が有るのか学ばなくてはいけない、
なんだか同じスペルをダブって買ってしまいそうだ。
まずは商売、商売、金が無くては魔法はできん。
98 12 15 Moonglow Joker
銀行の側でマントを拾う、
すっかり屑拾いが板に付いてしまった・・・
魔法の練習の為に貧乏に拍車がかかっている、
魔法を唱える時には触媒が必要になるのだ、
薬草や鉱物等だがこれを大量に消費するのだ。
大学の方に出かけてみるが、
ブタや牛は見つからなかった、
鳥が沢山居たので、羽は手に入ったのだが・・・
本当は皮が欲しかったのだが・・・
皮が大量に有れば、裁縫の練習になるのだ、
木材でしか金もうけが出来ないのでは、
どうも不安なのだが・・・
98 12 16-18 Moonglow Joker
連日街からそう遠くない森の中で、
狩りと木こりをしながら、若干の金を稼ぎ、
街から離れたところにある魔法屋にスペルを買いに行く日々が続いている。
魔法屋までの道のりを木こりをしながら歩き、
街に戻って来るころには、
バックパックが木工品で一杯になっているのだ。
魔法の練習も欠かさず行っているが、
なにせマグが低い今の状態では、練習の効率が悪い・・・
おまけにスペルを唱えるのを失敗しても、
ちゃんと薬草は消費するのだ。
UO の魔法は本当にやっかいだ、
スペルがなかなか手に入らず、
覚えるのが一苦労なのに、
やっと覚えても、唱える毎に複数の薬草を必要とする、
しかも、マナを消費して回復するには時間がかかるのだ。
暇さえあれば、潜伏や霊能力の練習も欠かさない、
これでマグが増えてくれれば良いのだが・・・
とにかく、赤字にならずに何とか暮らしている、
ムーングローに帰ってきてからというもの、
平和な毎日が続いている・・・
ちゃんと色々と覚えて成長もしているのだが・・・
死ぬ事も、危険な目に会う事も無い、
何か物足りないような気もする。
贅沢な悩みだろうか?
98 12 19 Moonglow Joker
あちゃぁ、
細工道具が壊れちゃった。
こりゃまいったなぁ、
ちょっと説明しておくと、
俺の生活の糧は、一番に大工で、それと同じくらいに弓を作っている、
どちらも、材料に木材を使用する、
そこで、木こりで大量の木材を伐採して暮らしているわけだ、
弓作りでも大工でも、どうしても半端な木材が残る、
そもそも競争の激しい業種は、なかなか製品が売れなかったりする、
そこで、半端な木材で、競争のあまり無い木製道具を作れば、
元手も掛からず、確実に36g位は稼げるのだ、
実際に家具や弓(特に弓)は、なかなか売れずに困ること度々だが、
大工道具が売れなかったことは一度も無い、
ちょっと小銭が足りない時や、丸太が重くて困った時など、
随分と重宝したもんだ・・・
思い起こせばこの細工道具は、ミノックまで買いに行った思い出の品だ、
泥棒に盗まれたことも有ったし、PKに持って行かれたことも有った。
今のところマナがまだまだ足りないことも有るし、
魔法の勉強は、マナがもう少し上がるまで中断してでも、
細工道具を買いに行こうかな・・・
思い出の町、ミノックまで。
98 12 21 Moonglow → Minoc Joker
色々考えてみたが、やっぱりミノックに行くことに決めた、
そうと決めたらぐずぐすしてはいられない、
銀行に行き旅の支度を整える、普通の旅人なら、
旅に出る時に、鎧などの重装備に着替えるのだろうが、
俺の場合はまったく逆である、
旅の途中で装備を失っては困るので、
どうでも良いようなものばかりで、身を固める、
なんか急にびんぼー臭くなってしまった・・・とほほ・・・
ムーンゲートの通過も手慣れたものだ、
おっとムーンゲートに入る前にムーングローの街の方をちらりと見る、
まだまだ遣り残したことばかりだ、直ぐにもどってくる・・・
ムーンゲートも無事通過して、一路ミノックを目指すが、
ただ歩いていっても芸がないので、前に狩りに成功した辺りに、
ちょっと寄り道しながら歩く、と言ってもナイフしか持ってないから、
あまり良い獲物に出会っても、悔しいだけだが・・・
ミノックに着くと、早速銀行に駆け込み預けてあったスコップを装備する、
そう、まずは山に芝刈り・・・じゃなくて・・・穴掘りに向かう、
鉱石を掘りながらマナを上げるスキルをチェックして、
体力とマナの両方を上げる作戦である、
ちなみに穴掘りは体力を上げるのに有効である。
じわじわと上がって行くステータスを見ながらにやにやしていると、
スコップが壊れてしまった・・・
まぁいいや、インゴットもいくらか出来たし、
予想していた以上にステータスも上がった、
穴掘りはこのくらいにして、当初の目的の細工道具を買いに行く、
折角ここまで来たのだから、ミノックで少し商売をしてから、
ムーングローに帰るとしよう。
ついでだから、ベスバーかユーあたりに寄って行くのも良いかもしれない、
そうか、ミノックには薬草を売る店が無いのか、
薬草が尽きたら魔法の練習が出来なくなってしまうのだ、
もしかすると治療所で売っているかも知れないが・・・
薬草が切れればどっちにしても、とこかの街に移動しなくては。
やりたいことがいっぱい有って困ってしまう、
やはり旅は楽しいなぁ。
98 12 22 Minoc → Vesper Joker
結局ベスパーに来てしまった、
いけねぇ、治療所に寄って薬草を売っているか調べるのを忘れた。
それにしても商売は順調だ、細工道具で作る大工道具も良く売れるし、
木工品も良く売れる、いつも在庫過剰だった弓も(安いが)完売だ、
あれよあれよという間に銀行預金を倍にしてしまった。
これで思い切って魔法が使える、流石は商売の街だけのことはある、
欲しいものは欲しいだけ売っているし、買い取ってもくれる、
人が多くていつも混雑しているのが玉に傷だが・・・
街の北の外れの森の中で木こりをしながら動物を探したが、
まったく見つからない、やはり狩りには向かない街か・・・
ミノックでもそうだったが、クリスマスでそこいら中が賑わっている、
クリスマスツリーもあちこちに有る。
いけねぇ、調子に乗って無駄使いしそうだ、
ちょっと懐が暖かくなると気が緩む、
スリにも注意しないといけない。
宿屋も随分混雑している、この世界で暮らしている人総てが、
幸せなクリスマスを迎えられるように、
キリスト様に祈りながら床についた。
98 12 23 Vesper Joker
狩りをしないということは、矢の消耗も無いということだが、
全然狩りをしないというのも、なんだか寂しい、
寂しいだけなら未だ良いが、弓と戦略のスキルが成長しないのには、
困ってしまう。
今日は狩りに出かけよう、昨日うろついた森の中で、
本格的に動物を探せば、何か見つかるだろう、
旨いことにあの森は、雑貨屋に近い、
商売にも都合が良い。
雑貨屋で昨日の残業分(?)のクロスボーを売り、
森の中へ入って行く、追跡のスキルを使い、慎重に森の中を進む、
どこにも動物が居ない・・・こんなはずはない、
この場所で以前に牛などの狩りをしたことがあったのだ。
やっとの思いで見つけた鶏も、既に誰かのペットであった、
カルマが下がるのを承知の上で、追跡すると、
その鶏は家の中で飼われていた、これでは手の出しようが無い、
狩りを諦めて雑貨屋へ向かおうとしたその時、
動物の痕跡を発見した、
クーガーだっ、強そうである、
攻撃を仕掛けるべきか、このまま通り過ぎるか、
しばらく考え込んでしまった。
かなり足が速そうだ、もしも俺が手痛い傷を負えば、
逃げ切れないかもしれない、
そもそも、俺の弓の腕で、倒せるのだろうか?
答えは意外なことで出た、
直ぐ近くにヒーラーが居るのだ、
もしも、死んだとしても、直ぐに復活できる、
迷わず弓を引いた、気持ちいいくらいの奇麗な攻撃だ、
クーガーの鋭い牙の威力はどれくらいのものなのか、
体で試してみたくは無い、距離を充分に取って戦う、
距離が遠い為か、なかなか当らないが、
確実にクーガーは弱ってきている、
いったいどれくらいの時間だったのだろうか?、
気が付くとクーガーは生き絶えていた、
解体してみると、意外なことに皮が手に入った、
肉は焼いて食べようとしたが、調理に失敗して黒焦げだ、
仕方が無いので、皮の加工に挑戦したりしながら、
近くの雑貨屋に製品を売ったりする。
皮の無駄が多いので、裁縫のスキルを上げたいところだ。
動物に思うように出会えないし、
皮の加工にも失敗してばかりだし、
なんだか思うように事が進まないので、
今日は切り上げることにしよう。
宿屋の直ぐ側まで来た時に、試してみたいスキルを思い出した、
Anatomy解剖学である。
こんなスキルが何の役にたつのかと思っていたが、
マナを上昇させるのに有効なようだ。
宿屋の入り口付近で通りかかる人を手当たり次第にスキルの対象にした、
人々は師走(?)の街を忙しく行き交っているが、
一人だけ宿屋の前で呆然と立ち尽くしている人が居る。
いったい何をやっているのだろう?
話をしてみると、今日初めてこの世界にやってきたと言う、
全くの初心者だった。
商売のノウハウを教えてあげたが、
体力が無くて、とても木こりが出来る状態では無かった、
そこで、体を鍛える手伝いをしてあげることとなった。
体を鍛えるには、手っ取り早くプロレスだ。
彼が先に手を出してカルマを下げたが、
俺も犯罪者になっている彼に、回復の魔法を掛けたので、
お互い様だ。
彼の名前は PO- さん、
何をやっても初めての体験で驚きの連続だった、
町中で殴り合っている俺達をみて、
マイルドセブンさんという人が、話しかけてきた、
マイルドセブンさんは、俺と同じくらいの経験の PC のようで、
一緒に PO- さんに、色々と手ほどきをしてくれた。
ちなみに俺の名前もたばこの名前だというと、
二人は兄弟だと意気投合してしまった、
様々な訓練の方法を互いに研究し合い、
マイルドセブンさんとは別れた、
PO-さんは訓練所に行きたいと言う、
俺は宿屋に帰ろうかと思っていたところだったから、
PO-さんを、訓練所まで送ってあげて、
街の西の外れの宿屋に今夜の宿をとる事にした、
PO-さんはこれから大丈夫だろうか?
マイルドセブンさんとは、また会えるだろうか?
これからのことは誰にも解らない、
それはこの世界に生きる者すべてに言える事だろう。
98 12 25 Vesper Joker
PO-さんにまた会えるだろうか?
また会えるのなら今度は、何を教えてあげようか?
しかし、この世界は広い、なかなか会いたい人に出会えない・・・
だけど自由気侭に歩き回るには、
一人歩きも悪くない・・・ちょっと危険だが・・・
ベスバーの北の森を探検してみる、
ベスバーは北の外れに雑貨屋が有るので、
探検の帰りに、旅の途中で作った物を売るのにも都合がよい、
いまだかつてこんなにも街から離れた事が無いほど、
遠くまで出かけてみたが、納得のいくほどの狩りにならなかった。
それにしても、広い森だ。
準備を整えてまた改めて探検に来よう。
98 12 28 Vesper Joker
街から北を目指して進む、いったいその先に何が有るのか解らないが、
駆け出しの冒険者を驚かせてくれる、夢の世界くらいきっと有るはずだ、
いつもだったら引き返すあたりで、ちょっと考えてしまったが、
どうせ死んでもともとの人生だ、海まで行くことに決めた、
追跡のスキルで動物を探しながら慎重に歩いていると、
森の中で動く人影がある、
良く見ると首が無い・・・
そう言えば、日本の幽霊は足が無いが、西洋の幽霊は首が無いなんて、
聞いたことがあるような無いような、
考えている間にもモンスターはちかずいてくる、
このままではやられてしまう、
斧で切りかかろうかと思ったその時、気が変わった、
武器をクロスボーに持ち替え、
モンスターと距離をとって戦う、
相手の強さが解らない場合は、敵にちかずかないのが鉄則だ、
苦戦するのを覚悟していたのだが、あっけなくモンスターは倒れた、
こんなんで良いのだろうか?
モンスターの死体を探ってみると、バックパックと幾らかのお金・・・
出だしはまずまずと言ったところか。
その後これと言ったモンスターとは出会無い、
なんとかラバを狩ったが今日は狩りとしては失敗かな、
海上を飛び去るカラスを二度ほど見たが、
羽を得られる動物を狩ることは出来なかった、
このままでは矢が不足してしまう、銀行にストックしてある羽も、
残り少なくなってきている、なんとか対策を考えなくては、
とうとう海まで来てしまった、引き返すかそれとも・・・
地図を見ながらしばし考える・・・
どうやらここは海に突き出した半島の付け根のようだ、
この半島を一回りして帰ろう、
とは言うものの、もうバックパックの中は肉や皮の切れ端で、
いっぱいになっている、
木を切っても持って歩けない、
木こりは中止だ、半島の先までダッシュ、
おっと、何か大きな建物が有る、
ちかずいて見ると、塔のようだ、かなり大きな建物だ、
いったい誰の持ち物なのだろうか、
いつの日にか俺もこんな城の主になってみたいものだ。
半島の中にはいつくもの塔が建っていた、
それと、直ぐ側の海岸には沢山の船が接岸してある、
まるでこれから艦隊決戦でもあるかのようだ。
こんな場所まで、ほとんどの PC は来ないだろうから、
きっとこのへんは家を建てて、旅のベースキャンプにするには、
最適の場所なのだろう、たしかに他の人に出会わない。
街に戻ると直ぐに、雑貨屋で木工品を売る、
あまり金にはならなかったが、面白い小旅行だった。
肉屋に肉を卸す前に銀行で荷物を整理する、
矢の不足を補う為の鳥の羽をどうするか悩んでいると、
銀行の入り口で鳥の羽売りを見つけた、
珍しい売り子だ、こんな物をいくら売っても金にならないだろうに、
早速300枚ほど買う、
鳥に出会わなくて困っていると言うと、
ユーに行けとアドバイスしてくれた、
そりゃ解っているけど、ユーは生活するのに不便すぎる。
TOMOEGOさんというその人は、いったいどんなふうに生きてきたのだろう?
骨の鎧を着て、その上からローブを羽織っている、
決して初心者ではない、むしろ修羅場をくぐり抜けて来た口だろう。
TOMOEGOさんは、俺に羽を渡し金を受け取るとさっさと歩き出した、
何処に行くのかと後をつけてみると、
道端に落ちている宝箱を拾った、
そりゃあ、やばいんじゃないかなぁ、
爆発性の罠に街中ではまると、
危険行為をしたとして、ガードに殺されてしまうのだ、
もちろん罠にかかった方の人が・・・
俺もそこに宝箱が落ちているのは見えていたし、
おそらくここを通ったほとんどの人は見ていただろうが、
みんなは罠か、誰かの売り物だと思って、
通り過ぎていた宝箱だ。
三つ落ちていた宝箱を全て拾うとTOMOEGOさんは、
何処かへいってしまった、
俺は後を追おうと走ったが、見失ってしまった、
何処かで爆発音がしたような気がする、
TOMOEGOさんでなければよいのだが・・・
宿屋に向かって歩きながらも、気が気でない、
この世の中何が起こっても不思議ではない、自分の身は自分で守らねば、
雑貨屋に立ち寄り店員と話をしていると、
何か見慣れないものがテーブルの上に・・・
クリスマスチケットの半券だ、
クリスマスのプレゼントとして、
ゲームに参加している人全員に、
番号の入ったチケットが配られたのだ、
同じ番号のチケットを合わせると、
通常は手に入らない特別なアイテムが、
プレゼントされるというしくみだ、
こんな所に有るところをみると
置き忘れたか、相手を探すのを諦めて捨てたか?
それも3600番だっ、捜し求めていた俺のチケットの半分だっ、
早速半券どうしを合わせてみたが合わない、
よくよく調べてみると、俺の持っていた半券は36000番だった、
おしい、これで黒タブが手に入ると思ったのだが・・・
黒タブが有れば通常は作れない、
黒い衣装が作れるのだが・・・
宿屋で今日の出来事を色々と思い出してみる、
あの塔は凄かった、おまけに半券を合わした時にしか手に入らない、
クリスマスツリーが飾ってあった、
凄い人も居るもんだ、あんな高価な建物を持ち、
強力な海軍と言っても良いほどの船を備え、
半券の片割れを探し出せるだけの情報網を持っている、
何かを知るたびに自分がどんどん小さくなっていくようだ、
まるで今の俺は、荒野で迷子になっている、
仲間から逸れたウサギのようだ・・・
98 12 29 Vesper Joker
昨日は巨大な塔を見て、かなりショックを受けた、
これからはリスクを承知でがんがん行こう。
まずは危険に備えて、銀行に預けてある包帯を引き出そう、
包帯は傷の手当てに使える、薬の方が効果が有るが、
薬はもう少しスキルを上げてから自分で作って持ち歩くようにしよう。
おや銀行の直ぐ近くに死体が有る、
なんだろう、泥棒がガードに征伐された様には見えないな、
周りで様子を見ている人たちの話を盗み聞きしてみると、
皆それぞれ勝手な事を話している、
どうも事情が良く分からない、
みんなも不思議がって事の成り行きを見守っている、
俺の予想だが、おそらく罠の掛かっている宝箱にでもはまったのだろうな、
人込みの中に紛れて様子を見ていると、
その中の一人が突然弓矢で攻撃されだした、
攻撃した方の人は、平然と追撃している、
町中でこんな戦闘ができるのは、
犯罪者への攻撃かギルド戦争位のもんだ、
ことの一部始終を見ていない俺には、
どうもちんぷんかんぷんだ、いったい何が起こっているのだろうか?
そうこうしているうちに、最初の死体が骨になった、
骨になってしまえば、遠慮なくアイテムを頂ける、
実は野次馬の世間話に耳を傾けながら、
死体の懐にどんなアイテムが有るのか探っておいたのだ、
もちろん、既にこの死体からアイテムを盗んで行った人が、
ちゃんと無事で居ることも確認済みだ。
欲を出してつきを落としたくはないから、
俺の商売に関係の有る、斧だけを頂く、ありがたい話だ。
今日はついているかもしれない、
思い切って遠くまで狩りに出かけよう、
地図を見て、ベスパーの北の外れの森を探検することに決めた、
しかし、歩けど歩けど何にも出会わない、
岬の先端でモンバットを見つけたが、
海上を飛びまわるだけで攻撃してこない、
矢を大量に無駄にしただけで、何も得られない・・・
もっともアーチャーのスキルは上がったろうが・・・
帰り道は探索のスキルを使いながらとぼとぼと歩く、
今日も大きな塔を見た、金が欲しい・・・それもたくさん・・・
おやっ、なにか居る・・・オークだっ・・・
鎧を着ていないオークだ、昔ミノックで散々な目に会ったオークだ、
ここで会ったが百年目、俺の強さを測るには丁度良いチャンスだ、
武装を整え魔法を準備して、慎重にちかずく、
弓の射程距離ぎりぎりの所から、慎重に狙って戦闘を開始する、
オークにかなりの打撃を与えた、思ったより弱そうだ、
しかし、次の瞬間信じられないことが起こった、
強力なファイャーボールが体を直撃し目の前が炎に包まれた、
防具が有効に働いてなければ即死していたかもしれない、
距離をとって再度クロスボーの狙いを付けるが、
今度はDEXを下げる魔法の直撃を受けた、
DEXが低くては弓は使えない、弓をかなぐり捨てて、
攻撃魔法で応戦する、が、もう立っているのもやっとだ、
最後の力を振り絞り回復魔法で体勢を立て直そうとするが、
もはや反撃する余力は無かった、
体勢を立て直す前に、世界は灰色に染まった・・・
灰色の世界の中で、ヒーラーの位置を思い出していた、
オークに戦闘を仕掛ける前に、ヒーラーの位置を確認していたのだ、
復活後は慎重に死体の位置に戻り、装備を取り戻す、
どうやらまだ近くにオークが居るらしい、
探索のスキルを使いオークの位置を探る、
なにしろ復活した直後は HP が、殆どゼロなのだ、
しばらくじっとしていて体力の回復を待つ、
もしも、今度オークに出会ったのなら、
まだ実用段階になっていない弓で戦わず、
初めから強力な魔法で戦おう、
手加減せずに、本気で一撃に仕留めよう、
体力も回復し戦いの準備が完全に整った時、
オークが突進してきた、まってたぜ今度の俺はさっきと違う、
強力な攻撃魔法を連発して一気にオークの息の根を止めにかかる、
もう一息で止めを刺せるというところまできて、
マナが尽きた、もうオークの攻撃されるままだ、
回復の魔法を唱えるマナも残っていない、
完全な敗北だ作戦ミスだ、
魔法を使うオークなら、魔法耐性もずば抜けて高かったのだ、
俺の魔法攻撃は、かなり弾かれてしまっていたのだ。
唖然としながら灰色の世界に落ちて行く、
死によるカルマの低下と、重要なアイテムの喪失と、
自分の考えの甘さと、世界の厳しさを知る、
他に言うことは無し、それだけ・・・
98 12 30 Vesper Joker
一番大切なバックを失ってしまった・・・
昨日は、大変な一日だった、
オークが強いことは良く解ったが、
失う物も多かった、何とか挽回せねば。
なくしたバックの中身と言えば、
魔法で使う薬草と狩りに使う矢の総てだ、
これが無くては森へ出かけられない、
矢は銀行に預けてあったストックの羽からあらためて作るとして、
問題は薬草である、買えば相当の金額になる、
銀行の預金を使わずに新たに稼いだ金でやりくりしよう。
雑貨屋からあまり離れずに弓や楯を作る、
街から遠く離れてモンスターにでも出会ったら大変だ、
反撃するだけの装備を整えるまでは慎重に行かなくては、
じつは、オークの攻撃で自慢の(手作りの)鋲打ち皮の鎧が壊れてしまった、
丸裸の状態でうろうろしているのである。
最初に儲けた金で、鎖帷子を買う、
皮の鎧を一式自分で作り上げるまで、
モンスターの攻撃は待ってくれないだろう、
鎖帷子は鍛冶屋のスキルを磨いて自分で作るつもりだったが、
いったい何時になったら自分で作れるようになることやら解からない。
一気に金を稼げる弓を大量に作った為か、
弓作りのスキルが随分上がったようだ、
新たにヘビークロスボーが作れるようになった、
高級なアイテムはスキルが高くないと作れないのだ、
俺の旅の始まりはヘビークロスボーを拾ったことから始まったようなものだ、
ムーングローの森の中で拾ったクロスボーを手に旅を始め、
PK に奪われ、生活の為に弓を作って売り、
ついに自分でクロスボーを作れるまでになったのだ。
しばらくは商売に精を出そう。
98 12 31 Vesper Joker
大晦日だ、銀行の前の広場では、
テーブルや椅子が並べられ、お祭りの準備だろうか?
時間が有れば俺もお祭り騒ぎにまざりたいところだが、
みんなが遊びほうけている間に、
しっかりと金を稼いでおこう、
街まで戻る時間が惜しいので、初めて森の中で寝る、
姿を隠して見えない状態になって寝れば、
安全なはずだが、なんか心配だ・・・
99 01 01 Vesper Joker
森の中で目を覚ました、どうやら無事だったようだ、
木を切って木工品を作りながら街の方へ戻って行く、
もちろん探索のスキルを使い動物を探しながらだ。
何気なく自分のペーパードールを見てみると、
いつのまにか俺の職業は木こりになっていた、
確かに最近は木こりに専念している、
それと言うのも、ヘビークロスボーが作れるようになったのは良かったが、
いざ作ってみると失敗ばかりなのだ、
ヘピークロスボーの作成には大量の木材を消費する、
おまけに魔法の練習用の薬草を大量に仕入れる資金も稼がなくてはならない、
街の外にいるほとんどの時間を木こりに費やしているようなものだ。
街に戻り製品を売っていると、
銀行の前に馬売りが沢山の馬を引いて歩いている、
何とはなしに聞き耳をたてていると、
馬一頭270Gだと言う、
店で買えば800Gは下らない高級品のはずだ、
これはお買い得だ、おまけに今は懐が暖かい、
迷わずに一頭頂く。
馬を買ったからには、名前をつけなくてはいけない、
しばらく考えて、BUGと名ずけた、
これからの旅の相棒だ、よろしく頼むぜ BUG
声を掛けるとひひぃーんと嘶く、可愛い奴だ。
こんな俺でも一端の動物使いだ、
BUG にペット命令を出してみると、また嘶き俺の後を付いてくる、
なんて可愛い奴なんだ。
早速宿屋で果物や野菜を買い込んだ、もちろん BUG の餌だ、
餌にバナナを与えるとまたまた嘶く、
もっと BUG と遊んでいたいが、商売もしなくては・・・
BUG の背に跨って、町の中をさっそうと駆け抜ける、
早い、こんなに馬が便利だったとは・・・
森の中に分け入って木こりをしてみる、
馬に跨ったままでも木が切れる、
おや豹の痕跡を見つけた、
強敵だが一度倒したことがある、
今度も何とかなるだろう、
斧からクロスボーに持ち替え、
パックパックの中の木を総て矢に加工する、
これで戦闘準備完了だ、
充分に距離を取ってクロスボーで攻撃を開始する、
手痛い傷を負うだろうが負けはしないだろう。
しかし、もう一歩のところで刺し違えてしまった、
豹も必死だ、俺が回復魔法を唱えようと、
クロスボーをはずした隙に、最後の一撃を食らってしまった、
唖然としながら灰色の世界に落ちて行く俺、
幽霊になった俺を必死に追いかけてくる BUG 、
豹も瀕死のはずだ急げば止めをさせる、俺はすぐさまヒーラーを見つけて復活する、
偶然だろうが BUG がすぐ傍にいる、
よくぞここまで付いて来た、BUG に跨り駆け出す、
死体の場所に戻り薬草の入ったパックパックを引っ掴み、
回復魔法を連続で唱える、
完全な状態にまでは、回復していないが、
今の瀕死の豹なら勝てるはずだ、
一発で仕留める為に、斧を装備する、
弓のように攻撃速度の遅い武器では、
豹に回復する時間を与えてしまう。
瀕死の豹めがけて強力な斧の一撃を見舞う、
飛び散る血飛沫と断末魔の雄たけびが聞こえ、
豹はもんどりうって倒れた、
返り血を浴びて俺はただ呆然と立ち尽くしていた。
豹の最後の鳴き声を聞いていたろうに、逃げればよいものを、
愚かなブタが一匹、俺と豹の間を横切って行った、
迷うこと無く斧がブタの頭と胴体を切り離した、
願わずも大量の皮と生肉を手に入れることが出来た、
もちろん戦闘系のスキルもアップした。
街に戻り宿屋に今夜の寝床を確保する、
BUG を撫でながら、うとうとしていると、
馬に跨ってさっそうと駆け回る俺の姿が浮かんできた、
俺はムーングローのジョーカーだ、
魔法と弓を自在に操る職人だ、
夢と現実の狭間で今日もまた眠りにおちてゆく。
99 01 02 Vesper → Minoc Joker
町を出てうろうろと歩きまわっていると、
豹に出会った、弓を取り出して攻撃開始・・・と思ったが、
よくよく考えてみると、自分で動物を狩っているのでは、
弓のスキルしか上達しない、
それに、回復魔法を自分にかけるにも、
弓をバックに仕舞ってからしか、魔法は使えない、
非常に能率が悪い、
この豹を手下に加えて、豹使いになるのもいいかもしれない、
動物使いのスキルを使い豹を手下に加える。
しばらく豹を引き連れて歩いていると、
今度は熊に出会った、
熊との戦闘も止めて、熊もまた手下に加える、
熊と豹を引き連れて歩いていたが、
流石に二匹の動物を扱うには骨が折れる、
ミノックまで行って、どちらかの動物を馬屋に預けておくとしよう、
ミノックの側まで来た時、
今度は鷹に出会った、鷹をつれて歩くのはなかなかかっこよさそうだ、
熊と豹は馬屋に預けて、鷹を肩にのせて森の中をうろうろしてみる、
ベスパーとは違って、ミノックの周辺には動物が多い、
牛を見つけたので、鷹に襲わせてみる、
鷹の攻撃力はたかが知れているようだ、
おまけに牛は結構体力が高い、
牛相手に苦戦している、
鷹に支援魔法をかけながら、弓で応戦する、
これはなかなか面白い戦法だ、
結局鷹は死んでしまったが、
熊や豹ならかなり強力な戦力になるだろう、
魔法の練習を兼ねながら、しばらくはこの戦法で行くとしよう。
その後,豹と熊はJeremiahという、ミノックの馬屋の管理人に預けた。
99 01 05 Minoc → Moonglow Joker
ミノックに居ると言っても、場所的にはベスパーにも近い、
二つの都市の間くらいをうろうろしている。
本当はミノックの南のダンジョンでも、
探検してみたいのだが、あの辺は PK が多そうだから、
誰か一緒に行ってくれる仲間が欲しい。
しょうがないのでうろうろと南の方に歩き出した、
ダンジョンまでは行かなくても、
その手前くらいに、よく動物が出現していたのだ、
見慣れないところに誰かの家が建っている、
そう言えば長いことベスパーで暮らしていたから、
この辺もすっかり変わってしまったのかもしれない、
家の前にベンダーが居る、この店の店長だろう、
冷やかすつもりで、何を売っているのか聞いてみると、
どうやら魔法関係の店のようだ、
リコールの巻き物も売っているようだ、
残念ながらちょっと前にリコールの巻き物は手に入れてある、
もっとも肝心のマークの魔法がまだだが・・・
リコールとは思い描いた場所に一気に飛べる魔法だ、
飛ぶ場所はマークの魔法でルーンに書き込むのだが、
俺の場合は、ルーンを作れるだけの魔法の力が無い、
折角のリコールも宝の持ち腐れになっているのだ、
誰かが書き込み済みのルーンでも売ってくれれば良いのだが・・・
店主のリストを良く見ると、
何やら大量のルーンが有る、
いくつかのグループに分けられたルーンを、
見ていると一つの規則性が有ることに気づいた、
これはブリタニアの都市の数と同じだ、
つまり、各都市の書き込み済みのルーンを売っているのだ、
値段も安い、早速俺の移動範囲のルーンを買い込む、
試しに今居るところから一番近い、
ミノックへ飛んでみる、
一瞬にして見慣れたミノックの銀行の前に飛んだ、
これで移動が随分楽になる、
気を良くして、どうせなら全ての都市のルーンを集めようかと、
もう一度あの店に行ってみる、
おや、店の近くにオオカミが居る、
まずはこいつを手下にしよう、
しばらく話し掛けてみたが、
うまくいかない、こんなはずはないのだが、
うろうろとオオカミの後をつけていくと、
死霊に出会った、
こいつは魔法で攻撃してくるやっかいなモンスターだ、
弓で距離を充分に取って攻撃する、
様子が変だ、異常に体力が下がっていく、
毒に体が侵されているのだ、
死霊の攻撃魔法の影響だ、
回復魔法を唱えても効果が無い、
無理に戦いを長引かせて死んでしまってはつまらない、
なにしろバックの中には買ったばかりのルーンが入っているのだ。
死霊に止めを刺すのは諦めて、
リコールでミノックの銀行前に飛ぶ、
体力は瀕死の状態で、さらに毒が消えずに残っていた、
今までなら死んでいたところだろう、
移動魔法の重要さを思い知らされた、
ついでだから、
この機会に治療のスキルを鍛えておこう、
包帯を使って、傷の手当てをする、
治療は成功しているはずなんだが、
体力が回復しない、毒がまだ残っているからか?
毒消しの魔法を唱えると、
体力がじわじわと回復してきた。
もう一度死霊退治に行くのも良いが、
薬草の残りが僅かになってきた、
残念ながら、ミノックに薬屋は無い、
ベスパーに戻ってもいいが、
ルーンのテストも兼ねて、
リコールでムーングローに飛ぶことにしよう、
久々の故郷だ。
今日は懐かしい宿屋に泊まるとしよう。
99 01 09 Moonglow → Vesper → Moonglow Joker
久しぶりにムーングローの街を歩く、
何処を見ても懐かしい、
懐かしさに感じ入っている場合では無い、
魔法で使う薬草を買わなくてはいけないのだ。
銀行で金をおろさないと、懐が寂しいが、
ここはひとつ頑張って、今日の買い物分くらいは、
一稼ぎして資産を温存しよう。
とりあえず手持ちの200Gで、買えるだけの薬草を買う、
これでなにか危険な目に会ってもリコールで逃げられる、
安全を確保した上で、森の中で木を切り木工品を作る、
もちろん、探索のスキルを鍛えるのも忘れてはいない、
動物は居ないかと、慎重に辺りを探る、
いたいた、野ウサギがうようよ居る、
カラスも捕り放題だ・・・
野ウサギからは、皮が取れる、
カラスからは矢作りに欠かせない羽が取れる、
肉は焼いて自分で食べる、腹が減っては戦は出来ぬだ。
ちなみに、肉を焼く為に薪を作ると弓作りのスキルが鍛えられる、
薪に火を点けるのはキャンプのスキルを使う、
肉を焼く時には、料理のスキルが鍛えられる、
自給自足しながら、自然に強くなってゆくのだ。
おっ、鹿だ、こりゃいい獲物だ、
鹿くらいの体力が有る獲物は、
弓のスキルも上がる上に戦略も鍛えられる、
おまけに狩りに成功すれば、大量の皮が手に入る、
皮からは様々な靴や衣服を作れる。
流石にバックが重くなってきた、
この辺で街に戻って製品を売るとしよう、
雑貨屋でクロスボーを売るが、
全部買い取ってくれない、
おかしいなぁ、ベスパーではもっと大量に売れたのだが・・・
そうか、街ごとに商品のキャパシティーが決まっているのだ、
商売の街であるベスパーでは、
大量に同じ物を買い取ってくれるが、
(しだいに安くなるけど)
ムーングローなどでは、
簡単に在庫過剰になってしまうのかもしれない。
売れないものはしかたがない、
折角リコールの魔法が使えるようになったのだから、
ベスパーまでひとっ飛びだ、
ベスパーでは全ての商品を買い取ってくれた、
めでたしめでたし。
このままベスパーで新生活を初めても良いのだが、
ムーングローもにも、街の外に有る魔法屋に薬草を買いに行きながら、
狩りも出来るメリットも有る。
ベスパーでは、なかなか狩りも出来ない・・・
ミノックの馬屋に預けてある、
熊たちも心配だが、ムーングローに戻るとしよう。
しこたま薬草を買い込んで、魔法の練習をみっちりしよう。
今のところ心配なのは、
唯一の防具である、鎖帷子がどの位痛んでいるかだ、
防具の状態を知るスキルも鍛えなくては・・・
99 01 10 Moonglow → Vesper → Moonglow Joker
魔法の練習を兼ねて、森の中をうろうろする、
ムーングローでは街から遠く離れた場所に魔法屋が有ったりする、
薬草を買おうと、魔法屋に行く道すがら狩りが出来たりする。
ムーングローの南の外れの魔法屋付近は、
鹿狩りのメッカだ、初心者達に紛れて俺も弓を振り回すとしよう、
larkさんという剣士が鹿の皮をぶちまけて立ち尽くしている、
勝手に皮を頂いても良かったが、ここはひととつ紳士的に声を掛けてみる、
「この皮貰って良いですか」
「いいです、使い方が解からないので」
どうやら初心者のようだ、
皮細工をしながらしばらく話し込む、
何も解らずにプレイしているようだ、
一つ二つアドバイスをして別れた、
こういった初心者の辿る道はどんなものだろう、
俺のように一人で生きて行けるようになるのだろうか?
こういった人たちも末永く UO を続けていくのだろうか?
他人事ながら心配してしまう。
BUGに鞭を入れて駆け出してみたものの、
後ろ髪を引かれる思いだった・・・
街まで真っ直ぐ帰るのも面白くないので、
動物園でも見物して行こう。
BUGの背に跨って檻の中のモンスターを眺めていると、
なにやら見慣れないメッセージが画面に現れた、
なんだなんだと思っているうちに、
BUGから振り落とされてしまった、
腹でも減って機嫌が悪いのかと思って、
餌をやっても全然食べない・・・
おかしい・・・ペットのままなのに・・・
何故だ・・・あのメッセージ・・・
モンスターに惑わされたのか?
バックパックからクロスボーを取り出し、
檻の中のモンスターめがけて矢を放つ、
モンスターが死ねば BUG の気持ちが変わるかも・・・
駄目だ・・・ちくしょう・・・
俺の世話が悪かったのか、モンスターのせいなのか、
はたまた、動物園という場所がそうさせるのか、
BUG は、俺の言うことを聞かなくなってしまった、
このまま放置しておくのは忍びない・・・
パックパックから斧を取り出し、
少しでも苦しみが少ないように斧を振り下ろす・・・
何故こんな悲しいことをしなくてはいけないのだっ、
あんなに仲良くしてたのに、
一緒に旅をしてきた仲間なのに、
俺が俺のみずからの手で・・・
これがこの世界で生きるとゆうことなのか?
まだまだ俺が甘いのか・・・
動物園を出て、ただ呆然と立ち尽くしてしまった・・・
気が付くとベスパーに居た、
リコールの魔法で此所まで飛んで来たのだな、
商売してまた馬を買うか?
預けてある熊とでも旅を続けるか?
魔法の勉強はどうしよう?
悩み、またリコールでムーングローに戻る、
うろうろと迷っているうちに今日は終わった・・・
99 01 11 Moonglow → Vesper → Minoc → Moonglow Joker
自分というものを良く考える時期なのかも知れない。
魔法も弓も商売も動物の扱いも・・・総てが中途半端だ。
もともとパランス良く鍛えたつもりだから、
これはこれで狙いどうりになったのだが・・・
結局のところ使えないキャラクターになってしまったのではないだろうか?、
今までの反省を生かすべき時なのではないか?
魔法はとても戦いに使えるレベルには成って無い、
生活を便利にする為に使おう、
これ以上レベルを上げるには金が掛かりすぎる、
もちろん勉強は続けるが・・・
商売は手を広げすぎた感じがする、
あれもこれもと、色々作ってきたが、
結局は二流品しか出来て無い。
動物の扱いは保留にしておこう、
今考えても良い答えが出るとは思えない・・・
最大の問題は、戦いかもしれない、
弓のレベルが思ったほど上がっていない、
動物園で檻の中のモンスターを倒すのさえ苦労したほどだ、
魔法に対する抵抗力も低いから、
相手に魔法で攻撃されるとひとたまりも無い、
弓使いとして、腕を磨くとしようか、
弓の使い手として戦いが出来るようになれば、
もっと色々な場所に、安全に出かけられるかもしれない、
ペットも危険な目に会わせずにすむかもしれない。
弓使いの腕を磨く為に、とりあえず狩りでもしよう、
もう訓練所で弓を習えるレベルでは無いのだから。
ムーングローの西の外れの農家の辺りで狩りをする、
ウサギがわんさか居る、こりゃ大漁だ。
オオカミや鹿を相手の狩りなら、
弓の腕の上達が早い、強い相手と戦うのが良い経験となるからだ、
ウサギでは腕を上げられないが、
皮が手に入るので鹿の皮と併せると、
結構な製品が出来る、金も儲かる訳だ。
パックパックが一杯になったので、
肉や製品を売りに行かないと・・・
おや、乞食が何か言っている、
なになに、ミノックの北に魔法のナイフが有るってぇ。
乞食に金を恵んでやると、こういった事を教えてくれることが有る。
商品の売れ残りが出ないように、
リコールの魔法でひとっとびして、
ベスパーの雑貨屋に手袋などを売りさばく、
結構な儲けになった、
肉屋には肉を売る、大量に有るからこれも儲かる、
ここからミノックの北の森は近いのだが、
楽をしてリコールの魔法でミノックに飛ぶ、
さぁ北へ向かって探検だ、
魔法のナイフを探しに・・・
途中で馬屋の前を通り、預けてある動物のことを考えた、
今日は連れて行かないことにしよう。
北へ北へと歩いて行くと、家が沢山建っている、
前にここを通った時には、
こんなに家は無かったのに・・・
家の前の売り子(店主)に、
どんな商品が有るのか聞いてみると、
黒いローブを売っている・・・欲しい・・・
しかし、高い・・・でも欲しい・・・
どうしたものか迷っていると、
別のお客さんが・・・俺の隣に立ち止まった、
俺って邪魔かなぁ・・・
ちょっと退けてあげて・・・
また売り子の商品を見る・・・欲しい・・・
欲しい・・・欲しい・・・ん、なんか変だな・・・
画面下に出るメッセージのフォントがいつもと違う・・・
あちゃぁ、バックの中の薬草が無くなっているぅ、
このやろう泥棒だなぁ、
ただじゃおかねぇ、ファイヤーボールで黒焦げにしてやる、
ありゃぁ、薬草が無いんだ、とほほ、
ヘビークロスボーの強烈な弓をお見舞いしてやる、
うおーっ、ウサギ狩りで矢を使い果たしているぅ、
ならば、このバトルアックスで・・・勝てるかなぁ、
回復魔法が使えないと接近戦は出来なかったのだ・・・
泥棒と俺との睨み合いがつづいた・・・
おそらく泥棒も俺と同じ事を考えているのかもしれない、
「なぜ攻撃してこないのだ?」
まったくだ、泥棒が先に手を出せば殺人者になってしまう、
俺は犯罪者に攻撃を仕掛かるから正当防衛だが、
肝心の攻撃手段がとほほの状態なのだ、
睨み合いはしばらく続いたが、
泥棒はくるりと向きを変え、ミノックの方に走り去った、
俺は呆然と見送った、
またやってしまった、油断した、自分のミスだ、
何か仕返しする手だては・・・ない
何か追跡する手だては・・・ない
呆然としたままその辺をうろうろしていると、
ブタを見つけた、早速ぶち殺したが、
気分は晴れない・・・
ミノックをうろうろしベスパーをうろうろし、
何をやっているのか自分でも解らない状態だ、
なくしたものが大きすぎた、
自信と魔法の薬草・・・
呆然と立ち尽くして歩き出そうとすると、
体が動かない、意識もどんどん遠のいてゆく、
なんだ、いったい何が起こったんだ・・・
気が付くとムーングローの西の農家の中だった、
いったいどうなっているんだ、
ここは今日の初めに狩りをしていた場所だ、
まるで今日一日が巻き戻ってしまったようだ、
巻き戻し・・・そうか・・・
サーバーがダウンして、古いデータに置き換わったのだ、
サーバーがダウンすると、まるで時間が逆戻りしたような現象が起こる、
今日一日の失敗も成功も無かったことになってしまったのだ、
盗まれたはずの薬草もバックの中に有る、
思わず笑いが込み上げてきた、笑わずにはいられない、
おそらく泥棒は泣いていることだろう、いい気味だ。
今日の出来事は良い経験だった、
授業料無しで良い勉強させてもらったな。
さて、明日は今日と同じ所からやりなおしだ、
今度はミスはしない。
99 01 13 Moonglow Joker
相変わらずムーングローの西の農家の付近に居る、
この辺にはオオカミとウサギがわんさか居る、
弓の腕を上げるには最適の場所だ、
目標は昨日のサーバーダウンで巻き戻った分を捕り返すことだ、
特に体力は異常に強くなっていたから、それを目標に頑張ろう。
意外なことに農家の中で飼われているウサギなどは、
農家の人のペット(家畜)では無いようだ、
もしかすると、動物慣らしのスキルを持っている NPC が、
居る農家だけ(居る時だけ)家の中の動物が家畜化されるのかもしれない、
つまり、農家の家の中に居る動物も狩りの対象に成り得るということだ。
動物を探す手間が省ける・・・などと喜んでばかりいられない、
動物を探す為に、探索のスキルを使うのだが、
こんなに動物だらけで、しかも、家の中に居るから逃げられない状態では、
探索のスキルが全然上達しないのだ、
しかたがないから、家の前を歩いている人の痕跡を探したり、
家の外にオオカミが現れるのを探そう。
家の中のウサギを狩り尽くしたころ、
ちょうど良いタイミングで、家のそばをオオカミが通りかかったようだ、
オオカミとの格闘、さらに探索、矢が無くなれば、
ファイャーボールや電撃魔法で狩りを続ける。
しばらく狩を続けていて,流石に動物が見つからなくなってきたので、
南の方へ移動し、今度は鹿を狩ることにする、
狩りにも充分慣れてきた、矢や革製品を作りながら戦ったり、
怪我をすれば包帯を巻く余裕も出てきた。
ちなみに、包帯を巻くと傷が早く癒える、
治療もまた、スキルの一つだ、
薬や魔法で傷を癒すには、両手が空いていなくてはいけない、
しかし、包帯による治療は武器を持っていても、
戦闘中でも大丈夫だ、そのぶん効果が低いが・・・
いいかげんバックパックの中が一杯になってきた、
肉と皮の手袋でだ、売りに街に戻るとしよう、
巻き戻り前までのレベルには成長していないが、
これはこれでよしとしよう。
商品の代りにゴールドで重くなったバックを引きずって、
宿屋で眠りに就く。
明日はどんな日になるのだろう・・・
99 01 14 Moonglow Joker
何故だか解らないが、サーバーがよくダウンする、
時間が巻き戻るのが恐くて本気でプレイにうち込めない。
意地でもプレイしようと接続を試みるが・・・ダウンしたままだ、
こういう時は、フリーソフトを使って、
サーバーが復帰するのを監視するのが一番だ。
UO 関連のフリーソフトは沢山出ている、
魔法を簡単に唱えられるソフトや、
良く使う英文をボタン一つで言ってくれたり、
ダウンしたサーバーを監視して復帰したことを教えてくれたりする。
ここのところインターネットを、ゲームにばかり使っていて、
ネットサーフィン(ネット漂流?)をあまりしていなかったので、
ここらで UO 関連のサイトを覗いてみるのも良いだろう。
UO に、はまっている人たちのホームページには、
プレイするのに必要な情報が満載である、
UO 自体が成長する(頻繁にアップデートされる・マニュアルと内容が変わる)ので、
最新情報はネットで仕入れておかなくてはいけない。
また、ギルドを開設した人のホームページには、
そのギルドの活動方針や、活動記録や、
新規ギルド員募集などが有ったりする、
仲間を多く作りたい俺にとっては、ギルドの情報は最優先だ。
そんなこんなで最新情報をふむふむと眺めていると、
サーバーが復帰したとのメッセージが表示された。
俺がインターネットエクスプローラでネットサーフィンしている間に、
監視ソフトはきちんと仕事をしていたのだ。
ムーングローに降り立った俺は、
いくつかのやり残した事をやってしまわないといけない、
前回に包帯を使い果たしてしまったので、
包帯を作らなくてはならないのだ、包帯は布に鋏を入れて作る、
ちなみに、この鋏は職人道具で俺が自分で作った物だ、
以前ミノックで掘り出した鉱石を使いインゴットを作っておいた、
それを加工して鋏に仕上げたのだ、すっかり自給自足している、
何でも出来る代りに、何をやっても中途半端なのだが・・・
スキルには上達できる上限が有る、
万遍なくスキルを使うと全てのスキルが程々の所まで上達して止まる、
どれかのスキルを特別に使うと、使わないスキルが下手になる、
どれを上達させどれを下手にするか、
その分かれ道に俺は立っているのだなぁ。
布を手に入れるのも、ただ店から買ったのではない、
狩りをした時に羊からウールを剥いでおいた、
このウールを糸巻きで糸に加工する、
出来上がった糸を機織りの機械で布に加工する、
元手が掛からない布の作成方法だ、
もっとも、羊は皆が欲しがっているので、
めったにお目にかかれないのが玉に傷だが・・・
もしも、自分の家を持てたら羊を飼うんだ、
羊と豪華な家具、珍しい物品を売る店長を雇って、
俺自身は優雅に遊んで暮らすんだ・・・
布地に鋏を入れながら、ぶつぶつと独り言を言う俺だった。
99 01 15 Moonglow → Yew Joker
弓のスキルもかなり上がってきたし(まだまだだが)、
経済的にも安定してきたので、
すこし遠出をしてみたくなった。
装備を見直して長旅に耐えられるか、よく考えてみよう。
鎧や衣服は痛みの程度が良く分からないが、
もし壊れたとしてもリコール魔法で街に戻ってくれば大丈夫だろう。
戦う為の能力は、動物相手なら何とかなると思う、
弓のスキルもそこそこだし、
弓自体も自分で作れるようになった、
傷の手当ても出来るようになったし、
あとは矢と魔法で使う薬草が不足気味なのが問題か、
矢は鳥を狩らなくてはいけない、
薬草は店で売っているから、
薬草を買いに行きながら鳥を探すとしよう、
ムーングローの南の魔法屋に行くと決めた。
街を出て、南に歩こうとも思ったが、
ムーングローにはテレポーターが有る、
これを使って島の南端までテレポートして、
そこから街まで戻って来る作戦を立てた、
これなら南の猟場を通って魔法屋をまわって街まで帰って来るベストコースが取れる、
ムーングローの街の中心に有るテレポーターで、
一気に島の南端までテレポートした。
ここから魔法屋までは鹿が良く出る猟場だ、
鹿狩りをしながら、鳥は居ないかと探してまわる、
鹿は大量に狩りが出来たが、鳥は見つからなかった、
魔法屋に着いて薬草を買おうとしたが、
プラックパールだけは、何故か売っていない・・・
誰かが大量に買い占めてしまったのだろう・・・か
プラックパール無しでは、遠出は出来い、
リコール魔法に必要な触媒なのだ。
しばらく考えていたが、
北の魔法屋に行ってみることにした、
あそこなら品揃えが豊富だからきっと在庫が有るだろう。
鳥を探しながら北へ北へと歩く、
とうとう魔法屋に着いてしまったが、
鳥は見つからなかった・・・どうしよう・・・
プラックパールは買えたが鳥の羽は一枚も手に入れていない。
街に戻って銀行に預けてある非常用の鳥の羽で矢を作ったが、
長旅に耐えられるほどの量にはならなかった・・・
鳥の羽、鳥の羽・・・どうしよう・・・
ユーに行こう、あそこなら動物が沢山居るはずだ、
鳥の羽が無くては、矢が無くては、弓使いの商売あがったりだ。
リコール魔法でユーまで飛ぶ、
ユーは町と言えないほど建物が疎らな田舎だ、
動物が沢山居るとの噂だ、
前に弓の訓練で来たことが有ったが、
たしかに沢山の動物を見かけた・・・随分昔の事のようだが・・・
記憶を頼りに粉引き所の辺りをうろつく、
粉引き所の屋根の上に鳥が居る・・・
前に来た時にもあの辺りにカラスが沢山居たが、
屋根の上では手も足も出ない。
まだ行ったことが無かった裁判所の方に行ってみよう、
裁判所が何故こんな田舎に有るのか、不思議に思っていたのだが、
自分の目で確かめてみて納得がいった。
裁判所はユーの町外れに城壁に守られて建っていて、
そこから洋上の離れ島まで橋が掛かっていて、
その島が、牢獄になっていたのだ、
まるでアルカトラズのような牢獄の島がそこに有った。
牢獄をここにおく為に裁判所がここに有ったのだ。
謎は解けたが、鳥は捕れなかった。
うろうろと森の中をふらついたが、
やっとの思いで鳥を一羽捕まえただけだ、
牛やオオカミなら随分見かけたのだが・・・
このままでは矢が底をついてしまう、
明日は本格的に森の中を捜そう、
矢を増やすつもりで此所まで来たのに・・・
ユーに宿は無かったはずだ、安全に泊まれる場所が無い、
森の中の大きな木の陰で姿を隠して、
今日はここを一夜の宿としよう、
不安な眠りだ、危険と狩りが旨く行くかの不安で・・・
それでも寝なくちゃ、明日の為に。
99 01 16 Joker
今日は冒険はお休みです、えへへ
なんか土曜日は回線が混みそうな気がするから・・・
しかし、唯だらだらと遊んでいるわけではない、
ステータス・スキルについてよく考えてみよう、
或る程度成長してくると上達ばかりではなく、
下手になってゆくスキルが出てくる、
これは良く使うものは上達するが、
使わないものは下手になって行くという考え方だろう。
ステータスには下手になるということはないが、
上限が決まっていて、例えば体力が上昇すると、
その分知力と器用さが低下するようになっている、
簡単に数値が変わらないことも有って、
ステータスに関しては努力したところで、
プレイヤーが関与できる部分は少ない。
スキルはちょっと使うだけで数値が上下するから、
キャラクターの向き不向きに大いに影響してくる。
上達の影響が大きいとともに、低下の影響も大きい、
俺は大工のスキルをどんどん鍛えてゆき、
ついには大工見習いにまでなったが、
大工と弓矢作成と道具作成とキャンプと料理用の薪とを、
総て木こりのスキルに頼っていた為に、
木こりのスキルが他のスキルを追い越して成長して、
木こりが本業になってしまった、あんまりかっこよくないなぁ。
木こりのスキルが高いことは本来悪いことではない、
生活の糧(収入を得る為の)を、ほとんど木工品に頼っているから、
むしろ喜ぶべきなのだが・・・
木を切って、製品を作って売る為に、
プレイしているわけでは無いのだ。
もっと遠くまで旅をしてみたい、
ダンジョンに行きモンスターとも戦いたい、
木こりのスキルがどんなに高くても、
身を守る手段には成らないのだ。
かと言って下がってもらっても困るのだ、
戦う為には弓矢が要る、弓矢を作る為には木材が必要だ、
大工のスキルで(以前は小物しか作れなかったが)家の備品を作ってみたい、
現金が欲しい時にはやはり木工品を売るのが、
俺の場合一番儲かる。
だからと言ってこのまま木こりを成長させていると、
他のスキルがどんどん下がってしまうのだ、
動物慣らしのスキルなどは、最高値の半分まで下がってしまっている。
使わないスキルは必要無いのではなく、
めったに使わないが、ここ一番に必要になったりするものなのだ。
悩みは尽きない・・・
99 01 17 Yew Joker
まだユーに居る、
鳥の羽が手に入らないのだ、困ったものだ、
動物はたしかに沢山居る、しかし、鳥が居ない・・・
ブタや牛など比較的大型の動物の狩りをしながら、
鳥と出会うチャンスを探していたのだが、
鳥に出会う前に(狩りで得た)肉や皮で、
バックパックが一杯になってしまった。
ちなみに、荷物を沢山持ちすぎて重量オーバーになると、
スタミナがゼロになり、身動きできなくなってしまう、
移動系の魔法も使えなくなるようだ、
このままでは、鳥を見つけても狩りが出来ないかもしれない、
荷物を整理することにしよう、
まずは、必要の無いものを売る為に、ミノックまでリコールする、
銀行に不要品を預けて、肉と革製品は店に売る、
ミノックの町中を歩いている途中で、
鋸と斧を拾った、これも銀行に預けて予備の装備としよう。
BUG (前に飼っていた馬)の餌にと思っていたバナナがまだ有った、
これは俺のおやつに残しておこう・・・
細工道具は最近全然使っていないので銀行に預けておこう、
うろうろしていると、物乞いがインゴットをくれた、
これも銀行に預けて道具を作る時の足しにしよう。
随分身軽になった、銀行預金の残高も思っていたよりも多い、
欲を出してミノックの PC ベンダーで南で売っていた、
ブリタニア各地のルーン(リコールの飛び先を記憶しておく物)を、
買っておくのも良いかもしれない、
今すぐ必要な物ではないが、必要になった時に売っているとは限らない、
記憶を頼りにミノックの南の店を探す、売り子に在庫を聞いてみると、
目的のルーンがそろっていた、
二つほど行き先の解らないルーンが有った、
一つは聞いた事の無い地名だ、これは買っておこう、
いつか必要になる日がくるかもしれない、
もう一つは、どこに行くか解らないルーンだ、
使ってみてのお楽しみと言うわけだ、これは要らない、
こんなお遊びに付き合っている暇は無い。
早速買ったルーンを試してみよう、
ところで、今回のタイトルには Yew としかなっていないが、
今日はブリタニアの殆どの都市を飛び回った、
しかし、実際に意味の有る活動をしたのは、ユーだけなので、
(面倒だとも言う)このような表記にした。
次から次ぎえと、ルーンにリコール魔法を掛けると、
見慣れない都市に飛ばされる、これは面白い、
好きな時に好きな都市に行ける、とても便利だ。
トリンシックに飛んだ時に、奇妙な現象が起きた、
リコール魔法に失敗するようになったのだ、
理由は解らない、単なる偶然かもしれないが、
あまりに続けて同じ魔法を使うと成功率が下がるのかもしれない。
これは困った、こんな知らない場所で・・・
しかも、リコールに必要な薬草の一部が不足してきた、
魔法を唱えるのに失敗したとしても、
下手な鉄砲数打ちゃ当るで、何とかなるのだが、
薬草が無くなってしまっては、手も足も出ない。
全く薬草が無くなってしまう前に補充しておこう、
幸いにトリンシックはブリタニア第二の都市だ、
商売をするのに土地感が無くとも何とかなるだろうし、
どんな店でも探せば有るだろう・・・都会は売り買いには便利だ。
いつもの斧を手に、街中の立ち木を切る、
この木で弓を作って雑貨屋に売るのだ、
五分もしないうちに幾つかの弓が出来た、
無理をして高度なヘビークロスボー等を作ろうとしなければ、
かなり短時間に、相当額の収入が有るのだ・・・
リコールで各地の都市を飛び回れるとゆうことは、
相当の数の弓を作って売って、在庫過剰で売れなくなっても、
他の都市に移動して売れるということだ。
今度やってみよう、家くらい建つかもしれない・・・
弓を売った金で今度は薬草を買うのだ、
薬屋は雑貨屋を探した時に通過した道筋に有った、
準備は整った、道端に立ってリコール魔法でミノックに戻る、
やった、無事にリコール魔法に成功した。
秘薬が無くなったら一時はどうなることかと思ったし、
このままトリンシックで、暮らさなくてはいけないのかとまで考えた、
こうして今まで通りの生活に戻れた、良かったぁ。
ミノックの銀行に立ち寄り、装備の最終チェックをして、
ユーへと飛び立った、
今度こそ鳥の羽を手に入れないと、
鳥の羽が大量に有って、それで大量の矢を作って、
冒険の旅がしたい・・・危険だけど夢が有る旅が・・・
99 01 19 Yew Joker
うっしっしっ、鳥だ鳥だっ、
木の陰からそっと覗き見る、
探索のスキルの示した通り、
カラスが木の上に潜んでいる、
そっと忍び寄って、クロスボーの一撃、
当った、早速解体だ、ナイフで切り裂くと、
一切れの肉と二十五枚の羽が手に入った。
鳥以外の動物も沢山居るが、
わき目も振らずに鳥だけを狙って狩りをしている。
随分と鳥の羽も貯まってきた、
矢に加工した物を200本位は欲しい、
未加工の羽も100枚は欲しい、
それだけ有れば、鳥の狩りが出来ない状況がかなり続いても、
矢に困ることは無いだろう、
おっといけない、銀行に預けておく非常用のストックも必要だった、
弓使いというのもなかなか大変な商売である。
どうも気分的には本格的な弓使いに成りたいようだな、
俺の本心としてはね、弓をがんがん撃ちたいのだなぁ。
矢が十分に揃ったら何処に行こうかな?
デスパイスというダンジョンならここから近いのだが、
いきなりダンジョンに出かけて行って大丈夫だろうか、
仲間が欲しいところだが、毎日決まった時間にプレイする訳じゃないから、
いつも一緒の仲間というのは、なかなか出来ないものだ。
危険は承知で一人でダンジョンに行くとしようかな、
ちなみに、デスパイスとは超初心者向けのダンジョンである(笑)
99 01 20 Yew Joker
鳥の羽も結構貯まってきたし(ちょっと心細いが・・・)、
ダンジョンまでとは行かなくても、
ちょっと知らない場所に、行ってみようじゃないか、
ユーから東の方角に向かって、何処までも歩いてみよう。
実はこの方向と言うのが、デスパイスの方角なのだが・・・
それにしても動物に良く出会う、
これではまたしてもバックパックが一杯になってしまう、
今までなら、苦戦していた大型動物相手の狩りも、
最近では鼻歌交じりで、治療の練習をしながらの楽々である、
あっという間にやっぱりバックバックが一杯になってしまった、
肉はともかく、皮は見かけのわりに目方が重い、
裁縫のスキルで皮を靴や手袋に加工するのだが、
今日は手袋に加工できない、いったいどうしたのだろうか?
どうやら新しいパッチが当てられたようだ、
大工のスキルといい裁縫のスキルといい、
やたらと高額の商品が簡単に(失敗も多いが)作れてしまっていたので、
ゲームバランスの調整の為に、スキルのレベルに応じて、
作成可能な製品のレベルが調整されたのだろう。
リコールでベスパーに飛び、いつもの雑貨屋に製品を売る、
それから肉屋に回って、肉も売ってしまおう、
どうせ食べる分はすぐに調達できるだろう。
儲けたお金で魔法に使う薬草を買う、
これで旅の準備は万端だ・・・
ちょっとまてよ、
銀行に骨の兜が有ったはずだ、
骨の鎧を着ているのは、相当のつわものだと思われているから、
はったりでも骨の兜を着けておけば、
PK に会いにくくなるのではないだろうか?
兜しか持ってないから、体の方はローブでも着て誤魔化しておこう、
ベスパーの銀行で装備を着替えていると、
馬売りが銀行の前に居るではないか、
BUG の悲しい思い出が蘇ってきた、あれは良い馬だった・・・
しばらくは馬を持たないつもりだったが、
売られている馬を見ていたら、また欲しくなってしまった・・・
買おう、長旅には馬が必要だ、
手傷を負って逃げるにも、馬に乗っていれば何とか成るかもしれない。
馬売りにお金を払い、名前を何にしようかと悩んでしまった、
また BUG にしよう、
今度はへまはしない、餌にバナナを与えて、
颯爽と跨る、馬の扱いにも慣れたものだ・・・複雑な心境だが。
リコールでユーに戻る、
ついでにユーに有った謎の建物の正体を探ってみるか、
僧院らしいがおそらくは銀行としても機能しているのだろう、
BANK と声を掛けていた人が居たから・・・
うろうろと建物の中を歩きまわったが、良く判らない・・・
人に聞こうにも、適当な人が居ない・・・
もういいや、
そのうち判る日が来るだろう・・・
BUG の尻を蹴って、デスパイスの方角に走り出した、
今日はとことんモンスターを倒してやる、
豹やオオカミを狩りながら進んでいくと、
ねずみ男が現れた、なんだか弱そうなモンスターだ、
矢を連打してやったが、あまりきいてないようだ、
なんてこった、逆に接近戦に持ち込まれて苦戦する羽目になってしまった、
逃げ回りながら応戦し、なお且つ回復魔法を自分に掛けなくてはいけない、
非常に忙しい、包帯を巻いて間に合うような怪我ではない、
幸いなことに、通りかかった魔法使いが、
回復魔法を掛けてくれた、親切な人も居るもんだ、
もう少しでねずみ男の止めを刺せそうなところまで持ち込んだが、
運の悪い事にリザードマンが俺の行く手を遮った、
とてもこの状態で二匹を同時に相手には出来ない・・・
やむなく逃げ出す、この状況ではこれがベストな判断だろう、
瀕死のねずみ男はもう追ってこないだろう、
問題はリザードマンだ、こいつはしつこく追ってくる・・・
攻撃目標をリザードマンだけに絞って、
逃げる・・・
馬に乗っていて良かった、
自分の足では追いつかれてしまっただろう、
リザードマンの攻撃を受けずに、間合いを充分に取って、
攻撃できている、以前はあれだけ苦戦したリザードマンが、
次第に弱っていく・・・
逃げながら戦う、自分は攻撃を受けずに相手にダメージを与える、
ついにリザードマンは倒れた、
懐を漁り戦利品を頂く、たいした物は無いな。
今度は瀕死のはずのねずみ男を探す、
さっきは苦労させられたが、今度はそうはいかない、
リザードマンに比べれば、ねずみ男などはちょろいもんだ、
しかし、ねずみ男からもたいした戦利品は得られなかった、
が、弓のスキルは随分上がったはずだ、それで充分だ。
デスパイスに急ごう、腕がなる、
グリズリーが道を塞いでいる、強敵だが俺の敵ではない、
と、思ったのだが・・・
結構苦戦する・・・うーん、戦いは大変だ・・・
やっとの思いでグリズリーを倒してほっとしていると、
水溜まりの縁に立ち尽くしている人が居る、
どうも様子が変だ、良く観察するとどうやらオークのようだ、
魔法を使うオークなら、俺の手におえる相手ではないが・・・
おそるおそる攻撃を仕掛ける、魔法の反撃は・・・無い・・・
後は間合いを取って、なぶり殺しだ・・・
瀕死のオークに体当たり寸前まで突進して止めの矢を撃ちこむ・・・
返り血を浴びて BUG の尻を蹴り進む俺が、ふと見上げると、
そこにはデスパイスの入り口がぽっかりと開いていた。
99 01 21 Yew → Vesper Joker
デスパイスの入り口まで来たのはいいが、
近くに何やら見慣れない建物が建っている、これはいったいなんだろう?、
場所はデスパイスの入り口の北側である、
海に張り出すように建っているから PC の家ではないだろう、
こんな形の家はプレイヤーには建てられない・・・
どうしても気になって、中に入ってみる・・・
何が出てくるのかびくびくしながら歩いて行くと、
ダミーの人形がぶら下がっている部屋に出た、
成る程ここは戦士のギルドの建物だったのか、
それで訓練用のダミーが置かれているのだな、
折角だから一回り見ていこう、海に張り出した小島まで歩いて行く、
離れ小島には弓の訓練所まであった、
この島には何故か動物がやたらと沢山居る、
狩りをしたいところだが我慢しよう、もうバックが一杯なのだ、
建物探訪を終えて、今度こそデスパイスに向かって歩き出した、
探索のスキルで慎重にモンスターを探る、
まだダンジョンの中には入っていないが、
慎重過ぎるという事はない、安全第一だ。
オークの鳴き声が聞こえる・・・
まだダンジョンの中に入ってはいない、
探索のスキルでオークの位置を探る、
なにか様子が変だ、オークの直ぐ側まで来ているはずなのに、
オークが攻撃を仕掛けてこない、
俺からはオークの姿も見えないのだ・・・
いったい何処に居るのだろうか?
まさかオークが隠れ身をするとは思えない、
慎重にオークの居場所を探っていると、
意外な事実を発見した、建物の中に居たのである、
オークの名前を見てみると何やら日本人のような名前が付いている、
そう言えば、昨日倒したオークは、KENJE だった様な気がする、
成る程、動物慣らしのスキルが高くなるとオークさえもペットに出来るのか、
建物の中に閉じ込められているオークなら安全だ、
先を急ごう・・・
ふと気になって矢の残りを数えてみる、
随分と少なくなってきている、心配である。
いざとなったら斧も有るが、
これはユーの墓地でスケルトンから奪った得体の知れない斧だ、
愛用のパトルアックスは銀行に預けてしまったのだ、
この得体の知れない斧の攻撃力がまた低いのだ、
まあいい、いざとなったら魔法で戦おう、
ついでだから、薬草の残りも確認しておこう、
ダンジョンの中で秘薬切れでは、生死に関わる・・・
薬草の残りも厳しくなってきている、
本当にこのままダンジョンに入って大丈夫だろうか?
いったん街に戻ってもう一度準備を整えて来るべきではないだろうか?
町から此所まで戻って来るのには、かなりの距離を歩かなくてはいけない、
それを考えると、躊躇してしまうが・・・
良いアイディアが思い浮かんだ、
マークの魔法で、この場所の印を作って、
リコールで一気に戻ってこれるようにしておけば良いのだ、
なぜこんな簡単な事に気が付かなかったのだろう、
早速まだ使っていないルーンを取り出して、
マークの魔法を唱える・・・グフグフと煙を吐いて魔法は失敗する、
どうも、このレベルの魔法はまだ唱えられないようだ・・・
大量の薬草を消費して、結局マークは出来なかった、
薬草の残りも非常用のものだけになってしまったので、
街に戻らずには、冒険は続けられなくなってしまった。
ここまで来てデスパイスの入り口を見つめながら、
リコールの魔法を唱える俺の気持ちを、君は想像出来るだろうか?
99 01 22 Vesper → Minoc → Yew Joker
マークの魔法を唱えられないのが悔しい・・・
でもこれが俺の実力なのだ、
ベスパーの銀行前に立ち尽くし、
自分の力の無さにがっくりと肩を落として、
現実の厳しさを思い知らされた。
泣いても笑っても充分な準備無しに冒険は出来ない、
これまでにも何度、撤退や回復の手段が無くて、
苦戦したり死んだりしただろうか?
一番身にしみて判っているのは自分自身だ。
薬草を買う前に雑貨屋に革製品を、肉屋に生肉を売ろう、
ついでにモンスターを倒して手に入れた戦利品も売ってしまおう、
儲けた金で薬草を買うのだ、魔法は金がかかる・・・
準備が出来たところで、デスパイスに向かうのだが、
ベスパーから歩いて行くにはあまりにも遠い、
そこで、一旦ミノックにリコールで飛び、
ミノックから歩いてデスパイスまで行く作戦を立てた、
距離的にはユーの方がデスパイスには近いのだが、
前回のアタック時には、ユーからだったから、
今回は反対のルートを選んだのだ、
このルートは距離が長いだけに幾つかの難所が有る、
PK が出没すると言われるコトブス(ダンジョン)や、
カンバッション神殿が有る砂漠など、腕を上げるには最適のルートだ。
もっとも、途中で荷物が持てなくなって、
街に戻るようになるかもしれないが・・・
心配は的中した、道のりの三分の一も行かない、
コトブスの西あたりで、既にバックパックが一杯になってしまった、
どうしてこんなに動物やモンスターに(急に)出会うようになったのか?
初めは良く判らなかったのだが、
冷静に考えてみると、時間当たりの移動量が極端に増えたのだ、
今までは、木を切り木工品を作りながら移動していたが、
現在はせいぜい探索のスキルを使う程度だ、
めぼしい獲物が無ければ、どんどん先に進んでしまう、
モンスターや動物の発生率はその場所によって決まっているらしいから、
俺の移動量が多くなればなるほど、
動物にも出会う機会が多くなるというわけだ。
それにしても、出会いすぎる・・・
すっかり矢の残りを減らしてしまった、
内陸部ではあまり鳥を見かけないから、
どうしても矢が不足気味になってしまう。
ここはひとつ、デスパイスは諦めて、
もう一度装備の充実を考えてみた方が良いかもしれない。
幸いに弓のスキルは(矢が減ったのだから当然だが)、
予想していた以上に成長して、
ついに俺の職業をアーチャーに押し上げる程に成った。
念願の(正式な)弓使いとなった俺は、
悲しいかな、矢の不足に陥って、
ユーで鳥を探して這いずりまわる事となったのだ。
99 01 23 Yew Joker
複数のモンスターに同時に攻撃されれば、
とても持ちこたえられないだろうが、
一対一なら(間合いの取れる広い場所も必要だが)、
なんとか負けない自信がでてきた。
お得意のクロスボーで先手必勝の一撃を与え、
戦闘が始まる前に相手に手傷を負わせておく、
その上で、相手の攻撃を受けないように、
充分な間合いを取って戦いを有利に進める、
もしも、俺が傷を負っても、
攻撃の合間に(弓は攻撃速度が遅い)包帯を巻くのだ、
弓使いとして理想的な戦い振りだと思う。
しかし、矢の不足にはほとほと困っている、
(距離をあけて攻撃できる)有利な事の多そうな弓使いが、
思ったほど(この世界に)少ないのは、
矢の供給が大変なせいなのかと勘ぐりたくなるほどだ。
羽を手に入れる為、必死になって鳥を探しているのだが、
見つかるのはブタや牛・・・オオカミや熊などだ、
毛皮が手に入るから、金になって良いのだが・・・
とても矢で狩りをするだけの余裕は無くなった、
矢の消耗を避ける為に、モンスター相手の時だけ、
弓で戦うようにしよう。
狩りの場合は、木こりで使う斧で戦うとしよう、
目的ごとに道具を持つのではなくて、
色々な事に使える多目的な道具を持つのが、
有利に生き残る為の賢い選択だ。
ところで、折角ユーに来ているのだから、
謎の建物の正体を探ってみよう、
この建物は、ユーの北の外れ、
ムーンゲートの近くに建っているのだが、
どうやら僧院らしい建物なのだが・・・
内部にはまるで宿屋のような部分も有り、
一番奥には銀行員らしき NPC まで居る、
ユーには銀行と宿屋は無いものと思っていたのだが、
俺が知らないうちに新規開業したのかもしれない、
宿屋かどうかは、調べようが無いが、
銀行なら簡単に調べられる、
銀行員の近くで BANK と言えば、
貸し金庫が開くのだ、それが銀行の印だ。
試しにやってみると俺の貸し金庫が開かれた、
やはりここは銀行として機能している、
ついでに装備を点検して再度鳥の羽を求めて出かけよう。
モンスターとの戦いでは、動物と違って様々な戦利品が得られる、
鎧や武器であったり、作成途中の部品などだったり、
そうしたなかで、ずっと気になっていたモンスターがいる、
ハーピーとモンバットだ、
どちらも鳥形のモンスターだから羽を持っていそうなのだ、
ちなみにモンバットはコオモリだから羽は無かったが、
ハーピーは大量の羽が有りそうだ、
それをついに確かめる時が来た、
場所は街から少し離れた人気の無い森の中だ、
向こうから歩いて(飛んで?)来るのがハーピーだ、
この程度のモンスターならば恐れる事はないが、
羽の有無を確かめたいので、何としても仕留めなくては、
慎重に慎重に戦いを進め、解体も慎重に行う、
得られたものは50枚の羽だった、鳥二羽分の羽だ、
これならハーピーを大量に仕留めれば、
当分は羽に困らずにすむかもしれない、
もっともそんなにハーピーに出会わないだろうが・・・
ちょっと待てよ、ハーピーが大量に出現する、
ハーピー部屋の話を聞いた事が有る、
あれはたしかコトブスの中に有るという話だった・・・
デスパイスよりも、コトブスの方が先に行く必要が有るかもしれない、
どっちも初心者向きのダンジョンだ、
地理的にはコトブスの方が街から近いし、
実はずっと昔にコトブスに入った事が有るのだ、
あの時はそこがダンジョンだとも知らずに、
何故先に進めない道が(トンネル)有るのかと、
不思議に思って帰ってきたのだが、
あれがコトブスの入り口だったのだ。
ダンジョンに行かなくてはならない理由も出来た、
今度こそ本当にダンジョンに入る事になるかもしれない・・・
99 01 24 Yew → Minoc → Vesper → Minoc → Yew Joker
矢の不足は深刻な状態だ。
動物相手なら何とかもちそうだが、
モンスター相手に戦えば矢を使い切ってしまうだろう。
コトブスの事を気にかけながら鳥を探したが、
いつもの通り探している鳥は見つからず、
オオカミや牛ばかりが目に付く。
思い切ってコトブスに行く事に決めた、
コトブスでハーピーを捕まえよう・・・
冒険の準備と旅立ちの拠点としてミノックを選んだ、
ミノックは地理的にもっともコトブスに近いし、
銀行が比較的空いているのだ、
銀行が混んでいると装備を整えるのに大変だ、
俺の場合は、包帯を作ったり薬草を数えたり・・・
あれっ、薬草が残り少ないなぁ、
ミノックには薬草を売る店が無かったのだ、
これには困った・・・ベスパーに行くか、
薬草を買う為だけにベスパーまで飛んだ、
必要な薬草を買い揃え、
冒険には不要な現金を銀行に預けようかと思ったが、
もう面倒である・・・このままコトブスに向かおう。
冒険のベースキャンプと決めたミノックを出て、
南を目指して歩く・・・
ミノックからコトブスは本当に近い、
あっとゆう間にダンジョンの入り口に着いてしまった。
さてここからが問題だ、
体力回復の薬を確認して、
出来立てのヘビークロスボーを手に取る、
戦いの血が沸き、武者震いが起こってくる、
BUG も俺の様子の変化を感じたのか、
嘶いて気分を盛り上げてくれる。
コトブスの入り口はまるで鉱山の入り口のようだ、
あえて違いを探すと、
入り口にプレートが貼ってある、
何が書いてあるのか解らないが・・・
辺りを見回しながら慎重に洞窟に入って行く、
中は真っ暗で鼻を摘ままれても解らない程だ、
暗闇でも目が見える薬が有ったが・・・
たしか試しに飲んでしまっていたのだ・・・
そうだ、魔法に暗視の魔法が有ったはずだ、
スペルブックをごそごそとやっていると、
暗闇に目が慣れてきた・・・
何とか見えない事はない・・・な、
その時いきなり洞窟の地面の穴から火柱が吹き上がった、
一気に俺の体を炎で包みこみ総てが燃えつきそうだ・・・
命からがら壁際に逃れてみたものの、
かなりの重傷だ、ひどい火傷を負ってしまった、
包帯を巻いて動かずに回復を待つしかない。
BUG は大丈夫だろうか?
様子を見てあげたいが自分の事で精一杯だ。
それにしても凄いトラップだ、
入り口を入って直ぐにこんな罠が有るなんて・・・
体力が完全に回復しないうちにモンスターが現れてしまった、
最悪の事態だ、逃げ場を求めてうろうろするうちに、
またトラップの火柱にかかってしまった、
弱り目に祟り目で大蛇のモンスターが俺に巻き付いてきた、
もはや反撃を考えているレベルでは無い、
クロスボーをかなぐり捨ててリコールを唱える、
バックパックを引っ掻き回してルーンを探す・・・
その間にも大蛇は俺をじりじりと締め付け、
体力はどんどん奪われている、
やっとの思いでルーンを手にした時、
俺の命は尽きた・・・
灰色の世界の中で幽霊になった自分を見ていた、
リコールが間に合わなかったのだ・・・
大蛇は今度は BUG に襲い掛かっていた、
BUG 逃げろ逃げるんだっ、
俺は BUG の最後を見届けてはいられない、
一刻も早くヒーラーを見つけて蘇生して、
BUG を安全な場所に逃がし、アイテムを確保しなくては、
もっともそれまで BUG が生きていればの話だが・・・
洞窟を飛び出した俺は一直線に森の中へ駆け込んだ、
長年の経験からヒーラーの居そうな場所の見当はつく、
狙い通りヒーラーが居た、
生き返ったものの、体力は殆どゼロだし、
魔法を唱えようにも薬草がまったく無い状態だ、
今の俺に残されているのは、
スペルブックとナイフとぼろのシャツ・・・
そして、死者のローブだけだ・・・
コトブスまで戻ってきてはみたものの、
洞窟の入り口で途方にくれてしまった。
このまま洞窟に突入すれば、
BUG は生きているかもしれないし、
アイテムもまだ死体に残っているかもしれない、
しかし、あの大蛇もあそこに居るだろう・・・
途方にくれて立ち尽くしていると、
洞窟の中から幽霊が飛び出してきた、
あの大蛇にやられたのだろう、
俺がいま飛び込んでも、また死ぬだけだ・・・
何か手だてが有るはずだ・・・
洞窟の入り口で考えを巡らせていると、
馬に乗った重装備の戦士が洞窟の入り口付近でうろうろしている、
あの戦士に大蛇退治を頼んでみようか?
俺が戦士に話し掛けようとしたその時、
さっきの幽霊が蘇生して戻ってきた、
そいつの考えも俺と同じのようで、
大蛇退治をお願いしたのだ。
戦士は快く大蛇退治を引き受けてくれた・・・
戦士が洞窟の中に姿を消した後、
俺とそいつの二人だけが残され気まずい時間が流れた・・・
そいつは待ちきれなかったのだろう、
危険を承知で洞窟に飛び込んで行った、
俺も後に続いた、まだ体力は回復していないが、
BUG のことがどうしても気にかかって居ても立ってもいられないのだ。
戦士は大蛇と格闘中だった、
戦士の後ろでそいつは待っているつもりのようだ、
俺は待ってはいられない、
戦いのどさくさに紛れて、
大蛇の脇を摺り抜け、BUG を最後に見た辺りを目指して進んだ、
そこにはあの元気だった BUG の姿はなく、
骨となった馬の屍が横たわっているだけだ・・・
俺の死体も骨になっていた・・・
何処にもアイテムは残っていない・・・
BUG の屍の傍らで、ただ呆然と立ち尽くすだけだった。
アイテムも、最愛の BUG も失ってしまった俺は、
ふらふらと洞窟の出口を目指した、
もう此所にいても何の意味も無い・・・
大蛇退治は成功して終わったようだ、
大蛇の死体が転がっている・・・
戦士の姿は消え、あいつは呆然と立ち尽くしている・・・
俺と同じでアイテムを失ったのだろう・・・
その時だった、
Nebirs という人が現われ、
あいつのアイテムを拾っておいたと言う、
親切な人も居るものだ・・・
親切ついでに俺のアイテムも拾ってくれれば良かったのに・・・
駄目でもともとで、俺のアイテムの特徴を言ってみると・・・
なんと彼が俺のアイテムも拾っておいてくれたと言う、
なんとありがたい事だ、
死体に残されたアイテムは、
時間とともにやがて腐ってしまうのだ、
Nebirs さんはそれを心配して、
アイテムを拾っておいて、
持ち主が戻って来るのを待っていてくれたのだ。
Nebirs さんに礼を言い、
リコール魔法でユーへと飛んだ。
コトブスでの失敗を振り返っておこう、
第一に、体力にかなりのダメージを受けた時点で、
リコールで逃げなかった事だ、
あの時点で逃げ出せば BUG も死なずに済んだのだ。
第二に、強さが解らないモンスターに出会ったら、
退路を確保するのを優先するべきこと、
大蛇と格闘して勝ち目は有ったのかどうか?
第三に、事前にヒーラーの場所を確認していなかった事、
もっと早く復活して、大蛇退治を誰かに頼めれば、
やはり BUG は助けられたかもしれない。
アイテムは戻ってきたが、
BUG は、もう戻っては来ない・・・
俺はもう一度、ユーで修行し直しだ。
99 01 25 Yew → Vesper Joker
BUG を失ってから、精神的に参っていたが、
いつまでも落ち込んではいられない・・・
BUG だって、そんな俺を望んではいないだろう、
成仏してもらうためにも、
そして、これまで俺の身代わりに死んで行った者達の為にも、
俺は再び立ちあがって、この道を進まなくてはならないのだ。
鳥の羽を大量に確保しようとして実行されたコトブス作戦は、
最愛の愛馬 BUG を失うという、最悪の結果に成ってしまった。
おまけに、矢を増やすどころか、
大幅に矢の在庫を減らす結果も招いてしまった・・・
過去を振り返りはしないが、
コトブス作戦を実行して、
状況は悪くなりはしても良くは成っていない事は事実だ。
矢を確保しなくては駄目だ・・・
それも、銀行用のストックの羽も含めてだ。
幸いにコトブス作戦でいったんは失いそうに成った、
薬草入りのバックは親切な人のおかげで、
無事に帰ってきている、
これさえ手元に有れば、魔法が唱えられる、
ユーのように広大な場所でも、思いどうりに行動できる。
まずは、ユーの町から南に向かって歩いて行く、
木を切ってクロスボーを作り、
鳥にであった場合に備える、
鳥は移動速度が速いから、
斧やナイフでは逃げられる事が多いのだ、
クロスボーなら距離が離れていても攻撃できるので、
飛ぶものを捕るには最適である。
相変わらず探索のスキルで見つかるのは、
オオカミや牛が殆どだが、鳥がまったく居ないわけではない、
ほつりほつりではあるが、鳥も捕まえられている。
オオカミや牛は、クロスボーで攻撃すれば、
弓のスキルが向上して一石二鳥なのだが、
矢を減らしたくはないので、斧で倒す事にする、
こうすると間合いが取れずに手傷を負う事も度々だが、
その時は、包帯を巻けば治療の練習にも成るのだ。
こうした狩りで得た、皮で革製品を作り、
肉は焼いて食べるのだ・・・
荷物が一杯になればベスパーに飛んで、
雑貨屋に製品を売るのだ、
売り上げで薬草を買い、装備を整え、またユーに飛ぶ。
同じ事を繰り返しているように思えるだろうが、
実際には毎回違ったドラマが有るのだ。
ある時は、鹿相手に苦戦して、瀕死の重傷を負った PC に、
治療を施してあげたり、
治療は人助けにもなるが、自分のスキルを上げる事にもなるのだ、
欲を出してオオカミ三頭と同時に戦って、
テレポート魔法で必死に逃げ回ったり・・・
ふと気が付くと、500枚以上の羽が貯まっていた、
この羽は銀行に非常用として置いておく分にしよう、
銀行に羽を預けようとベスパーの銀行に立ち寄った時に、
ふと思い付いた事がある、
薬草もすり鉢もフラスコも有るのだから、
回復の秘薬を作って持ち歩けばより安全になるのではないか、
今までにも何度も考えて、実行しなかった事を、
今やってみよう、
体力回復の秘薬はにんじんをすり鉢で加工して作る、
出来た秘薬はフラスコに注いで、持ち歩けるのだ。
秘薬作りは何度も失敗したが、
薬草を豊富に持っているので、何度も試せばそのうち出来る、
予定していた三つのフラスコはたちまち秘薬で満たされた。
この秘薬が本当に効果が有るのかは解らない・・・
試してみる方法は唯一つ、
怪我をした時に飲んでみる事だ。
ユーの森で熊を相手に素手で掴み掛かって、
狙い通りに手傷を負った、
素手で戦ったのは、
秘薬を飲むには片手が空いている必要が有るからだ、
斧やクロスボーは両手で使うものだから、
それを持っている時は、秘薬を飲めないのだ。
俺の作った薬は確かに効いた・・・
体力が嘘のように回復してしまった。
こんなに効果が有るのなら、
マナを回復させる秘薬も作って、
魔法の練習をするのも良いかも・・・
また脇道に逸れてしまいそうだ・・・
99 01 26 Yew → Vesper → Yew Joker
羽を確保するのを最優先にしなくてはいけないのだが、
脇道に逸れるのは承知の上で、
回復秘薬の研究をしてみよう、
考えたのはこうゆうシナリオだ、
マナを回復させる秘薬で、マナをどんどん回復させながら、
高度な魔法を次々に唱えて、
短時間に魔法のスキルを向上させたい。
今の俺の魔法の実力では、
リコールの成功率が50%位しかない、
リコールの飛び先を記憶させるマークにいたっては、
5%ほどの成功率しかないのだ。
とにかく、絶体絶命のピンチに発動する、
リコールは正に最終兵器だ、
これだけはなんとしても安定して唱えられるようになりたい。
さて、秘薬は錬金術のスキルが関係してくるのだが、
こまったことにいくら探してみても、
マナを回復する秘薬の作り方が解らない・・・
もしかするとマナ回復の秘薬は存在しないのか?
これ以上時間を無駄には出来ないから、
魔法は後回しにして、狩りをしよう。
ユーの森で狩りをする、鳥を狙ってうろうろしてみる、
この森は平和で良いなぁなんて思いながら歩いていると、
ヘビと出会った、ヘビは人を見掛けると攻撃をしてくる、
他の動物とはちょっと違った生き物だ。
このあいだの大蛇の恨みもあることだし、
生きて帰すわけにはいかない。
この辺を安全な場所だと安心しているのは、
不用心かもしれない、これまでの経験からして、
ヘビが居るような場所にはモンスターも居るのである。
予感は的中した、
大蜘蛛がこちらに向かって突進してくる、
モンスターと言うより、動物に分類される生き物だから、
俺に倒せない相手ではないが、決して侮れない敵だ。
慎重に間合いを取ってクロスボーで攻撃する、
矢を消費してしまうが、そんな事を言ってられる相手ではない。
深い森の中では思うように身動きが取れなくて不利だ、
少しでも見とうしのきく場所をもとめて逃げ回る、
悪い事は重なるものだ、
大蜘蛛に追われて駆け抜けた森の果てに、
頭が二つある巨大なモンスターが立っていた、
こいつは俺の手に余る・・・逃げるが勝ちだ・・・
一目散に逃げて逃げて逃げまくる、
十分に距離を離したところで、包帯で傷の手当てをする。
随分ひどい傷だ、回復するまでにモンスターが追いつかなければ良いが、
それにしても、モンスターの姿が見えない、
さっきまでは俺の後を追いかけて来ていたのに・・・
傷の手当てが終わったところで、
モンスターの居た方向を探ってみる、
大蜘蛛も巨大なモンスターも確かにそこに居る、
しかし、何故か追っては来ないのだ・・・
何故だろう、何かこの場所に問題が有って動けないのだろうか?
慎重に近づいてみてもやはり攻撃してこない、
これはめっけもんだ、
反撃できない相手に弓の連打を浴びせて、
二匹ともたおしてしまった・・・
楽だった様な気もするが・・・矢を大量に消費した。
矢には弓用とクロスボー用の二種類が有る、
俺はクロスボー専門だから、それ用を使うわけだ、
ちなみにクロスボーでもヘビークロスボーでも、
矢自体の威力は変わらない、弓の強さで威力が変わるのだ、
それならばヘビークロスボーの方が絶対有理に思えるが、
そう単純なものでは無いのだ、
クロスボーならば(今の俺なら)5秒に一回は矢を撃てるが、
ヘビークロスボーでは10秒に一回が限度だ、
つまりヘビークロスボーでは二倍の威力が有っても、
実際に相手に与えるダメージは同じになってしまうのだ。
おまけに失敗する確立は同じだから、
威力は低くても単位時間あたりの攻撃回数が多い方が、
相手に与えるダメージが多かったりもするのだ。
さらに面倒くさくなる要因として、
製品のクォリティー等も有るのだ、
これは同じヘビークロスボーでも、
作者のレベルによってクォリティーが上下する、
最高レベルの作者の作品には、作者の名前が入れられたりする。
話を初めのところに戻すと、
動物相手の戦いならば、それほど威力は必要無いが、
モンスター相手となると、今より更に威力が欲しい。
ある程度強いモンスターとなると、
今の俺では太刀打ちできなくなってしまうのだ・・・
強い弓を手に入れる(作っても買うとしても)ことと、
弓使いのスキルを更に鍛えなくてはいけない。
そして強力な弓を連打出来るだけの素早さも欲しい・・・
現実には俺は総てが中途半端なんだが・・・
99 01 27 Yew → Vesper → Yew Joker
ベスパーの銀行の前に来ると BUG の事を思い出してしまう。
初代の BUG も、二代目の BUG にもここで出会ったのだ。
冷静に自分の実力を分析してみると、
弓と弓作成のスキルを最高レベルにすることと、
魔法のスキルを、せめてマークが安定して唱えられるように、
上達させることが最重要課題だろう。
ここしばらく日課にしている、
ユーで狩りと弓作成をして、ベスパーでそれを売り、
儲けた金で薬草を買い、魔法を練習する・・・
このパターンで目標レベルまで頑張る事にしよう。
ユーの森は動物が豊富で、あまり強力なモンスターが出てこないので、
今の俺には最適だな。
探索のスキルでねずみ男と死霊を見つけた、
同時に両方を相手にするのは大変だろうが、
片方ずつなら何とかなるだろうから、慎重に距離を縮めて行く。
そろそろ出会うころだと思っていると、
森の中で戦っている人が居る、
片方はねずみ男だ、人様の獲物を横取りしては悪いから、
俺は死霊の方を狙うとするか・・・
しかし、死霊の居場所を探ってみると、
どうしてもねずみ男の居るあたりに成ってしまうのだ。
どうも納得がいかない・・・
しばらく様子を観察してみると・・・
ねずみ男と死霊が戦っているのだった。
モンスターどうしが戦う事が有るのだ、
もちろん動物も腹が空けば狩りをして飢えをしのぐのだから、
モンスターどうしが戦うのも納得がいく。
ここはひとつしばらく様子を見て、
両者が十分疲れたところを狙って俺が漁夫の利を得るとしよう。
ねずみ男は(持っている武器によるが)それほど恐い相手では無いが、
死霊は魔法を連打してくる手強い相手だ、
うかつに二匹を同時に相手にすれば我が身が危ない・・・
二匹の戦いを見ようと近づいた時、
俺の姿が見つかってしまったようだ、
二匹の攻撃がいっせいに俺に向けられた、
こうなりゃ戦うしかない、
クロスボーで十分間合いを取って攻撃する、
死霊の攻撃魔法が雨あられと降り注ぐ、
ねずみ男はかたずいた、後は死霊をどう料理するかだ・・・
突然体が動か無くなった、
死霊の魔法攻撃かと一瞬思ったが・・・
どうやらサーバーがダウンしたようだ、
やれやれ、良いところだったのに・・・
これでまた時間が巻き戻ってしまう・・・
99 01 28 Yew Joker
昨日のサーバーのダウンで、時間が巻き戻ってしまった、
いったい何処から続きが始まるのか解らない状態だ。
とりあえずアクセスしてみると、
突然ハーピーの攻撃を受けた・・・
訳も解らないまま戦い続けて相手は何とか倒した・・・
鳥の羽が手に入ったのは良いが、
此所がいったい何処なのかも思い出せない、
たしか昨日、ハーピーに出会ったような気がするから、
恐らくあのあたりまで時間が戻ってしまったのだろう・・・
あたりを見回して、状況を見極める。
どうやらユーの南の、いつも狩りをする廃虚のある辺りのようだ、
ここから東に少し歩くと衛兵の詰め所が有るのだ、
あそこは確実に鳥が捕れる場所だ。
この辺りを俺の活動の中心地にしているのだが、
物を売りに街に戻ると、その度に歩いて戻って来なくてはならないのが、
実に大変である、
この場所をルーンに覚えさせられれば、
一気に戻って来れるのだが・・・
魔法の練習をせねば・・・
99 01 29 Yew → Vesper → Yew Joker
いくら練習しても魔法のレベルが上達しない。
何か原因が有るのかも知れないが、
スキルの上達とは、こうゆうものかも知れない、
初めのうちはちょっとした事で上達するが、
レベルが高くなるとなかなか上達しなくなるのだ、
あと少しで目標のレベルに(マークが唱えられる)達するので、
特に上達が遅いような思いが強く出るのかも知れないが・・・
目標を持って努力しているのだが、
サーバーのダウンによって、時間が巻き戻るのが恐い、
活動的で理想的な行動をしたと思っていても、
時間が巻き戻ってしまって、成長が戻ってしまったのでは、
がっかりどころか、意欲さえ失ってしまう。
サーバーのダウンに関して、
メーカーは状況を把握して居ると言うし、
対策も検討中だと言うが、根本的な解決には至っていない、
時間が巻き戻るのを心配するばかりではない、
これによって、どうせバックアップに戻ってしまうのだからと、
悪の限りを尽くすプレイヤーが現れないとも限らないのだ・・・
人は正しい事への欲求は強いが、
悪の誘惑には、それ以上に弱いものなのだ。
99 01 30 Yew → Vesper → Yew Joker
ここのところ毎日観念的な話ばかりしているが、
冒険をまったくしていないわけでは無い。
ちゃんとユーに出かけて狩りと魔法の実験をして、
ベスパーで戦利品を売却し、
その売り上げで魔法に使う薬草を買っているのだ。
ただし同じ事を繰り返しているようなものなので、
物語としてはちっとも面白くは無いのだ。
例えば・・・
狩りの途中で羊を見つけたら、
殺してしまわずに、ウールを刈り取って、
そのウールは、街に戻った時に布に加工する、
出来た布で包帯を作って狩りの最中の傷の手当てに使う。
等など・・・
殆どの行動が何か他の行動と結びついていて、
一つ事を起こせば、何か他の行動が引き起こされるように生きている。
狩りをすれば怪我もする、怪我をすれば治療をする、
治療が上手くいって皮が手に入ればその皮で何かを作る、
肉も手に入るので木を切って薪でたき火をして肉を焼く、
あまった木でクロスボーや矢を作る、
狩りの対象になる獲物が見つからない時には、
魔法の実験をする、
攻撃魔法は街中では御法度だから森の中でしか使えないのだ、
安全を確認して攻撃魔法を自分自身に使うのだ、
当然怪我をするので、それを自分で治療する、
これで魔法のスキルと呪い文耐性が上がるのだ、
攻撃魔法を使うモンスターにであった時には、
呪い文耐性がものを言う・・・
魔法で使う薬草が不足してくるころには、
狩りの獲物やクロスボーで、バックパックは一杯になっている、
街に戻って獲物を売って薬草を買う・・・
見事に生活の収支が成り立っている。
一時はダンジョンに行って、一気にスキルや装備を上げる事を考えたが、
今はたとえ地道でも、目標にしているレベルまでは、
この生活を続けようと思う。
これが安全な冒険の為の一番の近道だと思う。
たとえ地味な活動をしていたとしても、
意外に驚くような経験をする事も有る、
今日はいつも狩りをしているユーの南で、
突然 PK に襲われるという体験をした。
集団で波状攻撃をかけてくる PK は恐ろしいが、
今度の PK は、単独で装備も貧弱だった、
本気で応戦すれば勝てたと思うが・・・
丁度バックが一杯になったところだったので、
ちょっと怪我をしただけで、重量オーバーで身動きがとれなくなる恐れもあった、
大事をとって、リコールで逃げてしまったのだが、
弱そうに見える相手でも、
毒を使って攻撃してくるかもしれないし、
油断させておいて魔法攻撃にでるかもしれない・・・
俺の方は戦いの準備万端というわけではなかったのだから、
戦わずに逃げたのは正解だったろう。
勝てば官軍だが、負ければ賊軍なのだ、
逃げるのも勝負のうちだ、
それよりも、短時間に状況を判断して、
適切な行動をとった事を評価しようじゃないか。
99 02 01 Yew → Vesper → Yew Joker
働けど働けどスキルは上がらない・・・
自力でルーンに場所を記憶させられれば、
生産と訓練の場所と、製品を売り薬草を買う場所の間を、
一気に行き来できて、非常に効率が上がるのだが・・・
一定のレベルに達したスキルの上達は遅くなるので、
魔法のスキルはなかなか上がらない。
同じように、ヘビークロスボーを作りたいのに、
弓作りのスキルも、上達がカメの歩みである・・・
思うように欲しい弓が作れないので、
ついつい斧でばかり狩りをしていると、
弓使いのスキルも思ったように上達しないのだ、
何としても上達させたいと思っているスキルの一つでも、
目標のレベルに達してくれれば、
それが突破口となって、生活は一気に向上すると思うのだが・・・
毎日同じ事の繰り返しである・・・
99 02 02 Yew → Vesper Joker
midorinko さんが、話し掛けてきた。
俺はその時、寝ぼけ眼で・・・
彼の質問の意図が良く理解できなかった・・・
冷静に考え、彼の姿を良く見てみると・・・
魔法のスペルブックを手に持っているではないか、
彼は魔法使いのようだ、それも昨日今日の生りたての初心者のようだ、
少なくとも、多少なりとも経験を積んだ魔法使いなら、
帽子やマントの一つくらい身に付けているはずだ、
何しろ貧乏では魔法の勉強は出来ないから、
商売の過程が姿形に表れるものなのだ・・・
彼の質問も本当に初心者のものだった、
「魔法の練習は何から始めたら良いのですか?」
成る程ね、彼は俺が自分自身に魔法を掛けるのを見て、
魔法の練習をしているのだと思ったようだ。
俺は日常的に自分に魔法を掛けている、
それは確かに練習の意味も有るのだが、
背負って立てないほどの荷物を持つ事が多いから、
ステータスを一時的に上げる魔法を掛けていないと、
身動きがとれない事が多いのだよ。
彼にはステータスを上げる「ブレス」を薦めておいた、
彼自身が「ブレス」を唱えられるかが疑問だったが・・・
もっと世間話をして、一緒にちょっと冒険でもしたかったのだが、
彼は礼を言うと、何処かに走り去ってしまった・・・
欲の無い人だ・・・もっと色々教えてあげたのに・・・
なんなら魔法のスクロールを作ってあげたのに・・・
99 02 03 Vesper → Yew Joker
今日は眠い、とにかく眠い・・・
しかし、やっておかなくてはいけない事が沢山有る。
まずは包帯を作っておかなくては・・・
屑拾いで(?)集めたぼろ切れを、鋏で包帯に加工する、
衛生状態が心配たが、UO には細菌は居ないようだ・・・
傷口が化膿したり風邪をひいたりした事は無い・・・
買ってきた布で作っても良いのだが、
どうせなら金を掛けずに何でもやりたい、
浮いたお金で魔法の練習である。
そして、これで大量の包帯を作っておくのだ。
狩りの最中のちょっとした傷や、
魔法の実験中の傷などは、この包帯で治療するわけだ。
魔法に使う薬草も不足している、
特にマンドレイクやブラックパール等の、
大量に消費される触媒が不足している・・・
俺が良く使う物は、皆も良く使うから、
こういった物はどの店でも不足気味なのだ・・・
あちこちの店を回ってやっとの思いで必要数を確保する。
薬草を買う為には、大量の金が必要だから、
商売もしなくてはならない、
しかし、ほんとに眠いのだ・・・
寝ぼけ眼でもちゃんと商売している自分が恐い・・・
99 02 04 Yew → Vesper → Yew Joker
ユーの南の森の中で、姿を隠してじっとしている・・・
遊んでいるわけでも、サボっているわけでもない、
オークが居るのだ・・・この近くに・・・
オーク自体はそれほど恐いモンスターではないが、
魔法を使う「オーク・ロード」は、時と場合によっては強敵である、
何を隠そうこの俺も、ベスパーの北の半島で、
オーク・ロードには散々な目に会っている。
黙っていても何も進展しない、どうしようか思案に暮れていると、
刀らしき金属がぶつかり合う音が聞こえてきた、
オークと誰かが戦っているのだろうか?
いつまで待っても戦闘が終わる気配が無い、
苦戦しているのだろうか・・・
これだけ長期戦になっているということは、
オークは相当弱っているはずだ・・・
(戦っている戦士も弱っているはずだが・・・)
今なら出ていっても大丈夫だろう・・・
そろりそろりと、音のしている方に歩いて行く、
ウイスプ(?)が目の前を通り過ぎていった・・・
この変な光はいったい何なのだろう?
モンスターのようであるが、攻撃してくるわけでもない、
しまった、ウイスプに気を取られているうちに、
オークを見失ってしまった・・・
大体の見当で歩いて行くと、フラスコが点々と落ちている、
戦いの最中にここで薬を飲んだのだろう、
そうとうの激戦だったのだろう、
しばらく探し回ると、骨にまで腐敗が進んだ死体が有った、
ここまで腐敗してしまうと、オークか人間かの区別がつかないが、
アイテムが死体に残っていないところをみると、
死んだのはオークで、その死体からアイテムを取り出して、
この場を立ち去ったのだろう・・・
生き残ったのがオークだとしたら、
アイテムを全て持っていくような事はしないだろう、
モンスターよりも人間の方が欲深なのだ。
危険は去ったと言っても良いだろう、
安心して狩りと木こりにせいを出すとしよう、
・・・
今日も一日良く働いたもんだ、
薬草を買っても若干の黒字になっているようだ、
この調子で行けば、マークの魔法が唱えられるようになるのも、
もうすぐかもしれない。
ちょっと試しに、どの位成長したか確かめてみよう、
スキルブック(スペルブックではない)を開いて、
その中の最初の項目の中に、魔法のスキルの状態が書かれている、
それを見てみると・・・52.2・・・
えっ、0.2しか上達していない・・・?
今日の最初にチェックした時には52.0だったのだ、
散々魔法を使って狩りをしたのに、これしか上昇しないとは・・・
どうりでなかなかマークの魔法が唱えられないわけだ、
ちなみに、マークの有る6thの魔法を唱えるには、
最低でも51.8の魔法のスキル(Magery)が必要である、
これは、この数値以下では絶対に成功しないというレベルの話で、
この場合の成功率は数パーセントしかないだろう・・・
計算してみると、90%以上の確立で成功させる為には、
90近い数値に成長していなければならないようだ、
つまり、なんとか使い物になる50%の成功率の為には、
70以上のMageryが必要だということになる、
一日に0.2成長するとして、毎日休み無くこの調子でやったとしても、
50%の成功率まで成長するのに、あと百日は掛かる計算だ・・・
魔法に関してだけでもこの調子なのだが、
他のスキルにいたっても、さらに大変な事になっている、
一部のスキルの極端な成長の陰には、
使われる頻度の低いスキルの低下が必ず有る、
スキルの合計値には上限が有ってそれを超える事は絶対に無いのだ。
気になって調べてみると、
潜伏(姿を隠すスキル)が、40を割っている・・・
決してこのスキルは使わないスキルではないのだ、
むしろ頻繁に使うスキルだと思うのだが・・・
それ以上に使われるスキルに数値が割り振られて居ると言う事なのだろうか?
スキルの成長ばかりではなく、
意識的に衰退させる(使用を制限する)事も必要なのかもしれない。
なんか今日は難しい話になっちゃったなぁ。
99 02 05 Yew → Vesper → Minoc → Yew Joker
ユーの南側の森の中に居る・・・
ここには、何の為に有るのか解らない建物が有る、
森の中を横切っている長い道が有るのだが、
その道の上にアーチのようにかかっている建物なのだ。
ガードも居るので、ガードの詰め所かとも思うのだが、
何故こんな場所にガードが居るのかも解らない・・・
解らない事だらけでは有るが、ここは狩りには最適の場所だ。
動物やモンスターが大量に居るし、
特に屋根の上に逃げられると厄介な鳥を追って、
建物の屋上まで階段で上がっていけるのが良い。
ふらふらと歩き回っているだけで、
十分狩りが出来てしまうのだ・・・
今日もあっちにふらふらこっちにふらふらしている・・・
魔法のスキルを上達させなくていけないので、
弓矢ではなく攻撃魔法で狩りをする事にした、
強敵が現れた時だけ弓を持って応戦する事にしよう。
強力な攻撃魔法の威力は恐ろしいものだが、
威力が強いものほど成功率が下がってしまうのだ、
ここ一番と言う時に、失敗して役に立たないのでは命に関わる、
そのてん、弓ならば安定したダメージを敵に与えられる、
間合いを十分に取って戦えば、
傷を負うリスクも低くなり、生存率も高くなるというものだ。
牛を追いながら雷を落としていると、
森の中に巨人が立っているのが見えた、
この距離ならば、既に見つかっているだろう、
案の定、巨人は巨大な棍棒を振りかざして迫ってきた、
俺はバックパックの中を引っ掻き回して、
クロスボーを引っ掴むと、一目散に巨人と反対方向に駆け出した、
まともに正面から戦って勝てる相手では無い、
こいつは、体力・攻撃力ともに俺より数倍上だ、
俺に勝ち目が有るとすれば、それは知力だけだろう、
奴の棍棒の攻撃範囲に入らないように注意しながら、
確実にクロスボーの矢を撃ち込んでいく、
地形を巧みに利用して、常に有利な位置で戦う、
もし万が一にも傷を負ったら、十分距離を取って包帯で治療するのだ。
戦闘時間は長くかかったが、ついに巨人は轟音とともに倒れた、
土煙や枯れ葉が舞い上がったのが収まるのを待って、
巨人にナイフを入れて解体作業にかかる、
巨人のバックパックの中には、現金なども入っていた、
なかなかの戦果だ、今日はこれで黒字決定だな。
戦いが長引き、散々逃げ回ったから、
謎の建物の辺りからだいぶユーの町の方に寄ってしまった様だ、
もといた位置まで戻ろうと、南に向かって歩きだした・・・
バックパックの中身が重いので、町に売りに行っても良いのだが、
などと迷いながら歩いていると・・・
また巨人が居る・・・今度は頭の二つあるエティンだ、
こいつも強敵だ、まともに戦わずに、遠距離からじわじわと攻撃する、
普段なら姿を見掛けただけで逃げ出してしまうようなモンスターに出会っても、
今日は戦いの準備が整っているので、恐れる事は無い。
時間は長くかかったが、エティンもついに倒れた・・・
戦利品を頂くと更なる獲物を求めて、南へ南へと進んで行く。
たとえどんなに強い相手でも、
地形と作戦さえこちらに有利な状況ならば、
勝てない事はないのだ・・・
周到な準備と綿密な作戦・・・
そして・・・
つづく
99 02 06 Yew → Vesper → Yew Joker
周到な準備と綿密な作戦、
そして、大胆な攻撃と慎重な引き際、
そういった思いを強くしていったが、
いつもの狩りの場所、謎の建物のそばまで来た時に、
今まできいた事の無い、得体の知れない声が聞こえた、
嫌な予感がする、昨日と今日は調子が良すぎる・・・
悪い事が起こらないと良いのだが・・・
不気味で得体の知れない声は、その笑い声はどんどんこちらに近づいて来るのだ、
戦うべきか、逃げるべきか・・・悩んでいる時間はあまり無かった、
探索のスキルでおおよその様子は探っていたが、
初めて出会うモンスターのようだから、
どの位危険な相手なのかの見当がつかない・・・
強さを調べるスキルも有るには有るが、
こんな切迫した状況の中で調べている余裕は無い。
どんな戦い方をしてくるのか、見当がつかないので、
大事を取って、謎の建物の隣の段差を利用するとしよう、
今まで戦ってきたモンスターのなかに、
段差を超えて攻撃してきた奴はいない、
少なくとも段差を挟んで戦闘すれば、
俺の矢の攻撃は相手に届くが、相手の直接攻撃は届かないのだ、
今度の敵もこの手で倒せるはずだ・・・
俺がテレポート魔法で段差の上まで後退すると、
モンスターは攻撃魔法で先制攻撃してきた、
このモンスターは魔法を使うのか・・・
矢を雨あられと浴びせながら、状況を確認する、
モンスターはリッチのようだ、
あまり強そうに見えない、その辺の乞食の様な奴だが、
その姿に似合わずに、強力な魔法を使う強敵だ。
あっという間に、俺の体力は削られてしまう・・・
身に付けていたローブも帷子もぼろぼろになってしまう、
直接攻撃は受けなくても、攻撃魔法をこんなに浴びては、
これ以上持ちこたえられない・・・
もういいかげんに、リッチのマナが尽きて、
魔法攻撃が止んでも良いころなのだが・・・
一向に魔法がやむ気配が無い・・・
いったいどれほどのマナが有るのだろうか?
(後で解った事だが、今の俺の十倍のマナが有ったようだ)
このまま攻撃が続けば、俺は死んでしまう、
リッチにもかなりのダメージを与えているはずだが、
その前にこっちが死んでしまっては、元も子も無い、
いったんクロスボーをバックパックに突っ込み、
その手をそのままがさごそとバックの中で掻き回して、
あれを探した・・・あれだ、あれ・・・
有った、これだ、
冷たいガラスの感触が、暑く震えが止まらない指先に気持ち良い、
そのまま握り締めて、口元まで運び、
コルクの栓を口で引き抜き、
血が混じった生唾と一緒にコルク栓を吐き出して、
フラスコの中身を一気に飲み干す・・・
ファイトー・一発ぁつ・・・
薬が効いてきた、体力の状況を確認すると・・・
もはや瀕死の状態だ、秘薬を飲まなければ死んでいただろう、
さらに回復魔法を使うべきか、このままリコールで逃げるべきか、
回復魔法でマナを減らしてしまって、
リコールが唱えられなくなっては大変だ、
ここは大事を取って勇気ある撤収をしよう、
リッチを睨み付け、捨てぜりふをはきつけて、
リコールを唱える・・・
飛び先はミノックだ、
こういった非常の場合は、いつも混雑しているベスパーよりも、
比較的空いているミノックの方が確実だ・・・
安全を確認してから、包帯で治療にかかったが、
体力の低下が止まらない・・・毒にやられているようだ、
毒消しの魔法を掛けて、さらに包帯で治療する。
やはりミノックに飛んできて正解だった、
極端に混雑しているベスパーでは、
毒消しが間に合わなかったかもしれない・・・
治療が終わって一安心していると、
銀行の前でハープの弾き語りをしている人がいる、
おひねりも出ているようなので、何か面白い事が有るかもしれない、
近づいて行って野次馬の列に加わった・・・
それほど面白そうな事はやってなかったが、
俺も楽器を持っていたので、
タンバリン片手に、演奏に加わる事にした。
ついさっきまで、命懸けの戦いをしていた事など夢のようだ。
平和で豊かで楽しい世界がここには有る。
何故人は戦わなくてはいけないのだろうか?
UO の世界では、モンスターや動物は生きる為に食べなくてはいられない、
草食動物なら殺生とは無縁だが、
肉食動物なら草食動物を殺して食べずには、生きて行けない、
生きる為の殺生は無くすわけにはいかないが、
人間は(一部の高等なモンスターも)どうだろう、
働けば食うに困ることは無いはずだが、
食べる為だけではなく、嗜好や嫌がらせのために殺しをする、
なんと悲しくむなしい生き物なのだろうか?
「それが嫌ならこんなゲームなどしなければ良いのだ。」
そんな言葉が聞こえてきそうだが、
戦うことより、平和を求めたくなる・・・
UO とはそんなゲームなのかもしれない。
演奏が終わって、ハープの演奏者が話し掛けてきた、
彼女は AYU さんといって、
小人数のギルドに参加していると言う、
ものは試しだから、ギルドの HP のアドレスを聞いて、
再会を約束して別れた。
同じ人に二度会うというのは、
なかなか無いんだけどね・・・
99 02 07 Yew → Vesper → Yew Joker
懲りもせずにユーの南の猟場に居る。
そろそろ他のことをやりたいようにも思うのだが、
マークの魔法が唱えられるようになるまでは、
ここで腕を磨くつもりなのだ、
魔法で使う薬草や触媒を買う為に金もうけもしなくてはならない、
皮や肉を手に入れる為の狩りも思う存分出来るし、
狩りを繰り返しすることによって、
俺の職業は、エキスパートの戦士に変わっていたりするけど、
何処がエキスパートなんだか良く解らないが・・・
とにかく、すっかり自分の仕事場と思い込んだ、
この猟場で今日も狩りである。
ここ数日は、動物とも良く出会うし、
強力なモンスターとも五分に渡り合っている、
調子が良すぎて恐いくらいだが・・・
今日も多分大丈夫だろう・・・
なんだか不安な気がするが・・・
心配した予感は当った、モンスターの声が聞こえる・・・
あの地の底から響いてるような唸り声は、オークの鳴き声だろう、
魔法を使うオークなら慎重にかからないと、返り討ちに遭ってしまいかねない、
戦闘体勢を整えて、慎重に近づいて行く、
いきなり攻撃魔法が雨あられと降り注いでくる、
悪い予感は当った、魔法を使ってくるオークメイジだ、
ヘビークロスボーの強力な矢を何本か撃ち込んでみたが、
死にそうな気配はない、しかし、ダメージはかなりの傷になってるはずだ、
俺も瀕死の状態だが、回復の秘薬を飲むことでなんとか体勢を立て直している、
オークの魔法攻撃が止まった・・・
奴のマナが尽きたのだろう、後はこっちのペースだ、
魔法攻撃が止まれば、距離の離れた攻撃はしてこれなくなる、
充分に間合いを取って、包帯で傷の手当てをしてから、
クロスボーで止めを刺してしまおう。
俺は傷の手当てをする時間稼ぎの為に、
森の奥に向けて一気にダッシュした、
この森を抜けて、見通しの利く道路付近でオークを待ち構えよう、
オークが追いついて来るころには、俺の体力も回復しているだろう。
オークが追いついてきても直ぐに見つけられるような、
見通しの利く開けた場所の真ん中で、傷の手当てをしていると、
数人の農民風のグループが近づいて来るのが見えた、
オークがやってくるか危険だよと、教えようとしたその時、
思いも掛けない事が起こった、
農民風のグループの全員が一斉に戦闘体勢に入ったのだ、
いったいどうゆうことなのだろう?、
俺の獲物のオークを横取りしようというのだろうか、
それとも、瀕死の俺を心配して手を貸してくれるのだろうか、
そんな甘い状況ではなかった、
奴等が手に手に持っている鋤きや鍬は俺に向けられていた、
「止めてくれ」
俺が声を発する間も無く、
奴等の鋤きや鍬が俺の胸に突き立てられた、
よりによってこんな時に PK に出会うなんて・・・
五体満足ならこんな軽装備な奴等に負けることはないのだが・・・
幽霊になってしまって、ヒーラーを探して森の中を駆け回りながら、
俺は生き返ってからのことを考えていた。
このまま生き返っても、俺のアイテムの場所には、
あの PK 達や、オークがまだ居るだろう、
オークが元気な状態なら、
あんな農民 PK 達など、一遍で蹴散らされてしまうだろうが、
あの状態のオークでは、どういう展開になるのか見当が付かない、
復活直後の体力が無い状態で、武器も防具も薬草も無く、
オークと PK の両方を相手に戦えるのだろうか、
どっちにしても、アイテムを取りに戻るのは至難の業になりそうだ。
ヒーラーはなんとか見つかり、復活は出来たものの、
アイテムを取りに戻れなくなってしまった、
誰か手を貸してくれる人でも居れば良いのだが・・・
頼んだ相手が PK だったりしたのでは笑い話にもならない、
いちかばちかの賭けに出て、
俺の死体がある辺りに近づいてみると、
幸いなことにオークも PK も姿が見えない、
PK 達は、おそらくオークとの戦いで、
この場を離れてしまったのではないだろうか?
どっちにしても、長居は無用だ、
オーク生きて居るかもしれないし、
PK 達がここに戻って来るかもしれない、
さっさとアイテムを拾ってこの場を離れて体力を回復しないと・・・
またまた悪い予感が当ってしまった、
PK のうちの一人が、鋤きを手にこちらに迫ってくるではないか、
俺の体力はまだ半分も回復していないし、
武器も鎧もまだ死体に付いたままだ、
このままでは、また殺されてしまう・・・
俺は PK と反対方向に走り出した・・・
何の策も無いわけではない・・・こうやって逃げて・・・
PK を俺の死体から出来るだけ遠くに引き離すのだ・・・
そして、アイテムを取りに戻って来るわけだ。
PK が一人しか居ないというのが不安材料だが・・・
不安はまたまた適中した、
森を飛び出して、開けた場所に出た時に、
ばったりであったのは、PK 達の集団だった、
万事休す・・・多勢に無勢・・・
素手で何とか応戦するが・・・戦いを続けるだけの体力も、
反撃するだけの攻撃力も無い・・・
しかしだ、
幽霊になりながらも、さっきまで考えていた作戦を思い出していた、
PK 達は俺の死体からは充分に離れてしまっている、
途中にオークの姿はまったく見えなかったし、
今すぐに復活してアイテムを取りに戻れば、
アイテムのかなりの部分は取り戻せるのではないだろうか?
さっき見た様子では、
PK 達もオーク対策でてんやわんやだったようで、
俺の死体からアイテムを奪う余裕など無かったのかもしれない。
森の中を必死になって走った、
幽霊の間は息も切れないし、疲れもしないが、
ヒーラーと出会い復活させてもらってからは、
体力が殆ど無くやっとの思いで走って戻らなくてはいけない、
僅かばかりの距離が、今日は何と長く感じられることだろうか?
最後は這うようにして、やっとの思いでアイテムの場所にたどり着いた。
辺りを見回している時間も惜しんで、
死体にへばりついているアイテムを引き剥がすと、
俺のバックパックに突っ込んでいく。
こんな所に長居は無用だ、
薬草が入っているバックを引っ掴むと、
リコール魔法を唱えた、読み終わるのがなんと遅く感じられることだろう、
遠くに PK 達の姿が見えたような気がする・・・
その時、一瞬にして目に見える景色が変わった・・・
リコールに成功したのだ・・・
ため息を漏らしながら、その場にへたり込んでしまった・・・
周りの景色を何気なく見てみると、
どうやらユーの僧院の前らしい、
あまりに慌てていたので、何処に飛ぶのか確認してなかったのだ、
ここはもうガード圏内だ、
モンスターも滅多に現れないし、
出てきたとしても、この辺にたむろする戦士が相手をしてくれるだろう。
散々な目に会ってしまったが、
装備を整えて、腕利きの戦士を引き連れて行けば、
あのくらいの PK 達など、刀の錆にしてやれるのではないだろうか、
どうにも悔しいので、何か反撃する方法はないのかと思案にくれ、
装備の最終点検で必要の無くなった、死者のローブを道端に捨てていると、
ka-zuさんという、見るからに装備の貧弱な戦士が、
そのローブは売り物かと聞いてきた・・・
そりゃ確かに二枚も広げていれば、
売り物のように見えるかもしれないが、
どう見ても死者のローブだから、
これを金を出して買う人が居るとは思えないのだが・・・
そもそも、死者のローブを知らないとは、
この人は相当の初心者のようだ。
丁重にローブと現在の状況を説明してあげて、
俺は PK 退治に出かけることにした・・・
PK 全員を一度に相手にしては、苦戦するのは目に見えているが、
一人一人に分断して、個別に片づけていけば、
充分こちらに勝算があるだろう。
仲間が一人でも居てくれれば、随分楽になるのだが・・・
しばらく歩いていると、さっきのka-zuさんが、
俺の事を追いかけてくるのが見えた、
彼は今さっき UO の世界の住人になったばかりだという、
首都ブリテンまで行きたいなどと、寝言を言っているので、
(歩いて行く気かよ?)
大雑把にこの世界のことを教えてあげて、
一緒に狩りをすることにした、
リスクの大きな PK 退治は諦めて、彼と楽しむことにしたのだ、
探索のスキルの使い方を教えて、
鳥を狩った(俺がクロスボーで仕留めたのだが)、
羽は俺が頂いて、肉は彼にあげたが、
初心者がこんな肉を一切れ貰っても困るだけだろうから、
薪の作り方を教えてあげて、
焼き肉のやり方も教えてあげた。
狩りや戦闘で体力は上がるが、
機敏さや知性は初心者にはあげずらいステータスだ、
そのてんクッキングのスキルは、体力以外に影響を及ぼすのだ、
彼の未来がどんなものになるかは、
俺には解らないが・・・
幸多からん事を願って、彼の背中を見つめた。
最後にはログアウトの仕方を教えてあげて、
彼とは別れた・・・
もう一度会うことを約束して別れたが、
この世界で、同じ人に二度会ったことはまだ無い・・・
皆元気でやってるのかなぁ、もう一度会いたいなぁ・・・
でも、なかなか会えないんだよなぁ、
しょうがねえや、フーテンのジョーカーさんだからな。
99 02 10 Yew Joker
長いこと同じゲームをしていると、
思いもかけないような失敗をするものである、
その昔、オーク・メイジとの戦いで、
薬草を失って大打撃を受けていらい、
たとえ、荒野で野垂れ死にしようとも、
ダンジョンで大蛇に絞め殺されようとも、
人里離れた僻地で PK におそわれようとも、
何としてでも守り抜いた、薬草をまとめておくバックを、
単純な操作ミスで無くしてしまったのだ・・・
まずは簡単にこのバックについて説明しておこう、
UO の世界に生きる者には、(必ず)最低でも二つのアイテムが、
与えられている、この二つというのが、
プロフィールの巻き物と、バックパックである、
プロフィールの巻き物とは自己紹介する名刺のようなもので、
誰でも(近くに居れば)見ることが出来る、
殆どの人は何も書いていないが、
商売の値段表に使っている人や、
HP の紹介をしていたり・・・
俺の場合は、初心者向けのワンポイントアドバイスを、
書いていたりするものなのだ。
プロフィールの巻き物は泥棒に盗られることはなく、
売ることも出来ない、
いわば生きる為に絶対必要だと言うわけでは無いものだ。
ところが、
バックパックは、生活の為の必需品を入れておき、
様々な物を加工する場所でもある、
捨てたり、金が無くなれば売ることも出来るし、
バックの中にバックを入れて、階層化することも出来る、
俺の場合は、バックパックの第一階層は、
素材を加工して製品を作ったり、
緊急時に使う秘薬や、使用頻度の高い弓や斧などを置いておき、
出来るだけ広いスペースを空けておくようにしている、
ちなみに、泥棒に一番盗まれやすいのは、
この第一階層においてあるものが一番だ。
魔法で使う薬草などは、直接クリックして使ったりはしないので、
さらにバックや巾着を使って一まとめにしておくと便利なのだ。
そう、俺は薬草と包帯とクロスボーの矢と矢の羽と、
飛び先を記録したルーンと現金を、一まとめにしておいたのだ、
当然こんなにまとめておけば、
このバックだけで相当重いのだが、
重量オーバーなどで、新たな加工が出来なくなった時などは、
一時的にこのバックだけ足元に置いておけば、
重量制限をクリヤーできるのだ。
しかし、どんな奴が潜んでいるか解らない荒野で、
こんなに貴重なものを入れたバックを人目に付く場所に置くのは、
あまりに危険過ぎるのだ・・・
そこで考えたのが、
重量オーバーになる時というのは、
必ず重量オーバーの原因になった動物の死体がそばに有るはずなのだ、
その動物の死体にこのバックを隠してしまえば良いのだ、
これは良いアイディアだった、今日までは・・・
地面に置いたアイテムは、一定時間で腐ってしまうのだが、
それが恐くて足元においておきたくなかったのも事実だが、
動物の死体も一定時間で腐ってしまうものなのだった、
死体と一緒に俺のバックも消えた・・・
それは、単純な操作ミス(のようなもの)で、
今までやっとの思いで守り通してきた、
(一番大事な)アイテムを失ってしまったのだ・・・
金で買えるものでは有るが・・・
大変な時間と手間を失ってしまったのだ。
それと、ゲームに対する気力と期待も無くしてしまった・・・
99 02 11 Yew → Vesper → Yew Joker
無くなってしまったものはどうしようもない、
薬草が無くなれば、働いて稼いで買えば良いのだ、
ルーンが無くなれば、魔法を勉強して自分で書き込めば良いのだ、
そこで、金を稼ぐのに便利な、ベスバーに移動することにした、
ルーンが無いのでムーンゲートを使って行くことにした、
実に面倒である、人間は楽をすると駄目になるものなのだな。
手当たり次第に木を切り倒して、弓やクロスボーに加工しては売る、
金が出来れば、薬草を買い出しに薬屋に行く、
正直なところ、こんなに大量の現金を持ち歩くのは始めてだ、
浪費ではなくて、原状復帰の為の買い物だから、
おもいっきり札びらを切って買い物する。
これを繰り返す合間に、魔法の練習を繰り返して、
なんとか失ったルーンを、自分で作り直そうと思うのだ。
買った方が早いかもしれないが、
魔法のレベルが随分上がってきているから、
書き込み済みのルーンを買う金で、
薬草を買い、魔法のレベル上げとルーンの両方を、
いっぺんに手に入れようというスケベ根性である。
しかし、ちょっとやそっとで、マークの魔法は唱えられないかもしれない、
魔法でも弓矢でも練習には、ユーが最適だが、
練習中に出来た各種製品を売るには、ベスパーの方が有利だ、
ベスパーとユーの間を、ムーンゲートで行き来するのには限度が有る。
ムーンゲートは飛び先の選択が自由に出来ないという不便がある、
ムーンゲートそのものの数が少なくて、
ムーンゲートを探すのにかえって時間がかかってしまったりする。
ベスパーで薬草などの買い込みに成功したので、
ムーンゲートでユーまで行こうと歩いていると、
ムーンゲートを見失ってしまったようで、
ミノックの南のジプシーのキャンプの付近に出てしまった、
ミノックによっても何もすることはないので、
戻ろうかと考えていると・・・思い出したとが有った、
そもそも書き込み済みのルーンを買ったのはこの辺だったはずだ、
記憶を頼りに歩いて行くと、
森の中に人込みが出来ている、いったい何か有ったのだろうか?、
良く状況を見てみると、俺が探していたベンダーの前辺りだ、
盗人や PK だと嫌だな、
今はルーンを持っていないから、
逃げるのも一苦労だし・・・
心配しながらベンダーに近づいて行くと、
人込みの中から一人の女性が歩み出て、
丁重にお礼を言ってくれるではないか・・・
なんだ、この店のオーナーだったのか、
その他の人達は何だろうかと尋ねてみると・・・
ただのこの店のお客さんだそうだ・・・
なんだか偶然にここに集まって世間話をしているのだそうだ、
不思議なことも有るもんだ・・・
俺も話の輪にまざって居たいが、そんなに長居もしてられない、
今日の目的の失ったルーン四つを買い込むと、
バックパックの中の巾着袋の中に収めた、
店のオーナーが、サービスに勢力剤を一本くれた、
ありがたい、こいつは俺が作るやつより強力かもしれない・・・
俺が作った勢力剤とは別にしておいて、
ほんとうに死にそうな時に貰ったやつを飲むとしよう。
皆に見送られて、リコールの魔法を唱えたが・・・
なんと失敗してしまった・・・
かっこわりーなぁ、
みんなは笑わずに声援を送ってくれた、
ありがたいことだ、みんな良い人たちだ、
こんなやさしい人たちと、暮らしていけたらどんなに幸せだろう・・・
これから行く先に待ち構えている、血で血を洗う戦いの生活を止めて、
平和に暮らすのも良いかもしれないな、
皆の話題の輪の中に歩み出ようとした時に、
二度目のリールの魔法の朗詠が終わった・・・
目に映る景色が、明るい人々の笑い顔から、
ユーの冷たく殺風景な僧園の石の壁に変わって行った。
そうだ、俺は荒野に出て行かなくてはならないのだ。
自分と自分を愛してくれる人を守れるだけの強さを身に付けるまで、
俺の住処は荒野なのだ・・・
涙が頬をつたわって流れたが、
もう慣れっこになってしまった。
ブレスの魔法でドーピング状態でハイになって、
僧園のドアをいきよいよく開けるころには、
泣き顔から不適な笑い顔に変わっていた・・・
99 02 12 Yew → Vesper → Yew → Minoc Joker
重要なアイテムを無くしてしまうというのは、
精神的にはショックだが、
プレイの内容としては、メリットが有るかもしれない、
ゲームの効率を考えすぎると、
あまりに慎重になってしまいがちだが、
あまりに大きな打撃を受けると、
それを取り戻そうと、積極的で、
慎重かつ大胆に行動するようになるものだ、
それに、またなくしてしまうかもと、
余計な心配をするあまりに、
無くなる前にアイテムを思う存分使っておこうと、
変なけち臭さが無くなって、
成長も早いような気がする。
気前が良くなるのは、アイテムばかりではない、
現金にだってこの理屈が通用する。
ふらふらとミノックに立ち寄ったときに、
つい出来心で、馬屋に立ち寄ってしまった。
そもそも、
最近は何をやっても黒字になるようになったから、
銀行預金の残高を気にすることが無くなったのだ、
馬を店から買うなどという贅沢は敵だと思っていたが、
こうも金がタブついてくると無駄遣いしてしまいたくなる。
本当なら銀行の前などで、露天で馬を売り歩いている PC から、
馬を買ったほうが安いのだが、
いつでも売っていてるとは限らない、
欲しいときほどなかなか出会えないのが人生である。
不注意で馬を死なせてしまうことが多い俺の場合、
安売りの馬を買いだめしておいて、
馬屋に預けておくのが得策だと思う。
しかし、売っていないものはどうしようもない・・・
安売りの馬が見つからなければ、
店で定価で買うしかない・・・・
そこでミノックの馬屋に立ち寄ってしまったのだが・・・
店の店主に馬が欲しいことを告げると、
今は荷物を運ばせる馬しか居ないという。
荷馬ではしょうがないなぁ・・・
本当に欲しい時には欲しいものが手に入らないものだ・・・
99 02 13 Minoc → Britain → Yew → Vesper → Yew Joker
ミノックの馬屋では乗馬用の馬は品切れだった・・・
人間というものは不思議なもので、
いったん欲しくなってしまうと、
何としても手に入れたくなってしまうものだ。
こうなってしまうと何としてでも馬が欲しくなってしまう、
馬馬馬・・・
銀行などの人の集まる場所には馬売りが居ることがあるが、
今日は居ないようだ・・・
ミノックの馬屋以外で馬の居るところといえば・・・
・・・
地図を引っ張り出してあっちこっちと探してみると、
あちこちの街に馬屋が有るようだ、
どうせ買うなら由緒正しい店で買いたくなってきた、
一番由緒正しいといえば、ブリテンのロードブリティッシュにある、
馬屋だろうな。
リコールで一気にブリテンまで飛び、
馴れない街を道に迷いながら馬屋を探して、
ついに馬を手に入れる。
今度も名前は、BUG とした。
さあ、新しい BUG との旅が始まる・・・
腕を上げてダンジョンに冒険に出かけられるように、
ユーの狩り場で腕を磨くとしよう。
革や肉はベスパーで売りさばいて現金にして、
その金で魔法で使う薬草を買い込むのだ。
BUG の背に跨って、広野へと駆け出した・・・
99 02 20 Yew → Vesper → Yew Joker
ユーで狩りをして、肉と革を手に入れて、
肉は主食に、革は加工して靴に細工して売る、
もう口が酸っぱくなるほど繰り返し言ったが、
それ以上に俺はこの行為を繰り返し行っている。
同じような行為を繰り返して成長するのが、
ゲーム世界での一般的な行動だが、
こういった話を聞かされる方は、
同じことばっかり良く繰り返すもんだと呆れるかもしれないが、
やっている本人にとっては、
毎回が違う旅なのだ、
アクセスした回数分だけのドラマが有るのだ。
初心者 PC との出会い、ベテラン PC に助けられ、
強力なモンスターとの出会い・・・
そうだ、
あの話をしておこう、
モンスターの容姿で、ついついその強さを決めてしまいがちだが、
弱そうに見えてもなかなか強い相手も居る、
特に強力な魔法をメインに使うモンスターなどは、
見た目には弱そうに感じるのがたまに傷だ。
俺のように弓で遠距離から攻撃する戦士にとっては、
強力な剣や斧よりも、遠距離から雨あられと降りかかってくる、
攻撃魔法のほうがはるかに恐ろしい。
リッチというモンスターは、
まさに俺にとっては天敵である。
浮浪者のような風体で、
のそのそと近づいて来たかと思うと、
突然に魔法攻撃が始まる・・・
こういった強力な魔法の使い手の恐ろしいところは、
体力を奪う魔法だけでなくて、
知能や機敏さを低下させる魔法を使ってくることだ。
ステータスを低下させるカースの魔法などを連発して、
反撃も回復も出来なくしたうえで、
毒化の魔法のポイズンをかけてきてから、
体力を奪うファイヤーボール等でじわじわと、
攻撃してくるのだ。
毒と攻撃魔法の両方によって失われる体力の低下は、
驚くほど早く、
素早く解毒をして、回復の薬を飲まないと、
反撃はおろか、逃げることもままならなくなってしまう。
俺がリッチに出会ったのは、まさに最悪の状況下だった・・・
俺はクーガー二頭を同時に相手にして戦っていたのだ、
クーガーごときが束になってかかってきても、
負けるほど焼きは回っていないが、
手痛い傷を負うのは止むおえないことだろう。
逃げ惑うクーガーを立ち木の隙間に追いつめ、
じっくりと攻撃していたまさにそのときにリッチは現れた。
立場は一気に逆転してしまった・・・
クーガーを追いつめていたはずの俺は、
まったく逆に、クーガーとリッチによって、
木の隙間に追いつめられてしまった。
体力は半分ほどに減っていた・・・
リッチの攻撃魔法を浴びればとても持ちこたえられないだろう、
退路を求めて逃げ出す隙間を探したが、
クーガーとリッチに塞がれていてどこにもない。
リッチの魔法でマナが失われていく、
マナを大量に消費するリコールが唱えられなくなる前に、
逃げ出したほうが得策だろう・・・
逃げるが勝ちだ・・・
クーガーの鋭い爪に引き裂かれ、
血まみれになってぬるぬるする指で、
パックパックの中を探る・・・ルーンは何処だ・・・
リッチからうけた攻撃魔法の影響でふらふらする頭を何とか振り絞って、
リコールの魔法を唱える・・・
顔面を流れ落ちる血が目に入ってルーンが見えない・・・
もう、飛び先を選んでいる場合では無い・・・
パックの中で掴んだものを、感触でルーンらしき物だと判断して、
必死にリコール魔法を唱えた・・・
その時クーガーの牙が突き刺さった・・・
魔法を唱える途中で攻撃を受けると、
もう一度最初から呪い文を唱えないといけないのだ・・・
やっとの思いで二度目の呪い文を唱え始めた・・・
今度は別のクーガーの牙で中断させられた・・・
消えゆく意識の中で、
俺はまだリコールの呪い文を唱えつづけていた・・・
99 02 21 Yew → Vesper → Yew Joker
昨日のリッチとの敗北で、BUG を失ってしまったが、
アイテムは何とか無事だった。
ヒーラーに復活してもらった後、
事故現場に戻ってみると、BUG の死体はその場に有ったが、
クーガーやリッチはもう居なかった・・・
BUG の死体に手をあわせて・・・
落ち込んだ気持ちで、散らばっているアイテムを拾い集め、
ベスパーにリコールで戻って体勢を立て直したのだ。
それからユーに戻って BUG の仇討ちを考えたのだが、
リッチの姿は見つからず、森の中で夕べは夜を明かしたのだ・・・
目を覚ましてからというもの、
リッチの姿を求めて森の中をさ迷いつづけた・・・
リッチと出会ってから既に一日が過ぎている、
リッチがこの辺に居る可能性は低いのかもしれない、
もしも居たとしても、他の PC に殺されているかもしれない、
それに見つかったとしても、それが昨日のリッチだと確かめる術が無い・・・
俺は復讐の鬼と化して森の中をさ迷い歩いた・・・
ふと足を止めると、
何処かで聞いたような不気味な声が聞こえる・・・
あれこそリッチの声だ、
俺は姿を消して、リッチの姿を探索して大体の方角を確かめた、
姿を隠したまま戦闘準備を整えて、
クロスボーを装備し、鎧を点検した、
リッチとの距離が俺にとって有利になった時、
俺は突然姿を出して、リッチに矢を浴びせた、
リッチは突然現れた俺の姿に驚き逃げ腰になっている。
リッチの攻撃魔法の連打が始まる前に、
息の根を止めてしまなくてはならない。
リッチの体力は極めて低い・・・
やつの特徴は体力の低さと引き換えの大量のマナなのだ。
俺の突撃クロスボー攻撃で、
リッチは瀕死の状態になった・・・
俺は反転して止めを刺そうとクロスボーを奴に向けた時、
奴のファイヤーボールが顔面にぶち当たった・・・
奴の攻撃魔法の雨あられが始まってしまったのだ。
俺は火だるまになりながら、
戦線を離脱するべく、這い回るように北に移動していった、
この状況でリッチが追ってこないわけは無い、
回復魔法に毒消しの魔法・・・
僅かな時間で体勢を立て直して、
傷には包帯を乱暴に巻きつけて、
姿を隠せそうな地面が盛り上がった所の後ろに潜み、
リッチが追ってくる方向にクロスボーを向けて待った。
幾らも待たずに奴は来た、
クロスボーの射程内に奴が入った時、
俺の快心の一撃が、リッチの僅かに残った体力に止めを刺した・・・
緊張が解け俺は疲れ果ててその場にへたり込んでしまった、
身を隠しクロスボーの台にしていた、
うずたかく盛り上がった地面に寄りかかるように座り込むと、
その盛り上がりはなんと・・・
昨日の BUG の墓だった・・・
BUG ありがとう・・・俺を守っていてくれたんだね、
涙が止めど無く流れて、
俺はいつまでも泣きつづけた。
99 02 22 Yew → Vesper → Yew Joker
リッチとの戦いで馬を死なせてしまって、
落ち込んだ気分のままでユーの森の中をふらついていたが、
このまま浮浪者になってしまいそうなほど落ち込んでいる・・・
BUG のことを思えば、もっとしっかりしなくてはとも思うのだが・・・
馬に乗らずに自分で歩くと、移動速度がずいぶん遅く感じられる、
昔は何処へ行くのにも歩いていたのに、
俺も贅沢になったものだ・・・
何か面白いことはないかと、ベースパーの銀行付近に行ってみると、
馬を売っている人が居る・・・
しかし、馬の姿が見えない・・・
詐欺かもしれないなぁ・・・
BUG をまだ忘れられないので、
新しい馬を買う気にはなれないのだが、
見たことも無いタイプの馬売りだったので、
興味本位で声をかけてみると・・・
なんと、彼の乗っている馬を売るのだと言う、
歩いて家まで帰るつもりなのだろうか・・・
値段も安いし、彼はお金に困っているようだから、
人助けだと自分を納得させて馬を買うことにした。
なぜに彼は自分の乗っている馬まで売るようなことになったのだろうか、
詳しい話を聞きたかったが、ラグが酷くて思うに任せない・・・
(ラグとは回線状態の悪化などでゲームが重くなること)
すたすたと立ち去る彼の後ろ姿を見送りながら、
俺は新しい馬にまたまた BUG と名前を付けていた、
前の BUG にあげるつもりだったバナナを与えてから、
馬の背に跨り勢いよく駆け出した・・・
もう馬を売った人の姿は見えなかった・・・
俺の知らないところでもゲームはどんどん進んでいるのだ、
俺の旅と同じように、参加している人の数だけドラマが有るのだ、
俺も新しい夢に向かって旅発つとしよう。
99 02 23 Yew → Vesper → Despise → Yew Joker
なんだかんだとトラブルが有ったりするが、
ユーで狩りをしてベスパーで商売するのが、完全に定着してきた。
このままスキルを鍛えながら金も溜めて、
でっかい家を建てるのもいいな・・・
そうだ、家を建ててみたいな・・・
持ち運べないアイテムは銀行に預けてあるのだか、
銀行の貸し金庫には重量制限が厳しくて、
もう一杯になってしまっているのだ。
家を建てれば、無制限にアイテムを備蓄できる・・・
しかし、家はたかいなぁ・・・
もっと本気で稼がないと・・・
そういえば、
俺は立派な戦士なのだ、
こんな所で狩りに明け暮れていないで、
ダンジョンに行ってモンスター退治でもしたほうが、
金になるんじゃないだろうか?
まぁ、ダンジョンには散々な目にあっているのも事実だが・・・
これまでにも何度か計画をたてて、
十二分に下見をしてあるデスパイズなら、
何とかなるのではないだろうか・・・
こうして安易な発想と、入念な下調べによって、
デスパイズ作戦は、始まったのだ。
99 02 24 Yew → Despise → Vesper → Yew Joker
デスパイズ作戦を、当面の活動目標に決めて、
まずは、ベースキャンプをユーの南(ブリテンの北?)の、
道路上に突き出している、衛兵の詰め所の様な所に、
決めた・・・ここを記憶させたルーンが有るからだが・・・
最悪の事態に陥ったらここにリコールしてこよう。
未使用のルーンもいくつか用意しておいて、
ダンジョンの中の要所要所を記憶させて、
ちょっと危険な時の近況脱出用にしよう。
ルーンが書けるのは便利だな・・・
以前はこれが出来なくてダンジョンに入るのを中止したのだった。
準備は万端である、これでやられるようなら、
俺に入れるダンジョンはもう無い・・・かもしれないな・・・
ダンジョンの入り口付近まで歩いて行き、
入り口を入ってすぐの所で、マークの魔法を唱えて、
ルーンにこの場所を記憶させておく、
これでいつでもこの場所に戻ってこられるようになる、
ダンジョンの奥で逃げ場を失っても、
入り口からやり直せるようになるのだ。
デスパイズは初心者向けのダンジョンだけあって、
出てくるモンスターも雑魚ばっかりだ・・・
安心してへらへら笑いながら歩いていると・・・
ヘビに噛まれて毒が回ってきた・・・
こりゃいかん・・・早速解毒の魔法を唱えて・・・
減少した体力を包帯を巻いて回復させて・・・
しかし、いやな予感がしてきた・・・
ヘビが居るということは・・・もしかしたら・・・
大蛇が居るのではないだろうか・・・
悪い予感は的中した・・・
大蛇がとぐろを巻いて待ち構えていた、
コトブスでは、こいつに散々な目にあわされたのだ。
大蛇と一対一で戦うなら、それほど恐い相手ではないのだが、
巨大ねずみやモンバット(大コウモリ)等と一斉に攻撃してくるので、
俺の攻撃が分散させられてしまうのだ。
弓使いのメリットを生かそうにも、
洞窟のような構造のダンジョンでは間合いが取れない・・・
弓をかなぐり捨てて、魔法で連続攻撃をして、
何とか急場をしのいだ。
今日は深入りしないでこのくらいで引き上げるとしよう。
街に戻って明日の戦いの準備をしなくてはいけない。
99 02 25 Vesper → Yew → Britain → Joker
昨日のダンジョンでの戦利品の売れ残りを街で売りさばき、
おおねずみの肉を焼いて食べて準備は万端だ。
ユーの町中をうろうろして暇そうにしている人を探したが、
俺の旅の友になりそうな人は居なかった・・・独りで行くか・・・
デスパイズに入る前に森の中をうろうろしていると、
リッチにやられそうな初心者を見つけた、
リッチは強力な攻撃魔法を使う手強いモンスターだ、
初心者の体力を回復してやり、リッチには矢を二三本打込んでおく、
これで彼も何とか勝てるだろう。
彼をダンジョンに誘おうかと思ったが、
足手まといにならないとも限らないので・・・
独りで行くことにしよう・・・。
しかし、
このデスパイズ作戦は失敗に終わる・・・
慎重にかつ大胆に行動した俺は、
突然の大蛇の大量発生によって幕をとじる・・・
そして灰色の世界、そして馬死亡
そしてアイテム全て喪失
そうして、この日記さえも書く気力を無くしていくのだ。
99 02 26 Britain → Yew → Vesper → Yew Joker
何もかも無くして、荒野に呆然と立ち竦む俺・・・・
訳も解からずに走り回り、アイテムの再収集をして、
それなりの戦士の装備を整え、
懲りずに馬を購入し、
目に映るもの全てを攻撃対象として、
鬼神のように暴れまわり、
もう、
日記を書く必要さえなくなってしまった俺
99 02 27 Yew → Vesper → Yew Joker
もう日記は、
簡単な覚書で十分だ、
冒険はエディタの上で起っているんじゃ無い、
ダンジョンで起っているんだ。
新しい装備での旅立ちとアイテムの喪失
原因不明の死
99 02 28 Yew → Vesper → Yew Joker
アイテムの再収集と死体あさり
99 03 01 Yew → Vesper → Yew Joker
馬購入
99 03 07 Yew Joker
馬に逃げられた
99 03 08 Yew Joker
PKとの死闘
99 03 09 Yew → Vesper → Yew Joker
PKを成敗
99 03 10 Yew → Vesper → Yew Joker
マンネリ化
この日記はここで終わっている・・・
しかし、
ジョーカーの旅はまだまだ始まったばかりなのだ。
つづく
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